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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

ゲルゲーゲル・ダークリセット

秀の、日記。


3月7日、土曜午後、
西武池袋線、各駅電車で、江古田へ。
カウンター・バ-兼イベント会場、
江古田フライングティーポットへと、向かう。(注1)

昨年12月に急逝された、
自主制作映画団体・P-kraft所属の雄、泉常夫監督を偲ぶ、
追悼上映会、
<ツネオブロッサム! 泉常夫映画祭>の、ためである・・・。

土日の2日間、可能な時間のみだが、参加する事となった。

下北沢トリウッドでの、<東京インディーズ>活動立ち上げの頃や、
P-kraft10周年企画「DECADE」御披露目会などにて、よくお会いする、
落ち着いた雰囲気の、笑顔の紳士、という印象があって、
P-kraft代表・福島拓哉監督(注2)との、コンビ活動が長い人だったから、
急逝の報を知ったときは、大変、驚いたのだった・・・。

一部エンタメ系作品には、多少の当たり外れ?こそあるものの、
自主短編・中篇映画を中心に、
映像表現の可能性開拓に対しては、
8ミリフィルムから、デジタル撮影に至るまで、常に挑戦的であり、
また、新人女優の起用、舞台・朗読劇演出等、
常に、意欲的であった人。

その映画道の、盛りの真っ最中において、
唐突に倒れたのが、何とも、惜しい・・・。
監督作品の全貌?上映が、
このような形で、開かれる事になろうとは、思わなかった。


土曜は、半日仕事のため、
14時からの「YES WAY OUT」(注3)、「mono」、「DIVIIDE?」の再上映には間に合わず、
16時より、<ヤングツネオの閃光>コーナーより、入場。

プロジェクターによる、DV上映。
その後、泉氏の学生時代・職場・映画・演劇方面等、
知己関係をメインに、様々なる人々が入場、
店内は徐々に、にぎわってきた。

「The White Hands in Darkness」:(1983年、35分・8ミリ・カラー、スタンダード)
・・・は、学生時代、20歳の頃に制作の、青春サスペンス中篇。

もろに、松田優作を思わせる、黒眼鏡に白手袋の、
ちょっとキザな台詞を吐く、長身殺人犯。
彼の知人女性と、大学内ミニコミ誌の男性部員が、
彼の行動を怪しいとにらみ、調べ始める・・・。

70年代風サスペンス・アクションを、
80年代の明るいキャンパス周辺で撮った、という印象が強い。
走行中に、無茶をしている、カーアクション・シーンは、
危険度が高く、はらはらもの、である・・・。

泉監督自身も、事件を追うミニコミ誌の部員役で、ワンシーン登場。
やっぱり、若い・・・。
やや男っぽい?強気な長髪女性編集長が、目立つ存在感。


17時、<レアコレクション>2本。

「BECAUSE THE NIGHT」:(1999年・30分・DV・カラー・ワイド)(再見)

・・・は、ワンセットのコント?2本の間に、
夜間屋外ロケのドタバタを、1本はさみ込んだ、3部構成。
小生の知る限りでは、泉監督のコメディ路線作品では、
一番、ちゃんと笑える。
こういうのは、筋がシンプルなほうが、うまくいくもの。

しかし、大麻と寿司のアレ!とサファリパーク、
迷子青年とハーモニカ男とたこ焼きが、
こんな形で、つながるなんて・・・!

そして3部目は、
男女ペアが、セックスの是非でもめている、他人の部屋に、
お節介焼き?の人々が、徐々に増えてゆく光景が、
ばかばかしくて、苦笑す。
引き際があっけない、もう一押しほしかった。

「20s-21c」:(1999年・20分・DV・カラー、スタンダード)

・・・は、割と普通?の、ドキュメンタリー。
撮影時点の99年から2年後には、新世紀が来るわけで、
今20代の君は、2年後にはどんな人生だと思う?
と尋ねる、インタビューの記録。

へアスタイリスト助手なら、将来の一本立ち、
独身男女なら、結婚してるかも?というような感じで、
意外性のある回答というのは、少なかったのだが。

この取材時点から、現在すでに、10年経っているのを考えると、
いまや不思議な感慨すら、ある・・・。
30代になった彼らに、見せてみたい気もする・・・。


18時30分より、さらに3本上映。

「SNIPER」:(1999年・33分・DV・カラー・ワイド)(再見)

・・・は、中年男の殺し屋と家出少女の、純愛&ハードボイルド・アクションだが、
所々にあっけらかんとした、ユーモアをも含み持った、エンタメ作品。

巻頭でいきなり、男女のとんでもない出会い方(!)に、大笑い。
その後、主役中年男性を、ほとんど無言に近くしたのが、効果を発揮。
家出少女との筆談など、つい吹き出すシーンも、ある。
スナック袋?のジョークなど、一部すべっているところも、あるが。
正に、ヒロインを救いに行く男の、強さの理想形。
終盤の別離等、心憎いばかり、なり。


「憧憬」(2005年、35ミリ・DV・カラー・スタンダード)(再見?)

