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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

海辺か水戸か印籠か

旅人、覚書・秋の特別篇。

<休載期間半月分の、あらまし>、その壱。


アテネ・フランセでの良き再会の翌日より、
その後も小生は、シネマ旅を続けていた。

9月に2回あった連休中には、
まだ、行ったことのない所へ、旅に出ようと決意した。

そして9月16日(日)、
<海洋映画祭in幕張>短編コンペ部門を、初めて訪問した。
整理券のみ、入場無料、沖縄民謡ライブ付きなのは、ありがたかった。

始めに、番外編として、
典型的コンペ参加組の基本的制作パターンを、軽く解説した短編、
大阪大学映画部・藤山幸一監督の「海の映画ができるまで」が、かかった。
コンペ上映作品は・・・。

石井武伸監督「潮騒幻想」
(荒波と祭りの練り歩きがシンクロ。環境ビデオ風)

河村康平監督「ウミナカ」
(魚が世間話するアニメ。大笑い!シネマ秘宝館向き?)

西坂幸祐監督「オボエテマスカ」
(地方の高校生男女、地元で就職か、都会で進学か。
彼女を見送った彼の、思い出話。淡々と語る。切ない・・・。)

藤原純三監督「帆船に思いを馳せて」
(ヨット・セーリングと帆船が大好きな人の、自伝ホームビデオ的記録)

阿部 香監督「A beautiful World」
(水を汲んで売る男、その設備実験、
大規模化、洪水・・・という、わかりやすい夢。
相当に描きこまれた、海外寓話絵本風アニメ。力作)

源 健太郎監督「SWIMMER 僕は泳ぎたい」
(・・・ほんとにそれだけの、ミニ喜劇。
水泳パンツ一丁で、住宅街を走った主役の度胸だけは、買おう)

中平里美監督「message bottle」
(素朴な水彩画、リミテッド・アニメ小品)

大畑直毅監督「ある夏の出来事」
(注目の?城西国際大学作品。大学生、拾った貝で幸運が舞い込むが、やがて効き目が・・・。
運に頼り過ぎるな、という戒め?藤子プロ漫画風。
テンポがゆるすぎ、まだまだ無駄が多い。もっと切るべし)

松本卓也監督「ウエイト・ヘビー」
(シネマ健康会、粟島と都内ロケ。島を出た姉と弟、都会の夜に電話。子役との対比がいい。ちょい泣かせる)

田井義輝監督「SUICA」
(頑固親父と娘と彼氏、ご対面。娘の部屋が海の家そのもの、お父さんのやきもきで、笑わせる。デジタルハリウッド組の本領)。

その後休憩をはさんで、22分の作品、特別上映あり。
野田千晶監督、「旅んちゅのラプチュラスブルー」。

南の島と都会で、男女数名が、結婚式やら、葬式やらを控えつつも、
入れ違い、出会い、すれ違い、溺れかけ、泣き笑いするだけの、
割にのんきな、ドタバタなお話。
風景が相当、綺麗。
オチが、何とも皮肉・・・。

結局、上映作品中で、
こちらの自主映画のイメージを覆す、飛びぬけたイメージを実現していたのは、
「ウミナカ」と「SUICA」の2本のみであった。
(後日、「SUICA」のコンペ・グランプリ受賞を知ったが、妥当な線であろう。)

さらに、3人娘?による沖縄民謡ライブ。
ボーカル女性はなんと、
地元局・チバテレビの、21時半のニュースキャスターであった。
観客のノリがちょっとカタいので、
踊りの手の動かし方を、指南する一幕も。
ラジオ体操、やってる気分に。

表彰式まで残らず、本祭会場のシネコンを若干、見学後、
そのまま、高田馬場BABACHOPへ、直行。
<怪奇劇場>3回目作品群、再映イベントあり。
終盤挨拶と打ち上げのみ、参加が出来た。
謎の長髪妖怪?登場趣向が、人気。
この夜、多くの人達と語らい、珍しく?酩酊す。


またその翌日、9月17日(月)には、
<水戸短編映像祭>コンペ部門を、こちらも初めて、訪問した。
常磐線とバスで2時間の長旅、はるばる来たぜ、水戸芸術館ACM劇場。

庭の、トロフィーみたいな銀色モニュメント?が、
ウルトラマンのようにでっかくて、ちょっとびっくり。
この会場、映写はいいのだが、休憩時間が各15分、
カフェでコーヒーを頼む時間がなく、自販機もやや遠いのが難点。

3部構成で上映された、きわめて質の高い、コンペ上映作品群は・・・。

たかひろや監督「となりの子」
(のどかな方言、田園の地方高校、。優柔不断な青年。
片思いしてる女子が引っ越す!と知って大慌て、
告白の為、ドタバタ走り。空気はのんき、ヒロイン陽気)

秋山貴人監督「スーパー大学生 片岡五郎」(再見)
(やはり、ごみ袋投げの辺りから、ウケ始めた。
いずこでも、笑いのツボは同じ・・・!またも爆笑す)

高橋明大監督「最後の怪獣」
(白黒画面、かつて父にDVを受けた男が、
女性の求婚を受けるべきか?に悩み、にわか知人と喧嘩。
台詞を絞りに絞り、いたって生真面目な、ハードなドラマ。
雷雨のシーンなど、いささか、肩がこる程・・・)

田中博之監督「恋わつらい」
(それなりに女性に縁がある、男性絵本作家、
次々と違った女性に出逢う。
それでも女は、よくわからない・・・という、プチロマンス寓話集。
様々な女性を、同一女優が演じ分けるのがミソ。猫役までやってる!)

