鉄の日記。
1月6日。土曜。
けっ、どうも正月から、いろいろついてねえよなあ。
おまけに土曜の午後がせっかく空いてるってのに、ひでえどしゃぶりじゃねえか。おお、冷てえ。
どこ行って、何してこの憂さ、晴らすね?
こんな世界、ほんの一時でも、脱走してやる!ってな気分よ。
・・・そうだ、東中野行こう!ポレポレ東中野。
あすこで暮れから、年またぎでやったたよなあ。
虫プロ<アニメラマ>3本特集。
それと、レイトショーが活弁士・山田広野監督のビーチコメディ新作、ときたもんだ。
行こ!すぐ行こ!
で、行ってきた。
丁度いい按配に、昼からの回が終わるとこ。しかも席は十分ある。
今からなら、4本、全部観れる。
雨宿りには最適だ。コーヒーも300円で飲めるし。
よし、決めた!半日ここに居よう。
5回券6000円、一丁!
一枚余った分は、今月中にもう1本分、使うことにしよう。
てなわけで、観たさ。
いや~、お色気とボリューム、たっぷりだねえ。4本とも。すごいよ。
余は満足じゃ、ってなもんよ。ほんと。
女性もアート・ファンも、観なきゃ損だよ、これ。
まず、「千夜一夜物語」。
3時間もあるけど、ハリウッド洋画のテクニカラー大作のつもりで眺めてりゃ、結構面白い。
音楽が富田勲だから、オーケストラが壮大なる冒険気分をそそるんだ。
めでたいお正月興行に一番ふさわしい、一大娯楽活劇だぜ。
大砂漠、一介の水売り男が歩いてくるシーンの反復運動からもう、はまちまったね。
水売りの声、なんと、青島幸男。
お調子者の好色、成り上がり野郎をにくい位、なりきって吹き込んでる。やられたね。大正解。
で、この主人公が奴隷の女と逃亡して、デスラーの若い頃みたいな警察幹部やら、盗賊の娘やらとからんでって。アリババとか、おなじみのお話が次々と出てくる。
なぜか、テレタビーズ?みたいな倦怠夫婦妖精まで出てくる。
後半は若い男女の恋物語に、豪華でど派手な秘宝比べに、バベルの塔まで引っ張ってくる。
イロっぽい暗示シーンも、盛りだくさん。
抽象化曲線、くにゃっくにゃっ。
塀の落書きみたいに、いびつな、肥大化した曲線だらけで。
ところどころ、笑っちゃう位、しつこく一杯出てくるんだよ。
バクダッドの都が実写ミニチェアだったり、荒波のシーンがフィルムだったり、<アニメラマ>というだけあって、いろいろ実験、工夫を凝らしてる。
技術は30年前のだし、粗雑な感じの絵も入ってるけど、なんていうか、情熱が絵と勢いに出てるんだよな。
今のなめらかなアニメに無い、何か別なものが見えてくる・・・そんな感じがするなあ。
娯楽系・アート系双方、映画ファンが観る価値は十分あるぜ!
あれに比べると、次の「クレオパトラ」は・・・
ちょっと、いただけねえなあ。
オープニングで未来都市特撮、でタイムマシンならぬ魂移動装置作動、まではいいんだけど。
実写人物の胴体に、ペタンコなアニメの首乗っけて日本語で口パク、って・・・何だか、間抜けだ。
外国人俳優呼んで吹き替えた方が、早い気がするんだけど。
とにかく大雑把すぎるんだよ、絵柄が。
人物芝居パートが学研の<ひみつ>図解漫画シリーズみたいで、ゆるいの。製作予算と時間が無かったのかな。
筋も、エジプトの秘術?で整形変身したクレオパトラ(声・中山千夏)がシーザー(ハナ肇!)やアントニウス(なべおさみ!なかなかに好演)をエジプト国のために余儀なく色仕掛けで篭絡(ろうらく)して、でもシーザーの正妻には負けて、なんて話じゃねえ。
こっちは、さっぱり盛り上がれない。
でも、笑いの部分は結構愉快。
ピンクパンサーみたいな豹がドジやったり。
他の人気漫画キャラが脈絡無くゲスト出演したり。
(なぜこんな所に、xxイやxxx男やxxxノ介が!)