・・・は、とにかくヒロインが、じれったい。じらせる。

せっかく、自分を殴った若い男を捨てて、
同じ工場で働く、憧れの中年男性主任の家に、転がり込んでおきながら、
同居中も、主任に身をゆだねるどころか、潔癖なほどに、
相手との距離感、非接触性を保とうとしている・・・。

一緒にラーメンを食したり、一見親しげなように見えて、
同時にどこか、よそよそしさが見え隠れする、この、じれったさ。
男女同居の描写にしては、あまりにも、節度がありすぎる。

そのような状況が、
時折ガラス越しなどの、半分ぼやかされた画面の中、
ずっと、延々、続くので、
なぜ、目の前の相手が好きなくせに、
そうまでするの・・・?と、疑問が沸いてくる。
これも、泉監督のテレか、
あるいは、一種のデリカシー表出、なのだろうか。

ゆえに、今でも、納得はしきらないでいるのだが、
主演・堀井秀子の存在感だけは、くっきりと現れ、印象づけられている・・・。


「no rain」(2006年、4分・カラー・スタンダード)

・・・は、原点帰り?ともいえる、
きわめてシンプルな、撮り方。
日常的風景のスチール写真と、詩の朗読ナレーション、
およびBGMのみで出来た、くつろぎの短編。

こういう手法の短編を、トリウッドの<ベルトガ・フィルム>をはじめ、
あちこちで、見かけているが、
大島渚監督の「忍者武芸帖」みたいに、
迫力漫画のコマでやる手法も、あったな・・・などと。


20時より、トークセッション・「俺たちのツネオ」。

ウズマキマキオ(注4)・福島拓哉・堀井秀子(注5)・山本真規子(注6)による、トーク。
各人が、ここ江古田の自主上映会<融解座>で知り合った、
あるいは、映像会社つながりで、
映画出演を頼まれた経緯等を、全体に明るく、回想していた。
映画作りを学びに、泉組に参加した、という堀井嬢は、
泉氏を「師匠」、と呼んでいた。

日常の泉氏は、小生の予想をも超えて、
かなり頭脳緻密、かつ大胆で、
さらには、相当ユーモラスな人物であったらしい・・・。
その全貌はいずれ、氏に映画を学んだ、
周囲の多くの人々によって、徐々に、語られてゆく事だろう。

会場の入口には、学生映画の企画書やチラシ、
舞台演出の記録等が置かれ、
壁には、略歴と、複数の記念写真が張られ、
ささやかなる「泉常夫展」が催されていた。

そうか、エクアドル生まれなのか・・・。
幼少時からスペイン語圏経由で、川崎市育ち、
というのは、ちょっと珍しい生い立ちである。

もしかしたら、その辺の、外国社会経験から、
対人的にも、作品にも、
ある種のデリカシー傾向が、派生していたのかも、しれない・・・?
などど、来客達と小生も、いろいろ考えてみながら、話をしていた。

いまだに、居なくなった、という感じがあまりせず、
会場のその辺に、ひょっこり現れそうだ、と皆、言っていた。
それは小生にとっても、同じだった・・・。


この夜は、交流の呑み会に、しばらく残る。
なぜか、TV時代劇についての対話を、多く交わしたような・・・?


日曜分、次号にて、別記。
注1:初めて行ったのは、確か、
   鈴木明日香さんや、くがあすか嬢、他による朗読会であった。

注2:代表作に「PRISM」、「自由」他、多数あり。

注3:コメディ&ハード・ガンアクション中篇。
   小原茂樹・星野佳世・鈴木明日香、他、
   自主映画界の知人が、多数出演。

注4:江古田のこの店で、<融解座>という自主上映会を開いている人。
   ややこしいのだが、主催団体名は、なぜか<誘拐映画社>、である。
   今回の<ツネオブロッサム!>企画を、福島氏・堀井女史とともに主催。

注5:泉監督作品に常連出演の、自主女優。
「DIVIDE?」「BECAUSE THE NIGHT」「バカブロッサム!馬鹿風呂」他。
   「SNIPER」の妻役、「憧憬」の女工役は、ちょっと驚く出方。

注6:舞台女優、兵庫県出身。
   ナリオ監督「東京タワー」、福島拓哉監督「自由」等、映画出演も多い。
   






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  1. 2009/03/08(日) 11:58:46|
  2. インディーズムービー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

今日はお疲れさまでした。
本当いっぱい見てますねー!
12月のB・DASHの「ZZZ」っていうのが僕の作品です。
感想載っててびっくりしました。
  1. 2009/03/09(月) 02:18:01 |
  2. URL |
  3. 高橋コウジ #-
  4. [ 編集]

サンクス!です

<高橋コウジ様、
昨日は、ありがとうございました!

記事の、記述途中の時点に、
早々とコメントをいただきまして、何とも、恐縮です。

そういえば、「ZZZ」上映のとき、
小生も、観てますよね。
あのときの方ですか、世間は狭いですね。

過去記事も読んでいただいて、うれしいです!
今後とも、よろしくお願い致します。




  1. 2009/03/09(月) 22:28:49 |
  2. URL |
  3. アWorker. #-
  4. [ 編集]

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