シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

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秀、正月半ばも東奔西走する

秀の、日記。


木・金・土・日の、映画鑑賞。

特に行く予定の知人イベントも無いので、名画座プログラム・ファンとしての自己を思いっきり、開放した。
必然的に、シネヴェーラ渋谷・ユーロスペース・シネアートン下北沢・トリウッド、などを行ったり来たりになる。

旧作が丹波哲郎特集、
「霧と影」に「女奴隷船」、「裸女と殺人迷路」に「脱獄者」。
(やっと来れた!)
新作公開が、
マリー・クロード・トレユ監督「合唱ができるまで」、
瀬々敬久監督「刺青 堕ちた女郎蜘蛛」、
浜野佐知監督「こほろぎ嬢」、
山岸謙太郎x石田肇監督「キヲクドロボウ」。
日時の都合で並んだとはいえ、イメージ、てんでんばらばら、なり。


ニュープリントの「霧と影」(1961)はニュー東映のモノクロ映画、水上勉原作、北陸と東京を往復する推理サスペンスで、あの石井輝男監督作品にしては?筋、展開がきっちりと運ばれていて、複雑な正統派構成。
主役の丹波哲郎は友人の不審死を取材、調査する記者。若い頃は声が1.5オクターブ程?高い。
コンビを組む梅宮辰夫が若々しい。

デジタル・ベータカム上映、「女奴隷船」。
主役は菅原文太の軍人だが、実質、悪役・丹波のワルノリぶりと新東宝女優達のキャット・ファイトを観るための映画。
とても後に「鬼平犯科帳」を撮る小野田嘉幹監督の映画とは思えないほどに、筋も演出も粗雑・・・!
丹波はやたらとムチを振るう暴力的な海賊船長。誰も止められない。
三原葉子の女ボスともう一人がコロコロ裏切るもんで場内、失笑続出。
あれだけ居た海賊がいつの間にか、たった5人に・・・呆然。
島で「ワイルドバンチ」やってたり、もう、むちゃくちゃ。
エネルギーだけはあり余っていた。おおらか、というべきか。


同じ監督の、「裸女と殺人迷路」。
4人の男たちが某洋画よろしく大泥棒作戦、途中から一人にからむダンサー女が三ツ矢歌子。若々しい!
犯罪者ばっかりが隠れ住んでる街が舞台で警察捜査はてんてこ舞い。奥の方、ミニチェアがちとしょぼい。
にわかチームのポス、割と人情家だが、仲間と女の手を切らせ、札束を巧妙に運び出すなど、ワルはワル。
丹波が一番、はねっかえりで短気でワルだ。とても後のGメン警視には見えない。
だが詰めが甘くて一同、なかなか囲みを破れない・・・。お気の毒様。
野球場の廊下シーンに、若干サスペンスあり。

池広一夫監督の大映映画「脱獄者」。
丹波は主役の鬼警部、弟であろうとワルは容赦しない。だが罠にハメられて・・・。
悪ボス、またしても金子信雄。日活から出稼ぎ?状態。
徹頭徹尾、終始持続、みなぎるサスペンス。
これぞ真打ち。これぞハードボイルド。相当な傑作。
ラストの歌が、泣かせるぜ。

これらの毒々しき丹波出演作を観た後では、フランスのスタンダードなお稽古ドキュメンタリー「合唱ができるまで」はまったくの、癒し系。
賛美歌の中高年パート、少年少女パートが徐々に仕上がってゆく様を、交互に淡々と写し取ってゆくだけの、タイトル通りの内容。
ちょっと、眠い。
最初、2チームを交互に映しているので、別々なチームかと思っていた。先生も別々なので。終盤で合流している。
先生達の教え方やしゃべり方、生徒達の表情や笑い声を見るためのもの、だった。


レイトショーの「刺青(しせい)・・・」はご存知、谷崎潤一郎原作、都合4度目の映画化だそうな。
上映前の監督・出演者トークによると、去年、ピンク映画で先輩の監督に映画化されてヒットしたので、自分も是非!と制作会社(なぜか円谷)に御願いした、とのこと。
(いいのか、そんなんで・・・?の声)
かくてできあがった映画は、現代の新宿周辺にてロケされた現代版。
子連れ女房に逃げられた、自己啓発セミナーの泣き虫・入れ込み屋勧誘員。
出会い系サイト事務所の仕事にハマって、いろんなニセ人格を演じてるサクラ女。
喫茶店の勧誘シーンで、やたらにキャメラが揺れる。女の心理動揺を表現か。ちょっと目が疲れる。
松重豊、うさんくさいエロ上司勧誘員を、いかにもそれらしく演じる。
女の肌に惚れる古風な刺青師には、またしても、嶋田久作。
女の蜘蛛の刺青を見て、かつての浮気相手や、情交相手がビビる。
場内、含み笑いのさざ波が起きる。
後半、まるっきりボランティア目的?のカツアゲ、美人局、かっぱらいの類が始まる。
そら、むちゃや・・・犯罪じゃん・・・。
女優のイロっぽさもそれなりに出てるが、むしろ居場所の見つからない現代人の孤独感が浮き立つ芝居、なり。


