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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

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名悪役の逆襲

主水日記続き。
4&5を一挙に。


山下敦弘監督「リンダ リンダ リンダ」と山口雄大監督「魁!!クロマティ高校」は同じ高校生活?におけるお祭り騒ぎを題材とし、かつ笑いを生むシーンを随所に含む、という共通点をも持ちながら、そのドラマの顔つきも展開も描写もまるっきり正反対に出来ている。
この2本が渋谷の同じ映画館で昼間とレイトショーの組み合わせで公開されている状況は実になんとも、おもしろい。

客層の中心は昼間の「リンダ・・・」が出演しているアイドル女優達や劇中に挿入されるブルーハーツ楽曲のファンとおぼしき10代から30代までの男女、夜の「クロマティ」が原作ギャグ漫画のファン層たるゲラゲラ笑いに来ている20代男女がそれぞれ担っている。
いずれも観客が結構列を成しており、休日の午後としてはかなり入りが良い。
両方をはしごしている小生の様に物好きな人は一体、どのくらい居るのだろうか?


ここはあえて「魁!!クロマティ高校」からいこう。
云わずと知れた「手鼻三吉」や「地獄甲子園」「ババァゾーン(仮)」、「怪奇大家族」シリーズの山口監督である。おもしろくならないわけがない。

ご存知の方も多いと思われるが、題名使用権をめぐるトラブルが勃発し一時は劇場公開が危ぶまれていた。上田馬乃助乱入のごとし。
かつてコメディ・コンビ<とんねるず>のTVバラエティ番組で歌の宣伝を兼ねて<クロマティ侍>なる時代劇コントを自ら演じた人なのに何故・・・?といぶかったものだが。ここはどうやら元プロ野球侍の心意気を見せてくれたようだ。
ともあれ無事公開されて喜ばしい限りなり。
(まさかこれがプロレスラー・橋本真也氏の遺作になろうとは・・・!)

予感したとおり、原作エピソード集(コント集、といっていい)をベースにしたナンセンス剛速球の笑いがこれでもか!とばかりに連投される。そして場内でウケまくっている。

不良高校生の学園娯楽映画としてのキャラクター達のツボはしっかりと押さえられている。どう見ても出演者は皆、20代か30代だが。(予告編の段階ですでに、シネマ愚連隊が浮かんだ。)
生真面目だが努力の方向がどこかずれているライダー龍騎・須賀の新入生(詰襟服が妙に似合う)、コワモテだが案外小心者の金髪ボス番長、仮面潜入ニセ高校生(うっかり者で笑える)、ハッタリズムで墓穴を掘るガオレンジャーレッド・金子昇の転校生、ゴ00やロボットの高校生(HINOKIOかい!)、と力んでるのにどこか脱力系のへんてこりんなキャラ達が次々に現れ、騒動を巻き起こす。
<基準線>は山本浩司の茶髪同級生で、その為かいつもより演技を抑えている。

ホラー映画ネタ(く、くだらねー!)や空手映画のパロ・シーンを「キル・ビル」式に挿入しつつ、宇宙から来た<懐かしの悪役>コンビまでが絡み(よくぞ使用権利OKが出たものよ。声まで同じ)、後半はブレーキ無用のむちゃくちゃな状況に陥る。
まるで「Mr.BOO」シリーズや「みーんなやってるか!」を観るようだ。デタラメ、ばかばかしさゆえの活気がみなぎる。欲を言えばまとまり、収斂にやや欠けるのだが。これは笑わせた方の勝ち、である。

で、結論・・・頭使って観なければ、結構笑える。
でも、カンヌ映画祭はこの映画についてゆけない。多分。



一方の「リンダ リンダ リンダ」には、そんな思いきったド派手な前のめりの活力などは画面自体からは殆ど見受けられない。

題材は地方の高校祭での4人組女子高生バンド演奏をめぐる、きわめてありがちなライブ直前のトラブル。
旧友との相克、欠員募集、部活、貸しスタジオでの練習、模擬売店の手伝い、祭のルポ撮影、夜中の校舎侵入、ほのかな恋愛にライブ遅刻騒動、と、青春シネマの題材としてはきわめてありふれている。女性バンド結成にしても今時そう珍しくはない。
学園祭期間とはいえ、校舎と周辺地域のみのきわめて<普通>の日常としての数日間が、きわめて地味な色彩(特に日陰の教室・備品置き場など)と長回しシーン群の印象とともに、比較的に静かに淡々と描写され続ける。いかにも「リアリズムの宿」の山下監督らしい画面。実際これは、ライブ当日の朝までで話が終わっていても決して不自然ではないような感じさえする、そんな描き方なのだ。相米慎二監督の映画みたいに。
さあ、感動してください、という風には全然、なっていない。

にもかかわらずこの映画、終始すこぶるわくわくさせる。観ていて実におもしろいのだ。
これは一体何故なんだろう?

理由の一つは勿論、ブルーハーツ楽曲の世代を超えた持ちのよさ、普遍性にあるだろう。リズムもテーマも十代にはわかりやすく、のりやすい。つなぎで出てくる歌やにわか演奏も結構良い感じ。

いま一つの理由も明白。
欠員のできたバンドの3人組(ナチュラルな演技にまずまず好感)に誘われて行きがかり上ボーカルになる韓国からの留学生役、ぺ・ドュナの目線や表情、仕草の豊かさ。
片言の言葉しか通じないハンデある役なのがかえって、身振り手振りをまじえた対話シーンではコミカルな演技を目立たせ、当人の存在をより際立たせる。男女の噂話に興味津々なシーンや恋文騒動など笑わせる。じつに楽しそうな対話だ。
しかもどんどん歌が上手くなってゆく。無人の出店前とステージで初めて長台詞になる辺りが静かなるハイライト。
つくづく「ほえる犬は噛まない」を観ておいてよかった、と臨機応変な演じっぷりに感心させられる。

そしてもう一つの理由とは・・・
今云った、相米慎二監督をも想起させうる、一見地味で長回しだらけな画面の並ぶ状況、それこそが正にこの映画をおもしろく見せている、ということ。結果的にこちらでは主人公達の動き、表情をじーっと見つめるしかなくなり、傍観しながらもじわじわと、彼女達との心理的シンクロ効果が増してゆく。
(年齢的に近いのは、あの男性顧問の先生なんだけどね・・・。彼もまた深くは立ち入れないので傍観・アドバイスするしかないのだ。)
一同が一列をなして夜中の道をそろそろと歩いてゆく長回しシーンだけで、なんとなく可笑しい感じがする。
ラストは「今までの自分らしくない終わり方だった」と監督は語っているそうだが、あれがなきゃ観客は消化不良になってしまう。やっぱりあれがいい、と断言する。
山下監督、ついに新たなる地平に達した。今後の動向により注目したい。


いずれか一方しか観て無い人、機会があればもう一方も是非。
観ておいて損はしないから。


6以降は次号予定。
以上。


付記:
渋谷の劇場ロビーに、2体の番長?が。
この2体の一方、同じ原作者のコミック「課長バカ一代」(笑えるよ)にも途中から出てます。ちょっとキャラ違うんだけどね。






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  1. 2005/08/06(土) 17:26:49|
  2. 劇場用映画
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