主水日記。
知人関連で数箇所、更新が長らく途絶えていたHP、ブログがあったのだが、先週末頃から皆、突然更新していたのに気付いた。
各所にてそれぞれに達者な様子で、ひとまず安心す。
さて。
こう書いておいて、いきなりで申し訳ないのだが。
男の極楽往生、とは何か?を考えたくなる映画を観てしまった。
そう、「寝ずの番」。
端的にいえばこの映画、老い先短き人物の最後の願い(?)をかなえようとする話と、お葬式の夜に故人のエピソードを回想しながら偲ぶ話、という、全くそれのみで構成された作劇。
(ブラックコメディーホラー「黒い家」の脚本家、大森寿美男の面目約如であろう。)
落語家一門(おそらく関西)の弟子達と関係者による対話が中心とあって、たわいもなき、ばかばかしきエロネタ・下ネタ・大法螺、プラス猥褻ソング全集のオンパレード。今のTVでは殆ど、流せないのではないか?
大島渚監督の「日本春歌考」を思い出す向きもあるだろう。
もう、周囲も小生も爆笑の連続だった。特に前半が。
<らくだ>の落語シーンなど壮絶で、もらい泣きしそうになった。
エイ(!)やハワイ事件のくだりなど、ほんとうにたわいもない話なのだが、観ているうちにじわじわ、<つられ笑い>させられてしまう。
後半は泣きがやや多めに入り、ゆるりとしてくるのだが、いかにも芸能伝承一家にふさわしい踊り、三味線、歌詠み、駄洒落合戦などの勢いが、ネタの下品さにもかかわらず、妙に風流な印象をもともなってせり出してくる。
中井貴一、岸部一徳がその風流さ度合いの目線、基準線に位置しているから、周囲の芸達者たちが劇中にて一層映える。
長門裕之、富司純子、堺正章らベテラン勢の頑張りも相当なもので、かなり圧倒された。
一時のビートたけし?みたいな木下ほうか、大法螺体験談を力演し中盤をかっさらう笹野高史も善戦、大活躍。
ある程度、齢をとっていないと、この映画の本当の切なき味わいはわからないかもしれないな、とちょっぴりセンチになってきた。
明日、目が覚めて生きている、という保証は誰にも無い。
だからこそ人は、その日を、自分なりの時間の中でしっかりと、活きる。
こんな豪華(かつお下劣!)な眺めは、めったに観れるものではない。
舞台でもやれば十分可能だろうが、人物がふっと現れる、あの軽い感じは果たして出せるであろうか・・・?
マキノ雅彦監督、既にテクニシャン、といっていいだろう。
だてに年輪経とらんわ、さすがに・・・。
おみそれ致しました。
以上。
ダイレクトなエロばかりが、エロ表現じゃない、って事で。
今村昌平監督や森崎東監督が撮ってたら、どうなってたかなあ・・・?
スポンサーサイト
- 2006/06/09(金) 20:36:13|
- 劇場用映画
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0