旅人日記・秋の特別篇、その参。
9月29日、土曜日、午後。
14時より、地下の舞台劇場・ザムザ阿佐ヶ谷。
すぐ上の階が、特集上映のメッカ、ラピュタ阿佐ヶ谷である。
自主枠スタンスのDV映画、
「愛に飢えた獣たち」(岩元哲・越坂康史共同監督)に、
休憩なしで引き続き、30分ほどの舞台劇「コンテナ」を付与した、
いわゆる、コラボ・シアター方式。
ともに、主演は女優の三坂知恵子。
チラシを見ると、<1978年冬の設定>で、
<昭和の空気感を描こうという・・・>
<女子高生役に挑んだ!>とある。
挑んだ、って・・・。頭を掻く。
もともと舞台の女優さんだし、
女子高生姿の役は、堀井彩監督の「浅草チェリーボーイズ」や、
ロフトプラスワンの「花と蛇」PR等で既に観ているから、
小生には、それほどの違和感もない。
若い人にはどうだか、わからないが。
そういう視点で見るに、「愛に飢えた獣たち」は、
暴力的な父親に蹂躙される、悲惨な境遇の女子高生と、
彼女に惚れつつも、その時として奔放な言動に、
振り回される男子高校生を扱い、
その道行きの果て、
つかのまの幸せと、その崩壊を追いながらも、
割に普通?の芝居と編集による、典型的な悲恋劇映画になっていた。
ただただ、男は女についていけない、結局置いていかれる・・・
という、むなしさだけが、こちらの心には残るのだった。
続く舞台劇「コンテナ」では、薄暗い舞台上に、
映画と同じ姿の三坂自身が、男性数名と登場。
シルエットのみ映っている、
寝たっきりの音楽家らしき老人を世話しつつ、
別な男達と売春行為を行い、
老人と結婚し、脳波上で交わる?ために、
その男達の中から一人を、
コンテナならぬ、脳波受信アンテナ(!)代わりにしようとする、
という芝居。
実質、三坂女史の、箱庭的世界で動き回る一人芝居、
と見てよいだろう。
火のついた蝋燭が多く使用され、
舞台は、だんだん、スモークだらけになった・・・。
若干、芝居が長いような気もしたが、女優を近くで見れたのは良かった。
同・9月29日、20時半頃。
またまた、シネマアートン下北沢。
(ご縁があるようで・・・の声)
レイトショー初日、短編企画、お題はなんと・・・
<裸over8>。
そう、例の<over8>グループ企画、その第2弾。
裸、という言葉にまつわる短編映画を、
各監督が撮ってくる、というもの。
どう料理してくれるのか?が見もの、である。
例によって、見る前は、
大丈夫なのか?という気持ちも幾分、抱えていたのだ。
なにしろ、前日まで、同所のレイトショーでやっていたのが、
あの呆然とさせられた、触れ幅のやや大きい、
<そんな無茶な!>だったものだから、余計に・・・。
そして、満席プラス補助椅子数個の、大入り状態で、
監督舞台挨拶の後、
いざ、フタを開けてみれば、
案外はずれの少ない、「これ、当たり!」作品が、並んだのだった。
桑島岳大監督「肉」。
肉屋でロケされた、コント舞台のような、押しの強い喜劇。
「肉のせいで太った!」と、肉屋に文句をいい、荒れまくる女性。
「俺より太ってない!」と怒る、大柄の、肉屋の父ちゃん。
2人のぶつかり合い、キレッぷり合戦、うろたえぶりなどが、
相撲でも観ている様で、面白く、迫力満点。
ちょっと、ほろっとさせるのも、いい。
正に肉体と、力演のなせる技。
(意外に、笑う女性層も居たな・・・の声)
川野弘毅監督「青い種」。
ほぼ同じ性癖?を持っていたらしき、父と息子の、
かなり、しんみりさせられる話だが、
病室のシーンに、若き日々の回想挿入で、砂漠が出てきたり、
60・70年代風サイケ?フーテン?ファッションで男女が登場したり、
ファッショナブル・ゲイのお兄さん役が好演したり、
病室がカラフルなパーティー会場に変わったり、
などのシーン展開が、おもしろく観れる。
ちょっとした、時空万華鏡。
加賀賢三監督「電波大戦」。
ある組織の<教祖>奪還作戦に、駆り出された青年の、奇妙な冒険。
やがて、ある真相にぶちあたり・・・。
という、筋は抜群に、面白い。
が、終盤が長台詞だらけで、ややごちゃごちゃしていて、
わかりにくくなるのが難点。
煙に巻かれたような・・・狙いか?
ミニコミでノベライゼーション、出してくれ!
前田弘二監督「恋の裸」。
例によって、キャメラ長廻し効果の賜物。
同居中の男女の家へ、風呂を借りにきた、ヒゲ男クン。
エロ本のコラ-ジュ?に興奮したり、少々暑苦しい男だが。
どうやら彼は、ここに住む女性に惚れているらしい、とわかってくる。
だが、
彼女は既に、同居中の男との正式な結婚を、決意していた・・・。
やがて、励まし?にとやってみせる、彼女の行動が唐突だが、
同時に、妙に納得も、させられる・・・のだった・・・。
気恥ずかしさと紙一重の笑いが、随所で起きるのと同時に、
嗚呼、男の切なさが、こみ上げる。
佐々木誠監督「マイノリティとセックスに関する2,3の事例」。
坊主頭の、電気自動椅子に乗って移動する、身障者男性。
ビル街の守衛と言い争う一方で、
生活観や、恋人とのセックス・ライフについて、
あっけらかんと語り、
デートの様子をDVカメラの前に見せる。
ドキュメンタリー形式の、好短編。
カメラマンのスケートボードと競争して、圧勝可能!なのにびっくり。
主役男性が、実にいきいきとしていて、活気に溢れ、
その存在感と、運動性を思いっきり、見せつけている。
顔は出ないが、カメラを構えたまま、質問攻めするレポーターも、
スケートボードに乗ったままコケたり、ユーモラス。
本人が見えなくとも、
カメラの動き自体が時として、画面の運動性を示して、
映画をおもしろくするもの、なり。
この夜、打ち上げに参加。
珍しく、様々な人々と、映画論等を語り明かしたのだった。
以上。
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- 2007/10/07(日) 13:26:15|
- 劇場用映画
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