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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

スケバルQ <17> 「エロティック・ゾーン」

主水日記。


4/15(土)、夜。
ピンク映画大賞・受賞式は例年通り、新文芸座のオールナイト企画枠で執り行われた。
去年に比べて、客席に関係者・スタッフが多く、男性客比率がやや高くなった。女性客にも是非来て観てほしい企画なのだが・・・。
新人女優賞の4人も、例年の様に挨拶ではしゃぐ人は少なく、割とおとなしくて品行方正な感じで、賞状を受け取っていた。衣装姿は皆、それなりに華やいでいたが。

おそらくは・・・
今年は、林由美香さん追悼の色合いが濃かったので、皆、例年よりも遠慮がちなパフォーマンスになったのだろう。
会場の誰しもが、あの人がここに今年居ない寂しさを噛みしめていた。
レギュラー司会・松島氏&池島ゆたか監督のアシスタントとして代行に「関係者全会一致」で選ばれたのは、林さんにちょっと似ている小柄な女優だった。

長年の業界功労に対して林由美香さんへの<特別賞>授与式。
先に過去作品名場面集が特別上映された。
名作「誕生日」もちゃんと入っていたのはありがたい。
林さんの御母上が「作品は去年まで、どんななのか知らなくて」「正月だけ家でしゃべってってね・・・あ、今幸せなんだな、と思っていた」という談話をされ、司会の3人も、場内も、ただ、涙、涙。
PG編集長のH氏による締めの挨拶も、「これでやっと、由美香さんに、ありがとうって言えた・・・」。
あの時、皆、あの人が緞帳の上あたりでまだ、そっと見守っている様な、そんな気持ちを共有していた。間違いなく。

なお、レイトショー1作目は急遽、林さんの遺作、吉行由美監督「ミス・ピーチ」の上映が繰り上げで第一位作品より先に行なわれた。
観るのは既に3回目だが、やっぱり明るくコミカル、愉快な作品。
その直後に、この作品のメイキング映像が特別上映された。
なんだかまだその辺に普通に居て、冗談言ってそうな感じがしちゃうなあ・・・と感慨あり。

そんな中、前述の表彰式中、宮崎あおい出演の三億円事件映画「初恋」(後で予告篇がかかったが、あ、まだその手があったか、という発想。)に出演した、という某ピンク男性俳優が・・・
ブxーフ一丁にタスキがけで授賞式のステージに現れる一幕に、仰天させられた。
やるときゃやるぜ。役者魂やのう。
後で又、スーツ姿で現れたときは、微妙にほっとした。

又、トークゲストコーナーでは昔、池島組他で女子高生役が多かった、という女優経験者の方(ちょっと、小生もよくわからないのだが・・・)がゲストで登場。なつかしの現場同窓会気分も濃厚な雰囲気に。
往年のファンにはどうなんだろう?気になる。

休憩時間のロビーは例によって、有志による関連商品・資料販売(ミニコミ誌の店でも「PG」、売れてるそうですね)とベストワン作品、いまおかしんじ監督の「かえるのうた」(既述)女優コンビによるサイン会が催されていた。大盛況。
去年は「たまもの」の林さんと、ピンク現場ドラマ作品の吉行監督だったんだよなあ・・・。又、目頭がじわっと来てしまった。
あの林さんに代われる女優など居ないが、ニュースターの登場、ピンク女優陣の更なる奮起・活躍を期待したい。

特に・・・「かえるのうた」の向夏。
本人は何というか、もちゃっと、かつサバサバ?したような感じだが、役には見事にはまって演じきっている。
次には何をやらかすのか予測不能、長期ランナーの可能性を秘めている、と見た。

去年の製作本数、84本。
ピンク公開映画館自体の減少、CS・ビデオ・DVDへの視聴移行等が影響しているのだろう。
翌朝、上野オークラへも寄ったが、メインたる中高年層のお客さんが
十数人位。
作品は長野の映画館廻りする荒木太郎組旧作、昭和レトロ調の池島ゆたか組新作などがあって、悪くないのだが。観ないのは勿体無い。
あれを新文芸坐でも、特集で掛ければいいのに。

アップリック等でのイベントは相変わらず大変な好評なのだが、こちらでのお客さんは逆に女性層比率が高い。
90本を割ったのは寂しいが、ドラマ性、エンタメ等の要素で見れば質はいよいよ向上している、と小生は見ている。
ただ今年の上映作は、ベストワン作品賞の「かえるのうた」(シナリオ原題に沿った一般公開題名。ピンク枠題名は配給会社が決めている)も含めて全体的に、やや地味目でフラット、おとなしい印象を与えるものが多いのが気にかかった。

