八丁堀同心・主水日記。
とある年、とある日より我、一念発起す。
以後つれづれなるままに、想い出すままに、昨今見聞きせし映画作品、ならびに関連イベントその他の事象を中心に触れて記してゆかん、とす。
以下はその続きなり。
今思うに、映像温泉芸社HPにての間借りスレッドの最終回にせめて
<シネマ旅の途上にて 第一部 完>
と記しておくべきだった・・・かも。
さて。
当欄スタート以前に書き残していたイベントの作品群から参るとしよう。
6/5(日)池袋scum
<魁*やまうちようこ聖誕祭>
ここ池袋scumは地下の黒塗りスペース。普段は絵画展示スペースなのを曜日により自主映画上映やミニ・ライブパフォーマンス向けに貸し出している。
イベント題名どおり今回は自主製作団体<乙女天国>発起人の一人・山内洋子監督の誕生日が6/4なのを記念した祝賀会を兼ねた上映会。
彼女は前日の誕生日、都内野方区民ホールにて<シネマ愚連隊>製作・高橋亨監督の新作「豪快エロ坊主」(同時上映「痛快エロ坊主」)御披露目会にて、製作協力団体<電丼>主催の通称<TAT>監督とともに司会を担当している。その翌日に14時からの昼の部<乙女のマチネ>編に18時よりの夜の部<大人のソワレ>編、と通しで主催。入りも知人中心にまずまず。
オープニング、大仏の前で手を振り走るOP映像に皆、吹き出す。
以後山内監督の作品群、<乙女天国>監督3人衆(山内洋子・寺島ゆき・藤井徹)短編作品集の上映、3人および特別ゲスト数名(小粋な女優達!)によるトーク、と続く。
山内監督の代表的中篇「ラブハンターチャンス」「濡れないジョロウ蜘蛛」は昼・夜とも上映あり。
(2本の詳細は<映像温泉芸社>HP内過去スレ<who are you?>他を参照。とにかく女心の闇を片やコミカルに、片やシニカルに吐露しユニークな表現に昇華した必見作である。ぜひ上映会でつかまえて観てもらいたい)
夜の部、ラストには<紫ベビードール>なるけばけばしき衣装に身を包みし艶っぽい男女ダンサーチーム(シャンソンで知られる<青い部屋>なるバーでも踊るそうである)
&山内嬢自身による派手かつ刺激的なサンバ?いやムーランルージュ風ダンスショーを披露。
山内洋子監督、2日連続登板でよくぞここまでエネルギッシュに・・・とただ、ひたすら感心す。
映像学校イメージフォーラム出身・<乙女天国>3監督の作品については、<12の眼チャンネル>放映向けに制作されたと云われる複数の短編群が並ぶと、寺島作品がスタンダードな室内等の撮影に心情風景、とすると藤井作品は男性らしいちょこっとエロな?接触点願望、山内作品は女性監督ならではの女心の屈折した闇・ライバル心などの表明、と三者三様に特徴がかいま見えてくる。
山内作品においてはその上に、人体の表層(皮膚の毛穴・妊婦の腹部など)を局地的に見据え時に<題名>までそこに描いてしまうミクロな視点(「とろける脂肪」「ぐずつく乳房」他)と往来・砂漠などに広がってゆくアート風な空間性とが交互に加わり、小説や詩でいうところの<行間>の味わいが醸し出されてゆく。その表現の豊かさが時に心地よい。
あくまでも私見だが、一部でよく言われる「アート系列映画は娯楽エンタメ系映画よりつまらない」という通説は山内作品に関しては当てはまらない、と云っておきたい。男性観客の小生をも揺さぶる何か、が確実にここにはあるのだから。
それら以外で記憶に残ったのは・・・
アパートの女が男達を誘い込んではXXしXXする(コワ!)サイレント8ミリデビュー作「蜜の匂い、みわく荘」にその後の作品群を特徴付ける原点が多く見受けられる事。(蜜の匂いの唄、といえば「ラブハンターチャンス」。)
「美術監督・木村威夫メイキング」独特のアート絵画的なセット内に一瞬、「ラブハンターチャンス」出演女優・秋桜子の存在感を見た事。(こういう人、貴重です)
「任侠コント ご苦労さん」の見もふたも無さ。
「ずぶ濡れ不燃ゴミ」で男にゴミ袋ごと羽田あたり?で海辺に捨てられた女性達、その引き取り・リサイクルを担当する女性役人の、いかにも無感動そうな仕事のさばき方。
「ぐずつく乳房」(再見)における新宿、雨、砂漠、転がる傘。そして母への愛。
以上、断片的にフラッシュバックしたシーン群を記す。
自主映画界にユーモラスかつ独特な位置を占める映像詩人・山内洋子監督。
その新作が待ち遠しい。
今後ともたゆまぬ精進を期待している。
本日、以上。
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- 2005/07/08(金) 21:38:00|
- インディーズムービー
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