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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

ああ悠久の夢よもう一度!

旅人、覚書。


最近観たインディーズ・ムービー、

どうも、いまいち、何か迫力と感銘、おもしろさに欠けるものにばかりに、当たる気がしてならない・・・。
さらに、2度以上観よう、という気にさせてくれる面白さを持った映画となると、本当にごく稀にしか、ない。
その時間と予算があったら、
1本でも、新しい作品を観るのに当てたい。


3/20(火)は、
渋谷Q-AXシネマ(シネヴェーラと同じ建物内)レイトショーにて、
ENBUゼミ恒例・<ドロップシネマパーティー>で、
前半・学生組2本、後半・卒業生組2本の計4本を、順に拝見。
(括弧内、監督名)

「クリスマスのやくそく」(佐藤周也)

・・・は、
ちょっと泣かせる母子劇、のはずなのだが、
2人(学生らしい)の姿がどうも、母と娘らしく見えないので、
感情移入がしにくい。
始めは母子役とわからず、それとわかるのに、タイムラグがあった。
エプロンをしたほうが母親らしいのだが、
年齢の近いルームメイトか、姉妹にしか見えないため、
「これは、母と娘なんだ!」と自分に言い聞かせながら、観る他はなかった・・・。
いい話ではあるんだけど。


「努力のさきに」(小松知朗)

・・・は、
健康管理データが年金支給をも左右する近未来に、
バーで幼友達の男2人が、
禁煙・禁酒できっちり健康管理するか、
不健康でも吸って呑んで自由にやるか?
という話をするだけの、文庫本向きの近未来SF。
概ね予想したような画面と落ちが来て、あっさりと終わる。
まあ、スタンダードの出来。


「あやめ」(平波亘)

・・・は、
一番まともに?怪談らしい妙な味が出ていて、
まずは評価に値する。
森の中のわがまま武士、死体になった妻、
下男、その友人、奇怪な婆さんらをめぐる、
奇妙なやりとりの黒い可笑しさが、魅せる。
特に間抜けそうな下男役の、なりきりぶりが、目立って映えている。

「ひねくれ緑と星のパン」(吉田真也)

・・・は、
教室での男子のいたずらから発する先生との追っかけと、
机に女の子が残してしまったパンの処分を巡り、
民話の絵本にやや近い、小さくて暢気な世界が展開。
子供の世界らしい早口、饒舌なやりとり合戦と、元気のよさがまずまず、取り柄だろう。


「ユメ十夜」の運慶じゃないが、
やはりそうそう、樹木の中に本田隆一・富永昌敬級の突出を見せる仁王様は、埋まっていない模様・・・。
「あやめ」が比較的に、良い位。


又、3/29(木)には、テアトル新宿にて、
<水戸短篇映像祭セレクション>より、

「ロケットパンチを君に!」(中野量太)
「バスハウスマスダンス」(夏目大一朗)

を拝見。

うん、どちらも、共通点が多い。
片や、いじめられっ子とリストカット少女の、
ぶつぶつぼやく青春心理劇。
片や、風呂屋周辺で巻き起こる「Mr.BOO」張りの男女ドタバタ劇。

たしかに、2本とも、凡百の心情ドラマものよりは、
おもしろいには、おもしろい。
だけど・・・ね?

悲壮感と無邪気さとに溢れた主人公の夢想・幻想の部分が、
いずれも結構、飛躍に富んでいて、おもしろい。

「ロケット・・・」の腕、ネッカチーフ、充電器、湯気!
「バスハウス・・・」のAV女優・リアル女性・主人公の同時出現シーン、
あるいは興奮して目をむいた一同の過剰演技のすごさ!