ベストテン第7位にまんたのりお氏怪演作、国沢実監督「欲情喪服妻 うずく」(原題「甘い毒」)が入っているのは、ちょこっとうれしい。
ここへ呼ばれたら「映画監督になる方法」の監督役みたいに、吼えたりして・・・?
(たまに吼える男優・監督が出ますから、ここの式では・・・の声)

作家性一辺倒でも、娯楽性寄りだけでも、成果としての映画作品は停滞する。かといって中途半端なのも、なおいけない。
もっと映画に自由度を!
世の中の理不尽にカツ入れるドラマ性を!
そしてもっとファンタジックな楽しさを!
と、一ピンク映画ファンとして檄を飛ばしておこう。

それと新文芸坐様、そろそろ昼間のピンク特集も復活させてください。
どう対策とっても眠いんですよ、オールナイトは・・・。
5本一挙上映中、3・4本目が特に、起きているのが困難で。

亀有名画座があった頃は、昼間丸2日(プログラム2週分)行けば年間ベストテン作品、全部観れたんだよなあ・・・。
ロフトプラスワンでの2年間は、トーク中心でありがたかったけど作品のVTR上映はベストワン1本だった。
それを考えると今5本観れるのは貴重、なのだが。
ピンク封切り映画館は基本的に今、新旧3本立て。
一本あたりを考えると高いか、安いか?
小生は結構、お得感ありなのだが。

建て直す以前の旧文芸坐でも、昼間に<近頃ピンクが面白い!>特集やってたし。
滝田洋二郎・黒沢清監督作品などを取り混ぜて、あれで80年代作品を一杯観れた。蛍雪次朗出演作が多かった。(探偵推理仕立ての<チxx電車>シーン入りコメディとか、ね・・・の声)
ああいう特集、ぼちぼちどうでっか?是非。



付記:オールナイトの上映作品名。



吉行由美監督・脚本、本田唯一共同脚本
「ミスピーチ 巨乳は桃の香り」(既述)
(脚本タイトル:プリティ・イン・ピーチ)
(製作:オーピー映画)
(ベストテン5位、技術賞、特別賞)


「援助交際物語 したがるオンナたち」(一般公開タイトル:[かえるのうた])(既述)
(脚本タイトル:ドアをあける)
(国映=新東宝)

同じ映画に、タイトルが3つも・・・。


竹洞哲也監督・小松公典脚本「欲情ヒッチハイク 求めた人妻」
(脚本タイトル:舞う指は誰と踊る)
(オーピー)
(ベストテン4位、監督賞、脚本賞、女優賞、男優賞)

のんびり旅する、ロードムービー調。
人妻が家出、ヒッチハイクで故郷の長野へと向かう。途中、若いペアと合流。民宿を営む昔の恋人と再会、手伝いながら滞在する・・・。
主役・夏目今日子のアンニュイな存在感勝ち。

後藤大輔監督・脚本「わいせつステージ 何度もつっこんで」
(脚本タイトル:言い出しかねて)
(国映=新東宝)
(ベストテン2位、女優賞)

ロッポニカ一般映画路線になる直前の、にっかつロマンポルノ末期に「ベッド・パートナー」で監督デビューした後藤大輔監督も、今やすっかりピンク常連に。
腹話術師が出ているのだけは、かすかに覚えているのだけど・・・。
何しろ真夜中で。観直さないと・・・。


池島ゆたか監督、五代暁子脚本「人妻を濡らす蛇 -SM至極編-」
(脚本タイトル:冬のワナ ~第二章 人妻編~)
(オーピー)
(ベストテン9位、女優賞、男優賞)
題名どおり・・・。
大物美術評論家が足腰立たなくなって旧家にひきこもり、昔遊戯でいたぶっていた女たちを呼んでは又、いたぶってる。ほんまにそれだけ。



表彰式の時間がかなり延びた為、すべての上映が終了したのは明け方、6時50分過ぎ・・・であった。

以上。

あいにくこの日、いまおか監督はロケ中で、表彰式に来れなかった。
おなじみの国映プロデューサー女史が代理で作品賞を授与。
この方は若松孝ニ監督がピンク撮ってた頃から現場にいらして、ずっと業界に残っていらした、猛者プロデューサー様だそうです。
スタッフ表記中で<朝倉大介>名義を継承してるのも、この人です。
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  1. 2006/04/23(日) 10:17:55|
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