主水日記。
12/17(日)、夕方。高田馬場。
ミニイベントホール・BABACHOPシアターへと向かう。
横浜中心に息の長い活動を続ける驚異の?自主制作映画団体、<B級ランダム>30周年企画、
5人の監督によるオムニバス短篇「キャメラ」競作シリーズ・・・
の、はずが一部リンクが成らず、単純に計5本連作上映に変更さる。
休憩をはさんで、一気上映会。
(リンクする気なら何故、シナリオの段階でちゃんと・・・?の声も)
何とか年内に間にあったのは、とりあえずめでたい。
何で又、この師走の寒さつのる時期に、納涼?ホラーを含む作品集を・・・?と若干、疑問は残るのだが。
(招き猫の映画を撮れ!とまでは言わんけど・・・の声)
会場への道中、昼間の部で観た人々と次々に遭遇。
やはりというかどうやら1本、彼等にとって<きつい>作品があったらしい・・・。
理由は、以前他所で観た予告編で、ある程度予想はついていたが。
黒色主体の場内は席が雛壇(ひなだん)形、前の人の座高を気にせずにスクリーンを観れるのは、大変ありがたい。
(各イベントの諸君、この点、よく覚えておくように!の声)
知人関連中心、ほぼ超満員。手前の座布団席にやや空きあり。
歴代作品群シーン・ダイジェスト映写(八丁堀某シアターで観れたものが多い)、一部イベント予告編流れる。
「各作品、一部にリンクがあります」との中村代表&かよさんのオープニング挨拶もそこそこに、1本目。
内海春雄監督「キャメラ」が上映開始される。
いきなり、さゆり役・かよさんが、写真を見ながら泣くシーンから入る。
何と、自殺した女性の役。(いいのか?の声)
おそらく、映画関係者の大半が<引いた>としたら、この1本目「キャメラ」だろう。
監督たちが罵倒しあう製作発表シーン。(さとうさん、特に目立つ!)
あの有様じゃ、劇中人物でなくても、
「こらァァァァァァァ!
ええかげんに、しろばんば!!
作品に、そのエネルギー注げい!!!」
と、叫びたくもなる。
(某ピンク系イベントで以前、似たような光景を見た・・・。観客には本来、直接関係ないことなのだが。)
その上に、撮影中に起きた3件の事故死シーン、という題材のサスペンス・ホラーとくれば、現場の人間にとって不快なのは、至極当然だろう・・・。
レポーター役・広啓子のいかにもな演技プランや音声係の収録、携帯と機器の電磁波、撮影キャメラの異変等にこだわったのは、いかにも<現場>の人々らしい発想だが。
痛そうな、いたたまれない話には違いない。
事件を検証するザンスさん(<シネマ愚連隊>所属)もいいが、ドラマ全体を支えきったのはキーパーソンの一人である、さいとうますみ嬢その人だった、とだけ言っておこう。
遅刻魔ゆえの台詞が、あ、なるほど、と。そこいらは、ナイス。
2作目の「キャメラ」は以前既に2度観ている、<さとうさん>監督「芸社版キャメラ」。
もち、主役はいささか自己中心でお姫様キャラな幽霊・さゆり役のかよさん。
同じ<さゆり>でも、こちらはめったやたらに陽気で能天気。
(どこら辺が1作目とリンクするんだ!?最初に出た先輩部員の話がそうなのか?の声)
舞台劇風、突っ込み芝居の数々に場内の初見客、バカウケに次ぐバカウケ。よかった、よかった。
ラストの揺れる疾走画面に被さる、ナレーションのアレ、絶対予想出来ないよ?ね?
3作目、「あの時を忘れない」は、<ときめきチーム>繁田健治監督らしい可愛い子ちゃん撮影式、定番。
かよさん、大きな眼鏡が結構似合ってる。
足から撮り上げるキャメラが、ちと気恥ずかしい・・・。
ある夜にあった<実話>を撮影の都合で昼間に撮ってます、とお断り書き字幕が。
確かに呑んだくれの女性を昼間に助けあげるなど、昼間にはあまりお目にかからない光景であるが・・・。苦笑。
4作目、有瀬訓晴監督「メイキング・オブ・キャメラ」には・・・
正直、かなり戸惑わされた。
その場でどう感想を言ったらいいのか、非常に困ってしまった。
面白いには面白いのだが、ありていにいって、それは悪い意味での、薄っぺらさと破綻だらけの描かれ方故、なのだった。
しかもそれらの破綻が、狙いなのか否か?が、よくわからないのだ。
とんでもない問題作、なり。
まず、そもそもこれがメイキング・ドキュメンタリーなどではなく、1作目に近い撮影状況設定下での、芝居なのだった。
このタイトル、反則寸前で、微妙。
次に、主人公の女性心霊スポット・レポーターをめぐる悪夢と、姉妹の対話回想エピソードが語られるのだが。
それなりにファンタジックであるべきはずの回想シーンで、女優のリアル度?を隠そうともせずに、あっさりと写しとっている。
そこでがたっ、と気分がなえる。
なぜ、あの撮り方にしたのだろうか。現場でも無自覚だったのか、あるいははかなさを表現する意図なのか。わからない。
幽霊?がヒロインの前後を横切る場面では、ちらりと見える白い布がその記号として出てくるが、観客の目前に見えているのはただの、布切れ一枚でしかない。
想像力を喚起させる力を、画面が持っていないのだ。
それらの果てに来るのは、怒涛の展開。
唖然とするほどに軽く、安っぽい手品ショーのごとき、力の無い、オカルト芝居&XXファー退治シーン。
マジックの底がもろに割れて、目前に放り出されている。
この部分は場内、脱力感混じりの苦笑、爆笑に満ちる。小生も笑う。
(皮肉にもこのシーンが今回、場内で一番、ウケていた!)
