主水日記。
三谷幸喜監督、といえば「ラジオの時間」に「みんなのいえ」。
その道のプロどうし、あるいは素人どうしの行き違い、良くも悪くも人間くさいぶつかり合い。そこから派生する様々の<悲喜劇>シーン。
人生は決して甘くは無いが、でもそんなに辛口ばかりでもない、と気づかせてくれる味な台詞の数々。
そうした規定路線の延長上に、今年は・・・
「THE有頂天ホテル」を持ってきた。
劇中でも示されている通り、洋画「グランド・ホテル」の日本的コミカル年越し版。篠原涼子の衣装などイメ-ジそのままだ。
(ただし原典は古い映画でおそらくは白黒、かすかなイメージの記憶しかない。一度スクリーンで通しで観てみたいのだが。DVDではなく。)
基本的には映画、というよりは大掛かりな<舞台劇>。
舞台は玄関先や通用口近辺を除き、殆どホテル内から出ない。
そのホテルの中は完全に、おなじみの三谷流人生街道ワンダーランド、なのだ。端から端まで。
未見の方のために詳細は伏せるが、隙の無い緻密な構成で年末年始の同一高級ホテル内に出入り、ないしは追いつ追われつ徘徊する人々を巧みに交通整理している。よくぞまあ、と感心。
息を抜く所が少ないのと若干長いのが気にはなるが、全体のワイワイ感と勢いはいささかも揺るがない。
複数の人間ドラマが交錯、彼らどうしの出会いやすれ違い、疾走は随所で<状況の笑い>を生む。
役所広司と戸田恵子のツーカー・コンビと生瀬勝久のてきぱき?ぶり。
篠原涼子、石井正則らの水先案内人ぶり。
往生際の悪い佐藤浩市の迷走ぶり。
松たか子、角野卓造、伊東四朗らの<秘境探検>ぶり。
オダギリジョー、香取慎吾、麻生久美子、近藤芳正、西田敏行、津川雅彦の(筋への)からませ方もうまい。考え抜かれている。
そして原田美枝子、YOUらが過去作品(どれとはいわんが・・・)とは比べ物にならぬほど、輝いて見える。こういう好ましい出し方があるじゃないか!
オールド・ハリウッドの真似だって?
それがどうした文句があるか。(演歌かよ、の声)
スピリッツがちゃんと継承されていれば、ええんじゃ。
ああ、これ以上は何もいわん。
各人、劇場でしかとその目を凝らして、フルコースをじっくりと味わうべし!
後、できたら内田けんじ監督の「運命じゃない人」も、ね。
(PFF出身のこの監督、「WEEKEND BLUES」観ただけでも相当シニカルな人間不信派?とみた。)
あれは脚本・構成がすべてなので、えぐいもんだらけ、という以外の事は一切、ここに内容を書かない。
なるべくなら、まずスクリーンで・・・。
エンディング・ロール後など、「スクールデイズ」の数倍ナイスですから。
以上。
あのホテル、保険CMの影響でアxラック、とつぶやいた人がいるかもね。
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- 2006/02/10(金) 19:59:29|
- 劇場用映画
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