美術、俳優達の力演、早回しとドタバタなどが、
それなりに効果を挙げていて、結構笑える。

けれども、笑いかけたところで、
ドラマ自体の生真面目さ、やるせなさが、
後で、現実ってザンコクだね、とばかりに、
その笑いを回収してしまう構造に、やや不満が残る。

どうして、両方とも結局は、
せせこましい日常の世界納得?へと、話が収束してしまうのだろうか。
妄想シーンを、あれだけ派手にやっておいて、
ちょっと、もったいない。

「花田少年史」並みに、とまではいわないが、
もう一発、スコーンと、
虚構の世界寄りに突き抜けてしまっても、いいんじゃないだろうか?
もっと原初に還った、むちゃくちゃな位のユニークさを、
観る側が求めるのは、無いものねだりなのだろうか・・・。



*追記*

前述のごとき不満を、連日くすぶらせつつある中、
31日夜、再び、テアトル新宿へと足を運んだ。
21時20分のレイトショー、
前田弘二監督<女>作品特集の舞台挨拶と、観客の反応を見るために。

5本の短篇を、連日3~4本、組み換えで上映しつつ、
毎回、トークやライブイベントを添える興行。
作戦としては、概ね順当だろう。

商業系公開の初日だけあって、さすがに集まりはよかった。
席は知人関係以外も含めて、20・30代男女をメインに、6~7割り方、埋まった。

木曜の<水戸短篇>(水戸監督の、ではない!念のため)レイトショーが、
平日の上に他所よりの再映作ということもあり、
ゲスト付きにもかかわらず、20人程の入りだったのを考えると・・・
土曜の夜の入りは、恵まれているほうだろう。
やっぱり、にぎにぎしく始まったほうが、イベントとしては好ましい。

金曜までの公開作中、「女」と「鵜野」、
および別曜日上映予定の「ラーメン」については、
既に他所でも観ており、以前にも某所にて、いろいろ語ったものだが。

今回レイトショーで初公開の、
「誰とでも寝る女」(なんちゅう、あけすけなタイトルだ!の声)の
奇妙なおもしろさ、エンタメ性に関しては、一言添えておくべきだろう。

サラリーマン男性達のたわいもなき女性経験談、
よくある「知ってる女、紹介して!」な話から始まる、この映画。
タイトル前に主要人物は、
中年男性と若い男性のコンビ、
および強がり?女子高生の3人にしぼられる。

やがて、喫茶店で、その表で、
建物内で、あるいは家屋周辺の狭い空間内で、
特に女性にとっては、とんでもない状況が明らかになってゆき、
なんとも奇妙な、かつ、息苦しいまでの<間>が、
長廻しキャメラの前で、展開してゆく。

客席のこちらは、その悲喜劇的成り行きを、
ただひたすら、じーっと、集中して見つめつづけることを、
半ば強要されることになる。

これは「女」や「ラーメン」を観るに関しても、
まったく一緒の事が云える。

常識はずれの奇妙な言動で、謎の訪問女性が、
対人相手を翻弄する「女」。
その相手をさせられ、
ぶっきらぼうな同居女性にどつかれて難儀しつつも、
次第にある種の理解?を示し始める男性。
ただただ、じーっと見つめてゆく以外には、打つ手は無い。

押しが強くて調子のいい上京男の言動に、<女>が怒る「鵜野」が、
それらの延長上、ないしは応用形にあたるのは言うまでもない。


こういう<見方>を要求されることは、
テンポのいい、親切な説明台詞の多い映画・TV等を見慣れた向きには、
ある意味、しんどい、かったるいものなのだが。

徐々に、文字通り微妙な演技の変化が見え始め、
ミもフタも無いナンセンスな笑いの要素とともに、
われわれの前へと差し出されてゆく。
その時点でもう、
あ、術中にはまったな、と自覚しつつも、
こちらは笑う他は無くなるのだ・・・。

かつて相米慎二監督が、
そして今も黒沢清監督をはじめとした多くの先達が、
確信犯的に使用してきた<長廻し手法>の意図が、
ここでも又、大きな効果を挙げている。
(これも、もうあちこちで、書いたよなあ・・・の声)


もう観ていて、本筋を知っていても、
それ以外の、確たる<何か>が残る、映画。
2度観ておきたい作品群、とは・・・
たとえばこういう映画群のこと、という好例なり。



以上。


また、行ける日時が、<モダンレコーディング>の無料上映3本と、重なってしまった!残念。
贅沢な悩みとは、わかっちゃいるんですけど、ね。
是非一度、直接イベントを観に行けたら・・・と。
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  1. 2007/03/30(金) 23:26:35|
  2. インディーズムービー
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