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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

ガルスも呆然、男と女と石と!

竜の、日記。


石コが浮かんで、木の葉が沈む・・・とは、
理不尽な事が何かと多い、憂き世を嘆くときの、決まり文句だが。
この日まさに、そういう内容の学生映画に、 出くわした。
(注: 昼の部でも、別な映画を観たが、
そちらについては後から、別記とする・・・。)


土曜より、渋谷ユーロスペース(3F)、レイトショー。
東京藝術大学・大学院映像研究科、第二期生修了制作展。

と、「ぴあ」の案内にあったので、
てっきり、上野公園の学校?とばかり思っていたが、
会場でチラシを見ると、現在の校舎は、
横浜の馬車道、関内の近くとのこと。
時代は、変わっていた・・・。

上映開始前に、30分ほど、
学校の先生らしい司会中年男性と、全出品監督のトークショー付き。

黒沢清監督のご推薦映画などを参考に、撮ってきた人達が多い模様。
今村昌平、相米慎二、ルノワール、
カーペンター、井口(奈己?)などの監督名が、
トークの監督達の好みによって、次々に挙げられる。
今平路線やれよ、と横浜で評された監督(吉井か?)も、居た模様。

一同、チェックした進行表と打ち合わせの通りに、
てきぱき進めようとするが、
途中突然、とある女性監督が、
「・・・・あ、(話すことを)忘れちゃった!」と口走り、
学校関係者らしき、若き男女でいっぱいの場内が、
笑いに包まれる、一幕も。

まあ、ほほえましい光景である。
似たような事は、映画美学校の上映イベントなどでも、たまにある。
肩の力を抜いて、観客と接していただきたい。


さて、この夜の上映は、
吉井和之監督の、「緑川の底」(HD・73分)。


筋自体は単純明快、
川の流れる町を舞台に、
幼馴染の男女2人の、ちょっと変わった、成長?物語。
小学生篇と、成人篇があって、
二つが次第に、回想式で交錯してゆく構成。

小学生編では、
なよっとしてて、ぱっとしない、酒屋の男の子。
ちょっと男っぽく、関西弁混じりの、学級委員の女の子。
なかなか、キャラが立っていて、
展開をちゃんと、引っ張ってくれるのが、よろしい。

クラスの、ガキ大将たち3人組は、
2人のことを年中、「このオンナ男!」「オトコ女!」などとひやかし、
学校でいたずらして、男の子にスカートをはかせたりする・・・。
このワルガキ共!いったいどこから、持ってきたんだ?妹のところか?
お前らのほうが、よっぽど怪しいぞ!

で、スカートはいたまま、ぶつぶつ文句言ってる男の子と、
「オンナ男なんて思ったことないよ!」と男っぽくしゃべりながら、
彼の周りをくるくる回る、女の子。
河川敷を歩く2人の世界が、さながら「転校生」のごとし。

面倒を恐れて、子供達のトラブルにも、見て見ぬふり、
「黙ってろよー!」ばかりの担任教師に、
愛想をつかした女の子は、
やがて引っ越し、本当の転校生になってしまう・・・。

そして、10年の月日が流れ、
主役の2人は、同じ町で再会する。
母親の記憶から来るトラウマと、インポテンツに悩む、釣り船のバイト青年。
かつてのクラス経験を踏まえて、教育実習中の、女性教師。
と、いう形で。

再会した2人は火がついて、
でも、少年少女の昔には戻れなくて・・・
と、いう話なのだが。


実はこの映画には、もう一人、
いや、もう一つの主役が、いるのだ・・・。
それは・・・・・<石>。

小学生時代から、成年篇にかけて、この町には、
近所で石を集めては、物によっては高く売れる、とワルガキ共に言っている、
「無能の人」の主役風な、リヤカー引きのおっちゃんが、住んでいる。
主役の男の子は、彼からもらった<石>を、ずっと持っていて、
一種のおまじないに、と使っていたのだが・・・。

後半、この不思議な魔力?を暗示させる<石>の、
でかいのが現れて、騒動の元に、なってくる・・・。
そして、なぜか・・・
物理的に、ありえない!事が、起きるのだ・・・!

第3の主役は、間違いなく、
このとんでもない、<石>。
何で出来てるんだ、あれは?

これの存在ゆえに、
定番化しかけた成長?のドラマが、
急速に、ファンタジック方向に変化し、
2人の物語と三角形に融合、映画らしき魅力を、一時、放つ。
青年が水に入るシーンなど、
もしや、あのまま・・・?などと一時、思いかけただけに、
この展開は、かなり興味深い。

その延長上たる、ラストの唐突さには、さすがに唖然、としたが・・・。


その先には、まさか、
「水の中の八月」の世界が・・・?
などと、つい、妄想してしまったのだった。


以上。






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  1. 2008/05/25(日) 01:15:15|
  2. インディーズムービー
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