弐の、日記。
土曜夜、21時10分より、
渋谷ユーロスペース(現在の新館)、レイトショー。
女性監督による短編映画の、最近作特集上映、
<桃まつりpresents 真夜中の宴 弐の宴>。
ほぼ、満員。
当然ながら、女性客比率が高い。
この夜、和服の司会は、
「きつね大回転」なる作品の、出演女優。
なぜか、上映前に、落語家の一席付き。
どうやら、円楽師匠のお弟子さんらしい。
楽屋が大勢、客が1人のときの、高座の苦労話?を、まくらに、爆笑を誘う。
心中でだましあい、の例の噺、
さすがに、流暢な語り口。
短編作品群自体は、
悪く言えば、全般的におとなしい印象のものが続き、
みんな、もうちょっといきいきと、
人物や画面動かして、弾けてよ!
といった不満も、多々あるのだが・・・。
よく言えば技量安定、
音声も画面もドラマも、はっきりとしていて、
概ね安心して、眺めていられる仕上がりなり。
冬の夜、スポーツクラブの外で起きた変事に、
2人の男が違う反応を見せる、
大野敦子監督・「感じぬ渇きと」('08)。
明らかに、東京の市街地の真ん中で、
油揚げや肉を使った、奇妙な狐狩り作戦が始まる、
片桐絵梨子監督・「きつね大回転」('08)。
母親の葬儀で、娘の姉妹が、知人の男性と再会、
亡き母と、家を捨てたらしい父への思いを、
姉妹が静かに語り合う、
木村有理子監督・「daughters」('07)。
働く父と小学生の息子、
ある日、息子が事故に倒れ、
父親のもとに、何者かの抗議と、無言電話が来始める、
竹本直美監督・「あしたのむこうがわ」('08)。
臨海公園で、少女と男性が、なんとなく出会って、
しばし、<愛の持続性>について対話する、
深雪監督・「希望」('08)。
・・・の5本とも、大体、そういう印象、だった。
あまり表現上の飛躍は、無いけれども、
どれもささやかな、ちょっといい話、というもので。
以前、<ドロップシネマパーティー>にも、
<狐の嫁入り>を扱った作品があったが、
この<桃まつり>にも1本、狐モノが、あった。
それが、「きつね大回転」。
5本中では、多少、いいかな・・・と。
人を化かすきつねと、きつね狩り男女のやりとりを、
都市部の真ん中に持ってくる着想は、なかなかにユーモラス。
だが、そこから先の表現が、淡いのだ・・・。
きつね役?が幽玄で、ちょっといいだけに、もったいない。
(・・・って、前のやつも、そうだったんだけど・・・の声)
エスカレーターや、血糊の出るシーンは、一瞬、どきっとした。
泥団子や、料理の景など、
<あちらとこちら>の行き来を示すあたりは、ちょいと、くすぐられる。
周囲でも、ウケていた。
やりようによっては、もっと面白くなりそうな、題材ではある・・・と。
ラスト1本の、「希望」にからめて、若干補足。
テーマとしては、「愛ってほんとに、永遠なの?」
「女性をずっと愛して、いられるものなの?」という、
少女の素朴な疑問に、
結婚前の男性が、彼なりに答える話なのだが。
その質問をもし、「永遠に映画を、好きでいられるの?」
「あなたは本当にずっと映画を、楽しんで観続けていられるの?」
というものに、置き換えたとしたならば・・・
「比重や好みや、感銘の度合いは、
観始めた昔とは変わってきてるけれど、
それでも多分、やっぱりずっと、観続けるだろうな・・・」
と、答えておく。
それだけは、いまだに以前と、変わらないようで。
以上。
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- 2008/04/06(日) 02:00:49|
- インディーズムービー
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