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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

主水、ギブアップ宣言する

主水日記。


その後の、仁義なき?古今東西、新旧劇場用映画見物録。

一部、限りなく自主制作枠に近い作品もあるが、
有料の劇場できちんと公開された作品は、
原則としてはひとまず、
今回は<劇場用映画>に、加えておくことにする。


1・ピンク映画・竹洞哲也監督特集の再映。
12日(木)夜は、「思い出がいっぱい」と「恋味うどん」。

学校同窓会劇「思い出がいっぱい」は、
どうやら、房総周辺ロケらしい。
上総中野駅は、房総を<L字縦横断>できる、鉄道二社の乗換駅。
大抵は無人で、乗り換えには30分位、待ち時間がある。(注1)
ダムは・・・亀山あたりだろうか?
男子生徒に優しい?先生役の林由美香嬢が、今やなつかしい・・・。
上京映画監督組には、泣かせる話であろう。

実は、両作に出ているのが、同じ吉沢明歩と気づくのに、数秒かかった。
「恋味うどん」で「ざます~!」連発するコメディエンヌぶり、
しばし記憶に、留めておこう。

上映前に、「恋味うどん」に使用されたテーマソングを、
陽性癒し系?女性ギター歌手、ニナザワールド女史が、
優しく柔らかく、熱唱。
まあまあ、上手いかな・・・。
帰りのロビーはさながら、CD販促会状態であった。


2・フィルムセンター、川島雄三監督特集の未見作、数本。

6月中より、時々、寄っていた。

白黒で、松竹歌劇団総出演、
夢の中で長崎がSKDワールド化する、
ミュージカル・コメディ「夢を召しませ」、

平屋の社宅団地で、アヒルのごとく騒がしき夫人達が、
主人達や若いカップルさえ、東京=大阪間往復で、
余計なお世話いっぱいで振り回す、
皮肉たっぷりな家庭喜劇「東京マダムと大阪夫人」、

森繁が南米帰りの石松?で登場、デパートで調子よく商売、
フランキー堺と高速道路計画がらみで、地元の守り神のお狸様と共闘、
ジェリー藤尾の近代愚連隊が目立つ「縞の背広の親分衆」、

旦那が妻より登山に執心、愛のさめた夫婦仲、
そこへ今頃になって、双方に、
やっと趣味が合う異性が現れるも、
皮肉な巡り会わせもあって、
ダブル・ニューカップル?もあまり進展せず、
知人の未婚魚類学者(三国連太郎!後の性豪役が嘘のよう・・・)が、恋愛のはかなさに幻滅する、
悲喜劇「あした来る人」。
(これ、趣味優先で暮らししてる人ほど、泣けてくるよ・・・の声)


・・・・などを、観れた。


再映リクエストでおすすめするなら、
(もっと早く書けよ!特集終わるのに・・・の声)

三木のり平が珍奇なクロレラ研究者に扮する「喜劇とんかつ一代」、
狭い長距離列車内のドタバタ劇「特急にっぽん」、
フランキー堺が際限も無く走り回る「人も歩けば」、
遺作にして大傑作の「イチかバチか」あたりだろう。

落語ネタ入りの非喜劇「幕末太陽伝」が、
痛快なケッサクであることは、論を待たない・・・。


3・池袋、新文芸坐の<追悼・植木等>出演作特集の数本。

「日本一の裏切り男」、
日本人の歩んできた戦後復興とは、
案外、大体こういうもんかも、
と、一応は納得するも・・・。
今の世になって観ると、ラストの議決シーンに、
ぞっとする程の皮肉を、食らうのだ・・・。
あちこちで、ドリフターズ・メンバーが、ゲスト的に登場。
志村けんは、まだ居ない。荒井注が居る。


「日本一の断絶男」、
たわいもないお調子者出世譚だが、緑魔子がチャーミング。
大阪万博の真新しい工事現場が、タイムスリップ気分。
立て篭もり学生達が大勢出てきて、
女侠客映画でウサッパラシしてるのも、時代の違いを感じる。
後半は殆ど、東宝サイドによる東映映画のパロ、だった。


