竜の、日記。
7日、日曜。
昼下がり、午後1時より、
御茶ノ水、NEONEO坐。
<未知の映像作家と出会う上映会>。
1日券、1000円。
以後、文字通り、
かなり長時間の、シネマ旅が、始まった・・・。
果たして、体力と気力が、持つだろうか?
行けば、自動的にそうなるだろう事は、わかっていた・・・。
わかっていて、あえて、
師走のこの時期に、伺った。
その理由は、プログラムの1本目に、あった・・・。
13:00~
<ときめきチーム>繁田健治監督、
「不可抗力ふたりきりの泊りがけオフ会」。
題名で、内容を全部、言っちゃってる。
オフ会で、旅館に人を集めたら、
来たのは、男女たった1組のみだった・・・。
男は、「xxxxしてもいいよ」モードだが、
女は、「見せるだけね・・・」「覗くのはいいわ・・・」で、
ベッドのほうは、まるでその気なし。
これじゃ、寸止め状態の、ラブドール、
ただの添い寝プレイ・・・。
(何だよ、つまんねえ・・・!の声)
2通りのエンディングは、
かつての<ときめきチーム>作品でも、おなじみの手法。
2人のぎこちない会話と態度が、ユーモラスで、
面白いには、面白いのだが、
なんとも、いたらない(いたさない?)もどかしさが、残るものだった・・・。
伊藤学監督、「BALANCE」。
現役大学生達の、ごくごく普通の、恋や日常生活を、
現役大学生達が、きわめてオーソドックスに演じる、中篇ドラマ。
長まわしのキャメラが、彼らの姿を、じ~っと捉えていく。
就職部の、PCルームで泣き、
彼氏ともすれ違いかけている、悩める女子大生に、
あるいは、
2人の女子の間に居る、男子学生の、
煮え切らない態度に、
駅から電話して、怒りつつ泣く、別の女子大生に、
一時、胸が締め付けられる・・・。
留年しまくっている、ミュージシャン系?のバイト男子学生が、
女子大生の一人を、
ユーモアを交えつつ、なぐさめて、諭す姿に、
又、静かにタバコを吸う、見知らぬ男女どうしの、
暫時、対話する姿に、
若干の救いを、見る。
彼らはこれから、どんな社会人に、成長してゆくのだろうか・・・?
全体に、少し長い感じなのと、
終わりがやや唐突なのが、気にはなったが、
概ね、共感と好印象をもって、観れた。
15;:00~
義之智子監督のデビュー作、
「埋める、と壊れる」。
わずか8分ほどの、短い中に、
奇妙なアート世界が、炸裂。
コンクリート・マンションの、廊下と窓を前に、
主演女優、くねくねした踊りを披露。
扉の覗き窓から、ぬっ、と覗き返す両眼、
カメラが断続的に引くと、その扉を女優が、持っていたり。
その逆に、黒い長方形の、目隠しをしたり。
誰だかは、すぐ、わかるのだが・・・。
捨て身の、パフォーマンス。
そして、その顔面に流れ落ちる、
タールのごとき、黒い液体・・・!
なぜにそれ程、はじけ跳ぶ?
今回観た中で最も、鮮烈なる、短編なり。
倉田愛実監督、「シェルター」。
黒いバック画面に手書きの、線描きアニメーション。
地上より燃料を運び上げる、パイプ・タワーの頂上には、
球状のシェルターに包まれた、
ヨーロッパのような人工都市があった。
普通に、買い物や洗濯をする、
一般の人々の、日常。
牛や豚や、鶏の卵が、人間の食糧となるべく、
科学の力で変化させられ、ベルトコンベアーに乗り、
手際よく次々と、加工肉と化してゆく。
そのくにゃくにゃした、形状変化のさまは、シュールですらある。
しかしある日、そのシステムに異常が発生、
牛や豚たちが、商店で暴れはじめて、
人々が放り出される、暴動に・・・。
いささか教条的テーマなのが、気にはかかるが、
丁寧に描かれていて、よく出来ているアニメ。
線描きの、動物達の輪郭などが、
生物増殖のごとく、
なめらかに、くにゅくにゃと、変貌してゆく様が、面白い。
(薄気味悪く感じる向きも、あるだろうが・・・?の声)
引き続いては、犯罪三部作。
坂井田俊監督、「太陽は知らない」。
同・監督「怪物はここにいる」。
同・監督「壊したいおもちゃ」。
この3本、三部作というか、
題材も描写も、酷似しすぎている。
1本目こそ、下宿部屋で淡々と、殺人を実行した男が、
じつに無感動に、やはり淡々と、死体の処理を行なって、
後は部屋に戻って、食事してる・・・それだけ、という、
そのあまりの、ぶっきらぼうさ加減に、妙な感覚を覚えるものの。
その直後に、まったく同一の調子で、
似たような画面・音声が、2本も、延々と続くのでは、
