TV・映画界、おくりびと。
奇才・池田敏春監督、
59歳で、没す。
一か月も前に、海で亡くなっていたとは・・・。
三重県志摩の海、といえば、
「人魚伝説」のロケ地ではないか!
ディレクターズ・カンパニーの雄として、
「人魚伝説」を発表した、池田監督。
「原子力戦争」よりも、ずっと、激しく・・・恐い、
ヒロイン・みぎわの、リベンジ・アクション・・・。
・・・というと、まるで観てきたようだが、実は違うのだ。
ATG公開、と聞いているが、
当時は公開館がよくわからなくて、結局、シナリオ誌で読んだだけ。
たしか最初、公開未定状態で、
上映運動のためどこかで、単発上映をやる、というチラシを見かけた覚えはある。
そこにも、行っていない。
かなり殺伐とした話で、
あまり、好みの映画じゃないな、と当時は思っていた。
ごく最近、シネマヴェーラで上映したらしいが、
これも日程の都合で、見逃してしまった・・・。
レンタルで観るしか、ないのか・・・?
「天使のはらわた・赤い淫画」は、にっかつロマン映画。
これはいわゆる、石井隆の路線。
デパート・ガール、撮られた写真が、ビニール本に・・・
そのモデルの女を、男が追ってゆく・・・。
という内容自体が80年代的で、最早ノスタルジーの世界。
亀有名画座で観た。
「魔性の香り」も、亀有名画座で観た。
かつてのアイドル・天地真理と、ジョニー大倉の主演で、
にっかつロマン映画として公開。
線路を歩く二人、
夜の屋上で・・・ああなる、二人。
まあ、中年男女の魅力、という感じだった。
ぐにゃぐにゃした合成、キャメラ撮影による場面の二重化、
立体的で動きの激しいまま、最後まで引っ張った、
「死霊の罠」。
観たのはたしか、池袋だった。
「ちぎれた愛の殺人」は、新宿公開で。
これも、石井隆脚本。
中村由真の女子大生、死亡事件から始まる、
冬彦ブーム・佐野史郎の教授VS横山めぐみの女刑事。
サイコ・サスペンスに、出雲ロケ。
その主題歌付けるの?等、賛否はあったが、
あの佐野の演技には、結構、圧倒された覚えが・・・。
京都が舞台の「くれないものがたり」は、
中野武蔵野ホールの、レイトショーだったか。
寺田農が刀を持ち、高所から、ひゅ~っと降りる風音は、
十数名の客が皆、笑ってしまったものだ。
このあたりまでが、この刺激的奇才の、頂点だったかな・・・と。
里帰りバトル・アクション「MISTY」は、銀座シネパトス。
火炎放射が、こわい・・・。
このあたりまでは、彼流の物凄さが、まだ垣間見られていたのだが。
90年代後半の、「鍵」などでは、
かつての衝撃的表現性は、大分、トーンダウンしてきていた。
あれ~?という感じで。
年齢が彼を、軟化させたのだろうか。
柄本明の、よろけるシーンで、
映画館のお客は、失笑していた・・・。
2001年の「いきすだま 生霊」は、新宿東映会館。
やや薄味な、ミュージシャン・ホラー?で、
主役青年コンビの足元が、ぱかっ、と二分されるシーンなどが、
かろうじて、この人らしかった。
しかしまさか、テレビ東京系の<超新星>シリーズで、
「グランセイザー」「ジャスティライザー」「セイザーX」の監督になるとは、
予想だにしなかった。
宇宙戦争ものの、「セイザーX」の終盤など、
普通の人間の、ご町内や民家に、
宇宙怪人の元幹部が、そのままで、普通に(!)同居していて、
じつに穏やかな、ユーモラスなものだった。
かつての池田作品を、知る者としては、
VTR特撮ドラマへの進出は、番組の作風も含めて、かなり意外なものだったが、
ちょっとばかり、ほほえましくも、あった。
そのまま穏やかに、引退するのだろうか?などと思ってもいたが、
ビデオ方面では、その後も長く、現役だったようで・・・。
まさかこんな、劇的な、最期になるなんて。
天才指揮者に過ぎたことが、
逆に彼を、追い詰めてしまったのだろうか?
故・西村潔監督のときのニュースが、浮かんだ・・・。
きわめてエネルギッシュに、一時代を駆け抜けた人に・・・
合掌。
以上。
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- 2011/02/01(火) 22:36:24|
- 劇場用映画
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