いってみれば全編、ぶちこわしだらけ。
まあ、たしかに、それ故に面白くはあるのだが。
マイナス反応と同居型の、笑い。
細部の描写を、ないがしろにしすぎなのではないか?とも取れる。
あるいはこれは何かの、正統派演出に対する、悪びれたパロディなのだろうか?
1作目と共通のレポーターやゲイの監督、ゲイの衣装係などの面々は、それらしき演技がまずまず、はまっていたのが救い。
花柄の衣装はいかにもそれらしい、可愛らしいのだが、ホラー・ロケにはどうだろうか・・・?
レポーター&マネージャーの屹立としたコンビ・キャラがいなければ最後まで、観る気力はもたなかったことだろう。
(前半でのアップ多用はちょっと、もたれるが。)
本筋と関係のない、設定だけかと思わされた<生餃子食い>エピソードの唐突な画面化には、ちょっと笑えた。
(芸社方面で腹をよじってウケる者、続出、伝染す。)
しかしいかんせん、かんじんの幽霊役たるべき人物の姿、<美>の象徴としての出番が著しく欠如しているのが、痛かった・・・。
有瀬監督、まだまだ修行が足りませんぞ。
見せるべきものを見せるコツをもっとつかんで、奮起せよ!と。
いや、待てよ、いっそ思いきってまじめな劇映画方面はやめて、完全にシネ秘・芸社系統かジャン・リュック・ゴダール方向に振りきってしまえば、又それなりの道は開けるかも・・・?
とも考えたが、さて、いかに?
その点、ラスト5本目、TAT監督「探偵 麻生よう子」は、これぞ主役・かよさんの面目躍如、突進型女探偵ぶりにとことん酔わされる。
元警察官の探偵がハッカーや元同僚の刑事らの協力の下、かつての恋人の仇たる詐欺・脅迫の知能犯とバックの一味を追い詰める、という定番のハードボールド。
そうした定番設定の筋を越えているものは・・・2つ。
一つは、ハッカー達(の分身?)がPC回路の迷路に侵入、敵の本拠を探るシーンで、白っぽくミストが掛かる画面。
ただの建設現場?が、異世界にすっきり変わる。
そして、今ひとつは・・・
展開の節々で怒りもてアップになる、かよさんの、鋭い眼力(めぢから)。
犯人へのリベンジに、ある意味殺すよりもシビアな罠を用意するコワさ。
張りを保ったガンアクションも含め、痛快なり。
飄々として身軽、お調子者なザンス氏と寡黙で渋い岩瀬氏の犯人コンビ、現代的悪役にふさわしく、好演が光る。
ラストでの凸凹な逆転ぶりにも、微笑す。
調査中や電子バトル、アクション等のシーン、ワンシーンごとにもう少し、短めに刈りあげたほうが、画面により勢いが出ると思うのだが・・・。
それは他の作品群にも全般的にいえることで、一部監督の舞台挨拶でも言及されていたことだが。
あまりにも濃密な人間関係が、撮ったシーンの思いきった切り方を思いとどまらせる、という事態が発生する。
しかしながら、単純なる<撮影の記録>ではなく、<映画>を観客に見せようとすれば、編集、つなぎ方の妙とテンポ、リズムを信じるしか、最終的に術はないはずだろう。(注1)
未使用シーンが惜しければメイキングDVDにまわすなり、エンディングロールの時にメイキング画面を入れたりの対応をして、本編では腹をくくるしかあるまい。
(何だか、どっかのプロデューサーか、どxxちプロさんみたいになってきた・・・?の声)
と、いうわけで。
やはりというか、今回も実質的には、一大<かよさんまつり>と相成った。
上映終了後、一同の舞台挨拶で、メイン女優のかよさん、感極まって大いに、泣く。
スタッフも、我等観客も、割れんばかりの拍手。
製作担当や監督は、相当タフでなければ、やってはいけないのだ、と今回の作品群の内容もあって、つくづく感ぜられる。
やっぱり大したもんだよ、中村代表!
当然ながら打ち上げも、大変な盛会。
<B級ランダム>30周年と年末忘年会にふさわしい、にぎやかな集いとなったのだった。
以上。
(注1)「あどりぶシネ倶楽部」(細野不二彦著、小学館)というコミックを古本屋で探して読めば、すぐわかるはず。
勿論、あくまでも基本形、なのだけど。
ああ、また、言いまくっちゃった・・・。ふう。
たーさん、昔の映像残ってて、ほんのちょっと、うらやましいです・・・。
ああ、帰りたいような、帰りたくないような、
小生にもあった、若き日々。
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- 2006/12/19(火) 19:57:20|
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