「こほろぎ嬢」は、鳥取県でも<幻の作家>と呼ばれている、尾崎翠(おさき・みどり)なる女流作家(1896~1971?)が遺した、最後の短篇3本、「歩行」「地下室アントンの一夜」「こほろぎ嬢」が原作。
・・・・だそうだが、あいにくこの作家のこと、な~んにも、知らぬ。

以前、同じ監督の手になる伝記映画「第七官界彷徨-尾崎翠を探して」を、<日本インディペンデント映画祭>にて観たのだが、あのときは正直言って、困った。

原作者・尾崎翠の秘められた晩年(かつての文壇仲間達も、帰郷後のことはよく知らなかったらしい)についてのゆったりしたドラマが、尾崎に関する展示会会場?のシーンを織り交ぜて、淡々と描かれるのだが。
大正から昭和初期の女性作家・文壇にかんする予備知識が殆ど無い上に、ゆっくりゆっくりなテンポと女性文学者達の台詞についてゆけず、終盤で唐突に出てくる<ロッカー乗り>シーン(監督の趣味?)も取ってつけたようで乗れず、全く映画の内部世界になじめずに終わった。
もっとも、現代においても、知る人ぞ知る作家・・・だったようなので、当然といえば当然、なのだが。

しかしながら・・・
今回の「こほろぎ嬢」は、小説内から持ってきた<まるで鳥取県の旧家周辺のような、空想世界>を中心に展開するので、尾崎翠を知らぬ一般の人々にもなじみやすく、わかりやすく軽いユーモア・ファンタジー映画と相成った。

田舎の旧家に祖母と住む、15才位の娘。
訪問者である分裂心理研究の青年医師に恋愛戯曲の朗読を薦められ、読んでいるうちにどぎまぎし、自らも青年に心ときめいてゆく。
やがて、青年とのお別れの日が来る・・・。

彼女の近所に住む、詩人青年。
年中、薬(胃酸や睡眠薬らしい)を飲み、
「カラスは白い・・・」などと想像力を屋内でふくらませ、
実物の生物や女性を見ると今度は想像力が働かず、
それについての詩が書けない、とぼやくいささか神経質な詩人。

そのすぐそばで実証的動物実験を続けて本を出している、動物学者。
詩人氏の妄想癖がさっぱり理解できず、苦笑の連続。
で、詩人青年と学者の、ささやかな珍問答合戦が展開。

図書館で、ヨーロッパのとある女性詩人についての本を読む、近代的洋服女性。(戦前ですョ、の声)
その女性詩人を知る、とある白髪男性。
友人たちが彼女の詩に感激し、「是非彼女に紹介してくれ」と頼むが、男性はいっこうに聞き入れない。
やがてそのまま、彼は病没してしまい、葬儀の朝、唐突に真相が明らかになるのだが・・・。

そして、いつしか医師・詩人・動物学者が、とある地下室で同席し、後から洋服女性も加わって、夜の雑談と相成る・・・。

ゆるいといえば、なお、ゆるい展開ではあるのだが・・・。
年配主婦層などには、この位のテンポでリラックスでき、理解にもちょうどよろしいのではないか。
前作よりはずっと、すっきりしている。

ヨーロッパのシーンが「シルバー仮面」同様、またしてもオール日本語。いずこも事情は同じよ、と微笑。
本の中のヨーロッパ女性が読者の洋服女性に向いて語りかける、地下室の明かりが星空に連なるなど、ちょっとした<時空間越境>のおもしろさが、随所に現れる。
その辺に、ささやかであるが、<映画>らしさを認める。

イケイケで情熱的、いつも黒眼鏡のオノ・ヨーコみたいな浜野佐知監督と、静かで涼やかなる男性脚本家・山崎邦紀。
上映後のトークによると、現場での印象もまったくそのまんま、なのだだそうな。
このコンビといえば、相当な本数存在するピンク映画のコンビ、というのがまず浮かぶが、そちらでも当たりはずれがある模様。
そのバランスが今回は、結構いい方向に作用しているようだった。

なお、トークゲストの外国人男性俳優(2名)によれば、今回のヨーロッパ・シーン(勿論日本国内撮り)では脚本の台詞がちゃんと、日本語書きだったとのこと。
「5年日本で生活していれば、日本語は覚えますよ」
「もう、他所でもカタカナで台詞、書かないで欲しい・・・読みにくいですよ」
・・・だそうである。
微苦笑す。


残った「キヲクドロボウ」については、別記予定なり。

以上。

















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  1. 2007/01/15(月) 00:27:32|
  2. 劇場用映画
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:0
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水上勉について

水上勉水上勉(みずかみ つとむ、男性、1919年3月8日 - 2004年9月8日)は、日本の小説家。福井県大飯郡本郷村(現:おおい町)生まれ。旧制花園中学校(現・花園中学校・高等学校)卒業、1937年立命館大学文学部国文科中退。福井県の大工の家に生まれ、5人兄弟の次男として
  1. 2007/03/05(月) 00:08:29 |
  2. ミステリー館へようこそ

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