「ふしぎな国・日本」。

青年医師役・中井貴一、
親子二代にして、ついに初出演の<松竹映画>。
ヒロイン・紺野美沙子との相性は、ドンピシャ、ぴったりすぎ。
高峰三枝子や財津一郎も居るし、上原謙もちょっと出てる。
お話も全体に<大船調>らしい、
ほのかな恋と、涙の父子鷹交流物語。
敗戦引き揚げ派の人々には、ぐっとくる話も。

なのになぜか、
東宝の松林宗恵監督をはじめとして、周囲には、
植木・森繁・有島一郎と、
東宝映画ゆかりの関係者も、いっぱい。
この人々がメインのコミカル・シーンでは、
完全に、<東宝映画>の延長劇と化していた。

おそらくこのキャストのために、<プロ製作>にしたのだろうが、
その豪華な顔ぶれこそが、80年代当時でも、
やはり、典型的<松竹映画>の中では、ふしぎな感じだ・・・。

なべおさみが、切ない男心を、好演。
さだまさし一家もちょこっと、登場。
バンドボーカルする小堺一機(!)が、若い・・・。
高見知佳の、ケロッとした能天気さには、あっけにとられる。
しかし、誰にもまして目立っていたのは、
畑中葉子の、猛烈マイペースぶりだった・・・。


「だまされて貰います」。

クレージーキャッツ映画末期の、ダレた時期のもの。
<植木等・加藤茶の共演>自体が、人気の世代交代を物語る・・・。
加藤茶に合わせたせいか、いささか、下品なネタが多く、閉口。
他のドリフ・メンバーは、出てこない。

植木の詐欺師ぶりで引っ張るのか、と思いきや、
どっかの選挙に出てる、発明家みたいな話へと、それちゃった。
水からガソリンが作れるはずもないんだが、
そんな発明があったら、どんなに便利だろう・・と。
奇術師みたいになった加藤茶に、ちょっとだけ笑う。
まあ、それ位かな。


4・新アップリンク・ファクトリー、
<新・トウキョウ堕落論>企画の、
旧ロフトプラス&SCUM組総出演・協力、
堀井彩監督「泳げない女」、樋永真一郎監督「マラニカ」。
まがりなりにも、ついに劇場正式公開と、あいなった。

会場内ゲストは、もう、お久しぶりの皆さんばかりで。
半分は、同窓会の気分だった・・・。
1本前売り1300円、当日1500円。
2作品目は半券提示で、1000円にしてくれるので、
通好みのゲストトーク付きなのを考えると、割に安い。
さて、作品。

「泳げない女」は・・・2年くらい前の作品。
以前、どこかで観ているかも、しれない。

主演女優・黄金咲ちひろ。
上映後の舞台挨拶で、なぜか、派手な金ぴか衣装。
服のまま風呂に入るシーンが、お気に入り、との事。
ちょっと、珍しいかも・・・。

時空間の処理法が、ちょっとおもしろい作品。
導入部と終結部が、
ほとんど、サイレント&BGMで示されるのが、大きな特徴。

上京・バイト・仲間の誘い・集団スーフリ?過激パーティー・中年組員出現まで、
ありがちな導入部を、<一気見>で飛ばす、
あの省略法は、お見事、なり。

40代、たそがれかけた気分の中年男を、
増田俊樹氏が、人間くさく、
ぼやきつつ、男の怒りとともに、好演。

義理の妹と別れ、主役女性と同居する中盤以降でも、唐突に、<劇中ナレーター>が数人、出現するところが、ユニーク。
いっそ、中盤もナレーター部分以外、サイレント&BGM化したほうが、もっとユニーク表現になるのでは、ないだろうか?

