錠の、日記。
3月1日、日曜。
新宿経由で、京王線準急。
調布グリーンホール、15時~22時。
<おかしな監督映画祭6 春の陣>、
略称<オカシネマ>を、訪問。
1回1000円。
例によって、人の出入りが、激しい。
多くの知人達と、再会す。
ここの上映会は、同じラインアップを、
1日に2回、やってくれるので、
遠方よりはるばる、来た人間にとっては、
見逃し作品が少なくて済み、大変助かるのだ。
皆、1本10分か、それ未満の短編。
場内では、来場者および観客による、
作品人気投票が行なわれ、即日、集計された。
以下、作品群。15本。
世志男監督「際会~サイカイ~」:
犯人の身代わりで入獄、ようやく出てきた男(池田ヒトシ)。
組織事務所に挨拶に行くと、
かつて偽装結婚していた女性(天正彩)が、死んだ事を伝えられた。
彼女の働いていた風俗業仲間に、生前の話を、確かめに行く。
一方、男を案内する、組織の後輩男性は、
急に、ヒットマンの大仕事を、することになり・・・。
これぞ、渋みの似合う、漢(おとこ)のドラマ。
女優も、思いきり、泣いている・・・。
夫婦生活、回想シーンの女優が、楽しそうにはしゃぐ・・・。
目頭が、熱くなるぜ・・・。
巨椋修(おぐらおさむ)監督「地球最後の晩餐会」:
今宵はなぜか、地球人類滅亡寸前?!の夜。
それにしては、呆れるほど緊迫感皆無!なのが、
親友同士の、女性2人(渡会久美子・太田美乃里)。
スーパーで売ってそうな肉やら、ワインやら・・・
意外と、普通?
こんなときにベランダで、目前の友に、
かつて彼氏を奪った、おわびなどを・・・。
まったくもって日常的マイペース、のんきな人々だ・・・。
あそこまであっけらかんとは、拍子抜け、苦笑なり。
麿(まろ)監督「てるてるブルース」:
水原香菜恵、出演。
都会の毒気にうんざりした、青年が、
スーツのまま、田舎へ脱出。
田舎道のバス停で、待っていると、
バスは来ず、なぜかトラックと、
てるてる坊主姿の、女性が来て・・・。
とんだコスプレに、ちょっと、笑う。
のんびりした、ほほえましいお話。
樹カズ監督「家族~妻と娘~」:
ほたる(葉月蛍・改名)主演。
冒頭、どこかの人が、
ゴミ置き場に、転がってる・・・。
既に、異様。
一家の主婦、主人、女子高生の娘。
受験と三者面談を控え、一家団欒のはずが、
夫や娘の様子が、どうもおかしい、と気づきはじめる妻。
記憶が、抜けているのか?などと・・・。
やがて、見知らぬ女も現れ、衝撃の事実が・・・。
愕然。呆然。
SF・・・、なんだろうな。これって。
あの、あごの線が・・・こわいぜ。
ま、まさか、俺も・・・?なんて、な。
(やだよ~!の声)
大場一魅監督「動物園」:
アパートで、何かと悪い夢にうなされる、男(池島ゆたか監督)。
新聞店が置いていったらしい、優待券で、
一人、動物園へ通い、ベンチで休んでいると、
謎の豹柄女(里見瑶子)が、現れる。
折に触れ、語らう2人。
その女は気づいていた、男の悩みの訳を。
しかも、すぐそこの檻は、獏(バク)の住む檻だったのだ・・・。
中高年男性には、とても哀しい、
涙の、夢物語・・・。
ああ、晩年がこわい・・・。
原田マリア(注:男性!)監督「埋もれた絆」:
30代、独身女性のもとへ、
昔の同級生男性が、急死の報。
友達仲間が、故郷の神社に集まった。
卒業時には、彼女に届かなかった、彼のメッセージとは・・・。
ついさっきまで、OLやリーマン風だったメンバーが、
回想シーンで茶髪に黒ジャン、ツッパリチームに・・・
変身!と呼べる程のギャップ、
人生の季節はめぐるのだなあ・・・。
ちょい泣ける。
金田浩樹監督「315号室」:
渡会久美子、出演。
病院の病室、夜の面会時間、終了前を描く。
悲喜こもごもの、2組の夫婦。
治癒・退院が近い側と、
死期の近い妻と、その夫と・・・。
同時進行、これが、病院。
重い。
この作品、六平直政・町田マリー・愛染恭子と、
出演メンバーが、すごい。
よく、集まったよなあ・・・。
太田博監督「鯛の酒蒸し」:
年上らしき男性との、結婚を控えた女性(水原香菜恵)。
そこへ、入れ違いに、
前からの彼女の友人?らしき、
同年代男性(松浦祐也)がやってきて、
2人、自然にはずむ会話しながら、鯛をお料理。
・・・あれれ?