ローマの凱旋シーンが古今東西の美術絵画だらけになってたり。
ブルータス、お前もか!シーンが歌舞伎になってたり。
東宝クレージー映画みたいなドタバタの部分は面白くて、つい吹きだしちゃうんだけど。
その笑いの効果がお色気シーンの繋がりを寸断してて、中途半端な印象になっちゃった。
両方一度に、はちょっと欲張りすぎだったかな?
迫力が違って、びっくりしたのが「哀しみのマラドンナ」。
前の2作からがらっと雰囲気が一転、アダルト少女漫画?調で。
ヨーロッパらしき中世の貧乏村、税金取りがキビし~い鬼領主夫妻。
彼らに主人ともども、いたぶられまくった、村の新婚娘ジャンヌ。
荒れた魂を欲する悪魔にも夜な夜な蹂躙(じゅうりん)・誘惑された挙句、引き換えに金銭や人心を操る力を受け取り、徐々に領主をもしのぐ<魔女>的存在と化してゆく過程を、密度濃厚に渦巻くアニメ描写、スペクタクルな動きの中に、それこそあられもなく、勢いづいたまま、なだれ込むように活写してゆく。
・・・としか、言いようが無いね、これは。
話は暗いけど、相当な秀作だよ。いや、暗いからこその秀作、っていうか。
人間の抱く心の闇に、じっくり、じんわりと迫ってるんだ。
濃密でない、明るめの渦の所だけ、ちょこっとふざけて見えたけどな。
勿論、裸女とイメージ乱交?シーン、満載だ。
ああ、もう、観てるだけで、満腹じゃ!だったよ。
欲情先導型の悪魔と、封建的秩序支配にこり固まった重税領主。どっちもひでえワルだぜ、まったく。
それにしてもまあ、悪魔の力を身に付けた悲劇の女が、その力で領主よりも恐れられたり、逆に人助けをして、村人達に感謝されたりするというのは・・・何とも、皮肉なもんだな。
一体何なんだろうね、<正しい人間>って。わかんなくなってくるよ。
しかしな、それをそのまま、フランス革命の女傑につないじゃって、いいのかなあ?
じゃ、もしかして、あいつも・・・デビルマン・レディー!?なんてね。
で、レイトショーのビーチ・コメディー、「山田広野のサバイバル・ビーチ」。(注)
大入りの初日舞台挨拶でいきなり、イエロー・ビキニ姿の女優3人とキンキラドレスの女優?が、山田広野監督やライフセーバー姿のホリケンさんと一緒に出てきた。後、ゴリラ役?の男優一名。
(まあ、これで大体、どういう企画かはわかるよな・・・?の声)
監督にとっては初の、トーキー長編だそうで。
沖縄のある島で、真夏に2週間ロケしたらしい。監督は一時ぶっ倒れるわ、虫は出るわで、それなりに大変なロケだった模様。
ご苦労さんです・・・。
「今回は毎日しゃべりに来なくていい作品だから、気が楽ですよ」とは、活弁士らしい監督の弁。
しかし、翌日のトリウッド活弁予定はしっかりと、PRしていた・・・。
第一話、と出た時点で、客席は既に爆笑の渦。
で、映画の内容は、まさしく、たとえようもなく、無内容という内容!
なぜ、一同が流れ着いた無人島の海岸に、歩き回るためのサンダルが、もう置いてあるんだ?
なぜ、メッセージ・ボトルに、七夕(たなばた)みたいなお願いを入れるんだ?それがなぜ、あっさりとかなうんだ?
なぜ、互いにワxxを取り出すと、そんなに長いんだ?
なぜ、ごく一部だけが、立体3D化してるんだ?!
(配られた3D眼鏡をどこで掛ければいいのか、わかりにくいな~、の声)
虫を集めてくるのも、単にヒロイン達、からかってるんじゃないの?
などなど、意図されたいい加減さ、いたずらっ子精神にみちた、冒険というよりはきわめてのんびりくつろいだ、バカンス的内容。
金ぴか美女(!?)を観て、一人だけ舞台挨拶でキンキラ衣装の意味が分かった。あのシーンには大笑いだったな。
浜辺でラリって、ハイスクール・パーティーしてるような、のどかなサバイバル・コメディーだった。マル。
じゃ、又な!
(注)「x太郎の十五xx漂流記」よりは、はるかに納得できるタイトルであった。
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- 2007/01/07(日) 15:23:12|
- 劇場用映画
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