田中羊一監督「そっけないCJ」
(少年期後期の夏、近所の野山で突如、謎の宇宙人?の気配を感じた彼。
父とも、母とも、親友とも次第に距離を置きはじめ、
その宇宙人ことCJにどんどん、惹かれて行く・・・。
造形にはちょい、ずっこけたが。
子供と青年期の間に、ふと現出した、エアポケットのような、遊びの時間に、
なぜか誰もが、しばし魅せられる・・・)

坂本友介監督「蒲公英(たんぽぽ)の姉」
(姉が人間大のタンポポ?である、妹少女。
姉をやや怖れつつも、
描く絵のテーマに困っていた彼女は・・・という、
ややダークっぽい、家族ファンタジー。
終盤、あまり世界観が広がらないのが、難点かも?
セット全体が正に、油絵並みに凝った、労作人形劇アニメ。)


来海昌哉監督「かつてと今日を区別する光の中で」
(移転のため取り壊し時期が近づく、老朽化団地。薄暗い部屋が並ぶ。
妻を亡くし一人暮らしの老人、団地の管理職員、ホームレス男、
子供の頃、ここで育ったという若き男女らの、回想会話・・・。
やがて、周辺観察中に、哀しき事実が判明。
さびれて消えゆく、過疎団地への挽歌。胸に迫る。
我等が終の住み家は、いずこに?)


久世英之監督「シガイキョクバン」
(ゴムひも付きで、監禁された男、ゆーとぴあ?状態になり、
必死の外部電話を試みるも、
間違い電話の相手も、語呂合わせ遊びばかりしていた・・・。
発想は、結構楽しいのだが、オチが・・・。シビアだ)

岡田信也監督「Ohayo」
(部屋は別々、メールで対話、
でも食卓や散歩では仲がいい、のんき者の20代夫婦。
料理のときだけシンクロし、ダンスまでするのが、可笑しい。
2人以外の、知らない何者かが家に居るらしいのに、
警察へも届けないのは、あまりにものんきすぎる・・・!
正体?には、なるほど、と。
かなり高度な撮影・構成・技術と見た。秀作)


その後、特別上映として、

前田弘二監督「誰とでも寝る女」(再見)、
(こちらでも、ややくぐもった?笑いが・・・!)

夏目大一朗監督「キリっとピンまで」。
(調子のいい漫才師が死んで幽霊になり、残った相方を見守る。
台詞音声がほぼ、幽霊のみなので、
ネタが面白いかどうかはわからないが、舞台での動きはそれらしい。
中野・野方ロケあり)

こちらは、表彰式まで残っていた。
画面処理、撮影技術的に、ハイレベルなラインアップが並ぶ中で、
比較的に素朴な印象の「そっけないCJ」、
驚かされた、グランプリ受賞。

舞台での審査員挨拶によると、
少年・青春期の気持ちって、こういうもんだよなあ、という味わいが、
審査員一同の心に、ヒットした模様。
次もあまり考えずに、そのままの感じで、進んで撮ってほしい、という声、多し。
なんとなく、わかる。同感。


やがて夜になり、かくて又、
常磐線でゆっくりと、帰路についたのだった。


その壱、以上。




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  1. 2007/10/01(月) 22:06:29|
  2. インディーズムービー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<<おしらせ、です> | ホーム | (試験記述発信中)>>

コメント

アジア海洋映画祭

はじめまして。
旅んちゅのラプチュラスブルーを撮りました野田です。
アジア海洋映画祭にて同作品を観ていただいたようで、ありがとうございます。

ご指摘の通り、難点は多々ございまして、
一年前に制作した作品ですが未だに思い悩むところがたくさんあります。

ネット上であれ、あの日会場におられました方のご意見を知ることが出来て嬉しく思っています。

またスクリーンで私の作品を見かけることがございましたら、
感想をどこかでお聞かせ願えたらと思います。
  1. 2007/10/12(金) 14:10:53 |
  2. URL |
  3. noda chiaki #gIYQI5Sw
  4. [ 編集]

恐縮、です

<野田監督、

丁寧なるメッセージ、ありがとうございます。
あちこちと、流れ歩いて、観ておる者でございます。

いやはや、劇中では悲喜こもごも、と申しますか、
男と女のすれ違いってものは、
ほんとうに、どうしようもないもんなんだなあ・・・と。
海のシーンが特に綺麗で、気分的にリラックスできますね。

既に、安定した表現力の基礎は、
十分にある方のようですね。
今後とも益々、ユニークな作品づくりを目指して、
精進されますようにと、
お祈り申し上げております。

シネマ旅の、途上にて・・・。



  1. 2007/10/12(金) 19:42:03 |
  2. URL |
  3. アWorker #-
  4. [ 編集]

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