どうやらこの2人、いわゆる<セフ>らしい・・・。
会話も軽快に、明るい画面で、コミカル描写。
宇宙のビッグバン解説番組にツッコミながら、
楽しげな、リズミカルな会話、ちょっと楽しい眺め。
でも、微妙な男心、揺れる女心・・・
やっぱり、ちょっと切ないわ。
男よ、どこへ行く?
間宮結監督「爆音ダイブ」:
ほたる、出演。
どこか似た者同士?な、母と娘、
何かと、すれ違いが多いのだが。
今日も娘は、母に悪態ついて、
ひいきのバンドの出る、ライブハウスへ。
だがある夜、祖母が倒れた、との連絡がはいり、
動転した母は、娘の出生の秘密を、
娘に、明かしてしまう・・・。
ショックで駆け出す娘を、路上で励ましたのは、
あのバンドの、ボーカルだった・・・。
という、いかにもありがちな、お話だが。
母子の和解が、ほっとさせられるのは、事実。
結構似るもんだね、やっぱり。親子は。
ラスト近くの、サンダルが、ちょっと微笑ましい。
ひらがかんいち監督「殴り女(なぐりめ)」:
主婦姿の里見瑶子VS怪しい闖入者・田尻ひろゆき、
変人、というより、こりゃ、サドとマゾの世界。
とにかく・・・体を張って、
どつき漫才、というか・・・突き抜けてる。
もう、爆笑!!
シンプル・イズ・ベストの好例。
観客投票で、244票(!?)を得、
堂々のグランプリ受賞も、大いに納得す。
大高正大監督「狐と狸 The Swindlers」:
天正彩、出演、
もろ、タイトルどおり、
最初から全部わかっちゃうので、殆ど解説不要(!)。
だって、詐欺師と刑事の、話なんだもん・・・!
こういうコメディーは、結構難しい・・・。
別荘地と雪山を背景に、丁々発止の爆裂演技合戦が、見もの。
前田万吉監督「広治へ」:
中年男性に、妻。
妻はもうすぐ出産、というのに、
男は死期が迫っていて、それを妻に言えないでいる。
男には、女の死神が見え、その予告が聞こえているのだ・・・。
その死神から、紙を渡され、
「最後に会いたい人の、名前を書けば、会わせる」
と、言われた男は、迷った末、
ある人物の名を、入れた・・・。
そして、その幾歳月後、
自殺を決意した人物が、あるメッセージを受け取る・・・。
やたら変に、歌い踊りまくる、メイクした死神、
ポスト人間(!)など、
暗く生真面目なストーリーからは、想像もできない、
とんでもないシーン出現に、一時、大笑いさせられる。
そこだけ、<シネマ秘宝館>みたいで。
反則だよ~。でも、おもしろいぞ。
若林立夫監督「COGITO」:
SF、アンドロイド戦記もの。
かつての、恋人の記憶を、一部残したまま、
反乱、脱走した、女性アンドロイド。
確保すべく後を追う、研究所の刺客達・・・。
時々電機式に乱れる、記憶混濁の画面が、
井上ネオ監督の、「LIVE SHOW」のよう。
主役・水原香菜恵、ひたすら、かっこいいゼ!
太田作品とは、まるで別人に、
なりきっているのに、驚く。
人造人間ヒロインVS研究所組織、
敵の女性もバック転で、
壮絶、銃撃、バトル・アクション!
すきだな~、こういうの。
どしどし、やっていただきたい。
サカイケイタ監督「小さな雨」:
ほたる・大野瑞希出演。
画面には、2人のみ。
台詞、まったく無し。
かなり地味、かつ抽象的な、人物絵画。
レズビアン達の、旅立ち、
そして皮肉な、別れ。
唐突なラストに、やや驚く。
飛山拓也監督「メンヘルメルヘン」:
里見瑶子・三浦梢、出演。
過食症の少女と、ブリキ玩具修理屋青年。
二人は出会い、そして同居。
だが、少女の母が案じたとおり、
彼女は次第に精神を病み、壊れてゆく・・・。
そして今、青年は、少女の母親とともに、
入院中の、少女の見舞いに、向かう。
その姿には、涙せずには、いられない・・・。
ブリキ玩具や、赤い壁の部屋、チョコレート、
蜃気楼のように揺らぐ画面は、
不思議な懐かしさを含んだ、記憶の向こうの、幻・・・・・。
その風景は、あたかも、
映画という、夢幻装置の誘発する、
甘美なる過去の記憶の、一端のごとくに、
切ない想いを醸し出し、光を放つのだった・・・。
以上。
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- 2009/03/03(火) 23:15:08|
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