鉄の、日記。
んじゃまず、1本。
鬼才・園子温監督の大長編新作、
「愛のむきだし」は、
ひとことでいえば・・・精神的求道もの。
きまじめすぎる神父を、父親に持った事が発端となり、
とにかく主人公の男子高校生が、はしからはしまで、
めちゃくちゃな目に遭いつつ、
愚直なまでに体当たりし、
状況に立ち向かってゆく話。
おそろしいことに、これ、<実話が元>だそうな。
だとすれば、まったく、なんて<実話>だ・・・。
まあ、あれだ、東映<実録>映画式?と考えれば、
血の気の多い辺りも、ありで・・・ってね?
擬似家族システム劇映画「紀子の食卓」の、
明らかな延長上に、あるとおぼしき、主要登場人物達。
ナイーブで、エネルギッシュすぎな、主人公。
そして拾遺には、神父パパと、
クセと存在感のある、ヒロインが3人。
きわめて、人生哲学的対話と、
きわめて通俗的な、青春・恋愛ドラマ&アクション・シーン群。
両者の絶妙なるブレンドにより、
そのあわいに咲いた、映画内世界を、
彼ら一人一人が、きわめて自由闊達に往来する様は、
圧巻、の一言。
中盤の大立ち回りは、その象徴。
女性チラリズム混じり?の、一同の動きっぷりを、
眺めているだけでも、活き活きとしていて、結構楽しい。
各人の持つ、<反発>のエネルギーが、
ちゃんとアクションの訴求力として、生きている。
こうでなくちゃ、いけない!
「家族がだめなら、このやり方で!」と、それぞれの人物が、
それぞれの手で、人間小集団のあり方を、模索。
特に、父親に受けたトラウマ、そこからの自己解放、
というのが、ドラマのサブテーマに、なっている。
皆、人間関係については、徹底的に辛らつで、
言ってる事もやってる事も、強引でむちゃくちゃで、犯罪的で、
その結果は、やっぱりというか、悲惨のきわみ!なんだけど。
とにかく、ず~っと目が離せない、毒づきと暴れっぷり。
おっかなびっくり、周囲の変貌に反応してゆく、
極度にナイーブな主人公を軸に、ドラマは転がってゆく。
前半のキーパーソンが、ストイックすぎる神父パパとすれば、
後半を、とことん振り回すのは、
陰謀仕掛人チームの、スケ番的?女性幹部。
もう、あきれるほどにコワく、しつこい。
おそるべき、悪女ガッツ。
卓抜なる情報収集力と、
両刀使いアピール?を駆使してまで、
とんだ遠回りで、周囲の人々を、
性欲御法度?の世界へといざなうのは、
一部、彼女の所属集団的には、
意味不明?な感じもあって、なんとも皮肉・・・。
他人には、なんだかんだと、偉そうに言ってて、
一番<罪が好き>なのは、こいつなのかも。
ナンセンス・アクション入りの、<盗X道>シーンでは、
一部の女性客は、さすがに、引いてたかな・・・と。
俺もちょいと、観ていて、恥ずかしくなってきたよ・・・。
あれ、誰が見ても犯罪、だもんな・・・。
大したテク、だけど、ね。
軽快に動き回る、当事者達4人衆が、
奇妙なまでに明るく、はつらつとしてるのが、
やっぱり、おかしい、笑わされてしまうな・・・。
あまりにも、あっけらかんとしてて。
一部で有名な、某イベント会場が出てきたのには、微苦笑。
いかにも、ありそうな話、なり・・・。
(ところで、この映画の<さXXさん>って、もしや・・・?の声も)
全編、万事がドタバタ調、テンポよく快調に展開。
人間くささと、ちょっとのエロと、
恐怖と、黒い笑いが、画面全体に充満。
これは現代の大映ドラマ、いや、大河ドラマだ。
相当な傑作、かつ問題作、といっていいだろう。
この映画、ベルリンでも上映したらしいけど、
よく当日、上映禁止に、ならなかったよなあ・・・。
ヨーロッパはみんな、神父の居るのが、日常な国だからな。
さすがに、心配になってくるよ。
どんな反応、だったのやら・・・?
と、はらはらも、したのだった。
結論。
コワいもの見たさ、度胸試しのつもりで、
一日、じっくり腰をすえて、観てみるべし。
わくわくと、ちょっとの後悔?と、
不思議な爽快感とが、
ごった煮で来て、すげえから。
以上。
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- 2009/02/08(日) 12:43:37|
- 劇場用映画
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