壱の、日記。
4月17日(金):夜、渋谷。
ユーロスペース・レイトショー。
山田広野監督のDV長編、「バサラ人間」、公開最終日。
独特のいわゆるヘリウムガス?音声で、オリジナルのサイレント短編に活弁を付ける、
ブラック・ユーモア溢れる、自主映画活弁の旗手として知られる、山田監督だが。
今回のメイン作品では、活弁抜きで台詞つき、
長尾みのる、という人のイラストーリー(絵の入った文化小説本らしい)を元に、
60~70年代風衣装のエロあり、サイケありの異世界アート劇映画を、やってのけた。
いってみれば、さそり監督(既述)あたりにもやや近い、
エロと美女とアート、混濁の作風だろうか。
大体3部構成で、
遊びまわるわがままな人気女性タレント(久世律)、
新人アイドル志願の上京少女(仲村みう)、
若い頃食えなかった文化人男性(OBKA&帰りマンこと団時朗)の3人が、
それぞれの主役となり、
登場人物たちが時制の前後と共に、あちこちで交差する。
その辺は、エロ話が入るのも含めて、「罪とか罰とか」とも似ている。
(もう一つの共通点は、車か・・・?の声)
しかしまあ、えぐい事するなあ、蛍雪次朗の芸能マンは・・・!
笑っちゃった。おかしいよ、あんな検査。
気付けよ、ヒロイン!
全体に、カラフルなCGや衣装を投入して、
芸能とポップ・アートの、融合された舞台とされているのが、特徴。
現代(21世紀)の人々が通行する、あの新宿の街中を、
60・70年代風のファッションに、身を包んだ出演者達が、
入れ替わり立ち代わり往来し、
見世物一座・デリシャスウィートスが歌い、
不老不死?の麗人(采花)がつぶやき、横切る様は、
眺めているだけでも、新宿今昔時空旅行という感じで、なかなかに楽しい。
文化評論家らしき人物(団氏)が、
いかにもそれっぽい、お店のナビゲートをしているのも、面白い。
ホテルのいざこざなども、愉快。
ジュリーそっくりの人物には、又、微笑す。
一番しんみり来るのは、バーの女とポンチ絵描きの話・・・かな。
驚いたのが、エンディング・ロ-ルの不敵な長さ。
出演者各人が、新宿の歩行者天国で、一人一人、パフォ-マンスしてみせる。
テンポのいいBGMとともに、舞台俳優の芸達者ぶりが、連打されるので
都合でVTRだけの人が出ると、なぜお前はやらない!と怒ってしまいそうになる。
こういうエンディングの処理法もある、という一つの良き見本ではある。
映画の文句でも云っているのだが、
自由奔放、大酒のみとはいかぬまでも、
杓子定規、窮屈なる世に流されつつも、
負けず滅びず、飯を食い、軽やかに這いずり回り、
時には起き上がり、自分のやりたいことをやる・・・。
そんな、せめて精神だけでもバサラな野郎に・・・
小生などは、なれるものだろうか・・・?
長編終了後、引き続き、山田広野監督の十八番、短編活弁あり。
手製のクレイアニメ、「ピートト」の第2話が、
ようやく完成したとかで、1話と2話、一気にライブ。
ニワトリ型の魚が、金魚兄弟と対話しつつ、
怪しいナマズ出現におびえる、というだけのシンプルなもので、
後は、監督のアドリブ全開、
20代男女メインで満員の場内は、爆笑の渦に。
春の宵、ひと時の、至福。
土曜分に、続く。
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- 2009/04/19(日) 10:38:41|
- 劇場用映画
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