妹役が、兄の服を次々と着込むシーンは、暑そうに見えた。
浮気の密告者女性が、ガード下で踊ってるのは、何の振り付けなのだろう?
その浮気相手役・佐藤幹雄、
明朗なのか、クールなのか、
抑えた、静かなる印象のまま、ある存在感を、観る者に与えている。

終盤は、サイレントの威力と迫力が、戻ってきた。
が、エンディングで、唖然とさせられる。
あれは、時空間の扱い方に、迷いが生じたのに相違あるまい・・・?と。
少し、気にはなった。


「マラニカ」は・・・
こちらも以前、観ている覚えあり。

出演女優・女子大生役の小田有紗。
上映後のトークによると、
実は、ああいう役の心理が、理解できない、という・・・。

白黒映画にグリーン、オレンジがかった色合いをつけた、
渋く抑制された画面表現。
せこい寸借詐欺の話A・Bが2件、
まったく相互に交わらぬまま、交互に進行。

二セ・レントゲン技師がらみの詐欺については、
本物の技師ならば、
病状を患者に自分でこっそり伝える事などは、まずやらないものであり、
まったくの詐欺とわかる。
病状・検査結果等の詳細は、個人情報にあたるので、
まずドクターが、患者本人、又は家族に伝えるものであり、
技師はその役にはあたらない。
もし確認したければ、受付でカルテを請求するものである。

さて増田氏、ここではうってかわって、
やり手の恐喝屋!?役に変貌。
敵に廻すとこわ~い男を、いかにも生っぽく、演じている。
<一桁多い>おこずかいをねだる、
人をなめた(!?)援交女子大生には、
大人をなめるな!とばかりに、逆に脅し、
彼流に、都会の裏街道のルール(?)を伝授する・・・。

家出初体験らしい、泣き虫の眼鏡女子中学生に対しては、
親への携帯通話を利用して、実家からトラブル・バスターと称して、
大金を巻き上げる・・・。
硬軟使い分けての交渉術、正に、おそるべし・・・。

しかし、まことに奇妙な形で、状況に収まりがつくラストに、
なぜか、妙にほっとさせられるのも、事実。

金銭がらみの怪しい話には、くれぐれもご注意を、という教訓的作品。

両作に、<シネマ愚連隊>常連組・稲葉氏の姿が見える。
「泳げない女」には、鈴木明日香嬢の姿も。
その後も両者、健在の様子、なりや・・・。

5・イメージフォーラム・レイトショー、
木村威夫監督の中篇、「馬頭琴夜想曲」。

例によって、長崎と原爆批判をまじえた、美術的世界。
ビニールと照明を上手く利用していて、
サロメのミュージカル?みたいな歌とダンス入り。
アートとしては、きわめて豊かな結晶体、なんだが・・・。
クリスチャンでも無いと、わからない筋書きのようで。
話が、ちんぷんかんぷん。
あれもこれもと、ちょっと、盛り込みすぎかな・・・。




で、合間を縫って、PFF・・・。

その上で、このブログを書くのに、平均約半日かかっている。
おかげでどうしても、新作映画が観れない日が、出来る・・・。
シネコンでも、特集上映でも、時間が空かないものが多く、
何とも、じれったい。

この半月程だけでも、これだけで、
時間・予算・体力的に、もう、手一杯である。
もうこれ以上は、無理。限界だ。

ゆえに、どなたとも、
必ず行く、というお約束は一切、出来ない状態になっている。
どうしてもすぐに観たい作品、初見作品を優先させて頂いているので、
申し訳ない、あしからず・・・。



以上。




注1:私鉄の小湊鉄道と、
元国鉄木原線で第3セクターの、いすみ鉄道。

両線沿線は、東京から比較的近いこともあって、
しばしば、[金田一耕助]シリーズや平成[仮面ライダー]等、
多くのTVドラマ、映画のロケに利用されている。
肌色に赤の車両が、小湊鉄道。
瀬々敬久監督「ヒステリック」に出てくる、市電みたいな電車は、
いすみ鉄道の車両である。

なお、小湊鉄道は本来、名前の通りに安房小湊駅まで延長される計画だったが、
諸般の事情?により、養老渓谷からの南下ルート計画が中止になり、
大原から西へ伸びた木原線と、終点でつながれて、現在に至る。

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  1. 2007/07/22(日) 10:59:43|
  2. 劇場用映画
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