見せられる方は、どうしても、ダレてくる・・・。
特に後の2本は、ロケ地こそ変えているものの、
殆ど、連続リメーク、といっていい。
ただの夜道を、だらーっと撮っていて、
通り魔的殺人犯の青年、チャリで逃走、
被害者の恋人が仇討ちにパトロール、
そして犯人発見、取り押さえ・・・・・。
と、まるで、同じ展開。
長い。
これは、ちと、つらい眺めだった・・・。
17:00~
今井美晴監督、「カインの赤いしるし」。
布団に眠る、白い服の双子姉妹、
その名は、RIGHTと、LEFT。
ある日、急に、RIGHTが居なくなり、
後にはバラの花が、一杯残された。
LEFTは外へと、小船を漕ぎ出し、
RIGHTを、探す旅に出かける・・・。
という、全体に画面が白っぽい、少女ファンタジー。
中村泰仁監督、「OUTBACK TOTAL ECLIPSE FESTIVAL」。
オーストラリアの大地、
荒涼とした、砂漠の真ん中に、テントがいっぱい。
やたらに陽性、
一大リズム・ダンスの祭りを記録した、ドキュメンタリー。
男も女も、老いも若きも、
とにかく陽気に、延々、踊りまくる・・・・・!
時折入る、字幕やCG模様もあって、
ダンス・クラブ向きの、リミックス映像そのもの。
明るく陽気なのは、とても良い。
けれど、33分以上も眺めていると、
さすがに、観ているこちらも、スポーツ状態、
もう、へとへと・・・なのだった。
西沢利一監督、「君が笛を吹く時に僕は何を祈ろうか」。
劇中でも明かされている通り、このDV作品は、
井口昇監督の自主フィルム名作、
「わびしゃび」(1988年)の、真っ正直な再現型。
映画撮影向けに呼んだ、女子学生への、
男、かつ監督としての、複雑な想いを、
DVカメラを持ったままの監督が、
延々、独白する、記録映画。
今も昔も、不器用な、
男ってやつは・・・と。
ほんとうに、何から何まで、
お手本の旧作フィルムと、そっくりである・・・。
違うのは、今のカメラのほうが、
多分バッテリーがもつ事、くらいだろうか。
懐かしさとともに、奇妙なる感銘が、
確実に、ある・・・。
19:00~
片山春樹・藤田峻平監督「大木裕之映像ワークショップ作品」。
・・・すまん、何だかよく、わからなかった・・・・・。
映って居る、部屋らしき所が、
イマジカみたいな、
自主映画の試写室?状態なのだけは、わかったのだが。
マネキンの出ている画面が、襖(ふすま)に映っていて、
観ている長髪の人物が、部屋の誰かと会話しながら、
「いいね、いい、いい!」などど、感想を言いあっているが・・・?
いったい、何がどう「いい!」のか?
終始、彼らの会話が、
全然、理解不能・・・。
アーティストの突飛な発想は、
ようわからん、という感じだった・・・。
でも、内輪で何か、とても楽しんでいるんだな、
という様子は、伺えた。
佐藤健人監督、「君しかいない」。
部屋に入れた女に、ふられたばかりで、
失意の、青年。
職業は、AV撮影スタッフ。
ある日、撮影現場で出会った、AV女優は、
なんと、高校時代の同級生で、憧れの人だった・・・。
何とも、きまり悪い感じの、再会。
その事をタネに、彼女を自室に呼び出して、
熱烈プレイを、要求すると・・・!
そりゃ、たしかに、ショックだわな・・・。
でも、なあ。
どんなに好きな、女の子相手でも、
脅しは、いけないと、思うんだが・・・。
体育着のシーンが、いかにも・・・で、笑わされてしまう。
妄想のシーンだけかと、思っていたので、
さらに・・・変。
主人公が一歩成長?した、
ラストが、まあ、救い。
増山友寛監督、「世界のまん中」。
タイ・インド・チベット?近辺を、
列車等で、はるばると往来し、
刑務所訪問(!)まで行なった、
海外を歩く旅人の、記録映像。
しばし、アジア世界、漫遊気分なり・・・。
20:20~、作家交流会・兼・夕食会。1000円。
約6名ほど残り、皆でチゲ鍋等を食し、
相互に作品評等、心豊かに、
大いに語らい、交流す。
かくて、22時前まで、残るのだった・・・。
長い、かつ充実した、シネマ・マラソンだった・・・。
以上。
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- 2008/12/07(日) 23:43:43|
- インディーズムービー
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