竜の、日記。
12日夜、19時より、池ノ上シネマボカン。
<B-SHOT PICTURES>、山岸信行監督特集。
題して、<LET IT B-SHOT PICTURES>上映会。
今回は、怪奇性以外の要素がメインの、
コメディ・シリアス・ファンタジーを取り揃えた、
近年では珍しい?3本立てを楽しめた。
「荒野のアリス」:
2000年、8ミリフィルム作品の、DVテレシネ版。
カラー、50分。
過去にトリウッドで上映された時、見逃していた。
風俗嬢アリスと、うり二つ女性・ルルの、怪奇な物語。
二役・三宮映子の、実質的初主演作品。
ひとことでいえば、珍品。
美女・エロティック性・SF・ショックホラー、
ドタバタ・映画技法・ウエスタン・天地創造ファンタジー・モノクロ世界と、
監督の好きそうなものが、
片っ端から、それ、それ!とぶちこまれ、
ごった煮アラカルトで、楽しめる。
8ミリフィルム映写機が、お祈り(?)で、中継キャメラと化したり、
牛や人影が、心象をしゃべったり、
ホラーな実験シーンでの、助手の汗ふき、
ミレニアムな宇宙人?出現等、
漫画チックな自由奔放表現に、皆で、爆笑す。
初期作らしい、ういういしさを感じ取れる、貴重な作品。
「東京冬物語」:
2002年、8ミリフィルム作品の、DVテレシネ版。
モノクロ、16分。
制作当時、中東情勢の悪化で、自衛隊の海外派遣が始まっていたので、
それを反映した、時事的一篇。
駅で久しぶりに、ばったり再会した、若き男女。
男性は今、自衛隊所属。
同僚ともうすぐ、海外の戦地に派遣される、という。
それぞれの友人を誘って、男女4人で、
とある休日、東京見物の一日を過ごす・・・という話。
(東京タワーに、蝋人形館・・・行ったなあ、昔。)
まあ、あの状況ならば大体、
ああいう会話や心象になるだろうなあ、という、
普通にまじめな、市民ドラマ。
軍隊が普通に存在する、他の国々だったなら、
街中で、よくありそうな会話、なんだろうなあ・・・と。
男女それぞれの、内心の声には、
どきっ、とさせられるものも・・・。
関心事のいろんなズレが、相互にあるもので。
普通の男女ドラマとして、静かに観ながらも、
この人達、これから、
世の中の変化とともに、どうなってゆくんだろうな・・・?
という、心配をちょっと、してしまったのだった。
これが、現代日本の光景なり。
「幻影少年銀幕少女」:2009年、最新作。モノクロ・DV、53分。
クラシックな怪奇映画の制作にいそしむ、自主映画の男性監督を、
山岸氏自ら、実に楽しそうに、のびのびと演じている。
制作現場の話を自ら、小気味よいエンタメ劇に仕立てていて、愉快痛快。
芸術肌の映画がいいんだ!と見下す、映画館オーナー?女史をも、
偶然の現場ハプニングを利用して、振り回すシーンなど、大笑い。
女優の身の回りで、起きてる出来事を、
つぶさに観察(のぞき見ともいう)するあたりで又、笑わせる。
脚本変更で即座に反映するなど、なかなか、心にくい演出もやる。
常連女優やキャメラマン・スタッフら、彼の映画仲間達も、
馬鹿だな~、腐れ縁、などと言いながらも、
結構面白がりつつ、現場に来て、
なんだかんだと手伝っているのが、ほほえましい。
昔の仲間が、小道具を用意してくれたり。
厳しそうな制作・配給条件はともかく、
仲間に恵まれているという意味では、幸せな監督であろう。
ライティングの工夫をする、ヒゲ姿の男が、ちょっとユーモラス。
なるほど、土中から手が出るシーンって、ああやって撮るのね。
まじで人埋めてたら、そりゃ、大変だもんな・・・。
しかし、家宅不法侵入だけは、いかんだろ~!の声も。
終盤、50年後も映画残ってるかな、観てくれてるかな?という話は、
実際、泣かせてくれるものが、ある・・・。
あんな形で、懐かしき作品群に再会できたら、嬉しいだろうなあ・・・と。
それは、作る側にとっても、ひとつの夢に違いない。
作品は形になって、後世に残るのだから。
昔の映画を、発掘上映してくれる人達がいるのは、大変ありがたいわけだが、
フィルムや映像データの保存状態、
あるいはニュープリントの可否、といった課題が、別にある。
そうしたもろもろの条件を越えて、
今、過去からのいろんな映画が、観れるわれわれ観客は、
いつも、上映会の人々の熱意に、感謝しているのだ・・・。
いい意味で、映画ファン泣かせな、1本。
以上。
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- 2009/12/13(日) 01:27:37|
- インディーズムービー
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