主水日記。
前回は思わぬアホをさらしてしまったが。
小生の活動は着実に続いていた。
決して連日、ただ安らかに冬眠していたわけではなかった。
(クマかい!の声)
5日(日)には例年通り、ヨコハマ映画祭に行っている。
ここに書くべきかどうか、実はずっと悩んでいたのだが、意を決して書き記す。
今年は、ある<異変>を察知させられた。
目立って気にかかったのは・・・
1・恒例の審査員挨拶での各氏の会話。
各所の<年間ベストテン>集計に関する様々な問題点が指摘されていた。
「(某誌より)今年からは公平性を書くので、出演作のある人はベストテン投票を遠慮してくれ、と言われた・・・」
「こちらでは自分の出た作品からも入れないと、ベストテンが選べないので入れて、決めた」
「でも結局、今年はこちらでも受賞結果、あまり変わらなかったね?」
・・・等、ぼやく人の多かったこと。
そういえば、どこのコンクールでも「バッチギ!」と「ALWAYS三丁目の夕日」に賞がかなり集中している。
「タッチ」「メゾン・ド・ヒミコ」や「空中庭園」は多少、ばらけてるけど。
この日上映された「いつか読書する日」は地方公開がまばらなので、観ている人が少ないのだろう。ヨコハマ映画祭が評価したのは良い事。
緒方明監督といえば「独立少年合唱団」を60年代<社会革命挫折>青春譚にしてしまい、お台場メディアージュの上品おばあちゃん客達を引かせ怒らせて帰したのだが(当たり前だよ!普通ウィーンみたいなの期待するジャン!)、さすがに今回は人物ドカーン!などは一切無かった。
坂道の多い地方都市で、中年男女の静かに再燃する恋心、それを見守る壮年女性小説家、その認知症気味の夫。
田中裕子の牛乳配達員(兼・スーパー店員)と岸辺一徳の役所職員がなかなか直接出会わず、やきもきさせられる。
虐待されている近所の万引き少年、全てがすさんでいて、哀れになってくる。
スーパー店長と某女性店員のシーンは「どうしようもねえなあ・・・」と呆れる。
一見けだるい、だらだらと続く日常の延長なのだが、時折の事件発生でさざ波が立ち、それらの連なりからに終盤一気にスライディングしてゆく手並みが、お見事。
できれば、もっとハッピーエンドだったら、というのはいささか欲張りだろうか?
横綱級・社会派学ラン青春映画「バッチギ!」については、既にあちこちで語り尽くされていることだろう。
良くも悪くも、これがわれわれ人類の生きている<世界>の縮図、である。
深く痛ましき対立・抗争状況なのだが、随所で身もふたも無い<男性的>なユーモアが救いになっている。<アンコ・・・>には笑ったし、赤電話のシーンにはあっけにとられた。
ほんとうは、まず強烈さが光ってる番長兄さん役の人に、演技賞をさしあげたいんだけど・・・。誰かあげてよ!
(もう一本の上映作「運命じゃない人」については、既述の通り、詳細をあえて書かない。いきなり観て楽しむべし!)
ベストテン選出をめぐる諸問題については「映画芸術」最新号に詳しく出ているので、論戦はとりあえずそちらの皆様にお任せするとして・・・。
多数派のべストテン、というものをあまり信用していない、自分にとってのそれがあるだけだ、と公言する人達も居るのは確かだし。
実際、どこまで客観的な作品評価って、可能なのだろうか?
普段邦画をぜんぜん観ない、業界にかかわらない人たちだけを抽出して10本以上、見せる・・なんてことが可能か、有効か?
そもそも、観客なり、関係者なりがそれぞれの形で何らかの<映画>にこだわり、かかわっているからこその<お楽しみ>(だけでもないか・・・問題作含まれるし)として、その年のベストテンがあるのではないか?
もう、考えれば考えるほど余計にわからなくなり、きりがないので、ここでは止める。疲れてくる。
2・表彰式のとき、前方の席・通路にデジカメ、携帯写真撮影のファンが殺到、一部ゲストにややナーバスそうな?様子が浮かんだこと。
そのためか、式の途中で関係者から「式の間は後ろの席に戻って観てください!」「前方の通路を空けてください!」等の<注意>が入ってしまったこと。
大会終了時挨拶にても「写真撮るだけじゃなくて、映画も観ていってください!」とのコメントがあった。
(勿論、こちらはそれがメインではるばる来てるんですが・・・。)
例年以上の大入り状況からそうなったのだが、客席の小生は正直、後味が悪かった。去年はなごやかな雰囲気で終わったのに・・・。
最早、写真無断流用禁止の御願い、だけではすまなくなってきたようだ。マナーの問題である。
こういうことはデジカメ・携帯を売っている所では、売れればお構い無し、なのだろうか。
相互に気持ちよく楽しい撮影、って無理なの?と悩んでしまった。
3・フランス映画祭の会場がだしぬけに、横浜・みなとみらいから六本木に移されたこと。
しかも6月だった時期が3月に繰り上がっていたこと。
市に予算の余裕が無いので、その場合は会場を六本木へ移転、という話は前々からあったそうだが、フランス映画の委員会は横浜市・関係者への事前連絡無しに、いきなりプログラムを発表した、というのだ・・・・。
帰ってから地方新聞記事のサイトで知り、仰天した。
これがもし本当ならば、長年開催に協力してきた人々や、横浜寄りの映画ファンに失礼ではないか。事前のおことわりを入れるべきだったのでは・・・。
小生としてはむしろ六本木のほうが地理的には近いが、今からでは時間的にもう予定が殆ど取れない。がっかりである。
予算だけ六本木方面から出して、会場は横浜で、ってわけには、いかないのだろうか?あっちのほうが肩が凝らずに観れるんだけど・・・。
2つの映画祭、映画は東京だけのものじゃない!からこそ、ずっと存在意義があったはずなのだ。
早くも来年が、心配になってきた。
取り越し苦労であってくれれば、いいのだが・・・と祈る。
以上。
付記:
今回は一映画イベントファンとして、あえて苦言を呈させていただきました。
楽しみでなければ、多くの熱心なファンにとっての<祭>じゃないよ!と。
いい映画を味わって観る、という<心>を皆さんに無くさないでほしいから・・・。
なお、会場係員の皆様は全体的には観客に大変、親切な対応をされていた事を付け加えておきます。
では又。
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- 2006/02/21(火) 22:37:23|
- 劇場用映画
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