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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

スケバルQ <8> 「クリエイターズ・ゾーン」 

速報。
主水日記。

4/8(土)、21時20分、渋谷シネマ・ラ・セット。
松梨智子監督「映画監督になる方法」、初日。


異例にエキストラで自らちょこっとだけ出ていながら、試写を観ていなかったので、初日封切りでやっと観れた。
心配した雷雨も昼間の2度だけですぐ上がり。
初日舞台挨拶の入りも、レイトショー30分前でもう満員御礼が。ああ、よかった。とりあえずひと安心。
(上の階も「闇打つ心臓」封切りで、ごったがえしていた。重なる時は重なるものだなあ。)

しかし、客席ではあくまでも観客、ちゃんとおもしろくなかったら承知しないぞ!と例のごとく身構えて、拝見。
監督の前作「レプリカント・ジョー」に幾分かのおもしろさを認めつつも、やや不満が残っていたせいもある。
そして。



おそらくは業界的に微妙な?内容をかなり含んでいるため、書きにくい部分もいろいろと、あるのだが・・・
エロ・グロ・ナンセンス・コメディとして観れば・・・

すこぶるおもしろい!
「映画監督になる方法」。
いや~、まだ興奮がさめやらない。

冒頭、町田マリー扮するイチゴちゃんの戦闘?シーンの妙に明るいグロさ、ばかばかしさで、つかみはOK。
乗れるかどうかはまず、ここのグロさを受け止められるか、どうか?で分かれるだろう。
予告編に出てくるミイラ集団芝居は何だ?といぶかっていたが、本編中盤で納得した。あれに、ストーリーのほぼすべてが集約、象徴されている。
正直、ここまでこのテーマをあくどく突っ込んでやるとは思わなかった。タブー寸止め状態。いまさら、というものもやや含まれるのだが。知らない人も多いから。
(「トレポネマ」にも少し出ていた。ショック受ける人もいるかも・・・?の声)
出演者は皆(監督を含む)、もろ捨て身。大胆すぎる。あまりにも。
普通隠すだろう、という事までもあからさまに、劇中世界で次々にさらしていく。

特にまんたのりおの、才気溢れるがわがままで自己中心、自信過剰な監督。社会性の無さに呆然とさせられる。
まあ、そういう人は世の中には往々にして居るものだが。これで才気も無かったら同居女性は気の毒だ。
AV業界で理解者たる友人(結構しっかり者)を得ていなかったら、果たしてどうなっていたことか・・・想像するだにおそろしい。
人生何が幸いするかわからない、出会いの運も一つの才気、なのだろうか。
常識の破壊者、かつ映画の創造者たる男女監督、それぞれの文字通り蠢(うごめ)くその在りようには、いやでも圧倒させられる。
そして彼らは常に、周囲の人間との<認識の差異>に悩まされている。映画やコンクール、仕事、男女関係などに対する認識の差異に。
その差異こそが、劇中で状況を揺さぶり、差異から生じる振動がさらなるドラマの動きを形成する。

主役のまんた・町田双方の演じるキャラクター自体が既に持っている、あくなき前進への意欲と勢いが、いわば矢印の2本立てで映画全体の展開を引っ張り続ける。
更にこの男女2人の監督が仕事上でコンビとなり、矢印(数学で言うベクトル)が一本に合流し相互作用が始まるや、たちまちのうちに両者の題材・男女関係等に対する意識、生活観のズレが表面化してゆく。
しかもそれはいびつながらも三角形の2角、でもあるため、男性監督自身の<認識台詞>にも反映されてゆく。
その果てには<状況>の真偽すら越えきった、怒涛の展開、終末が待っている・・・。
編集の妙、造形の達者ぶりが更に、映画全体の持つ前進、また前進の勢いをだめ押しする。
そのカオス状況と勢いの前には、一部テント内画面の暗さ、表情の見えにくさなど、何程の事も無く吹っ飛んでしまう。

一部実体験を参考に、と舞台挨拶では一同語られていたが、さすがにあの終盤近くはフィクションだろう!!と。
その分、展開上脇へ外れていった登場人物達のその後には、いささかほっとさせられもする。

これだけだったら、ただの不快ないたましいお話に終始しかねないのだが、「トレポネマ」にも見られる状況の客観視と徹底した喜劇化演出により、全ての劇中状況は笑いへと転化されてゆく。そこが素晴らしい。
エンタメ映画のリズムと弾み、勢いがあって、ちゃんとおもしろくなっている。最後の最後まで。

随所に挿入されるおなじみのミュージカル・シーンも楽しい。舞台俳優・女優陣出演ならではの強みだろう。
いささかベタでのほほん、な音楽だが、余計にコミカルさを強化する効果を持つ。
(この手増えてきたね、最近の一部邦画で。みんなわかってきたな・・・の声)

主役コンビをはじめとする、映画業界周辺でもがきのた打ち回る人々のすさまじさ。
そのミもフタも無き言動の数々に、なんとなく納得しつつも、随所で笑いまくった。
(これから映画を撮ろうとする人々には、複雑な気持ちにさせられる内容だろうが・・・の声)

会心の出来。
過去を客観視できる余裕を、監督がちゃんと持っているからだろう。

やったね、松梨智子監督。おめでとうございます。
成果を踏まえつつ、さらに精進されますように・・・。


以上。



付記:なお、エキストラ参加部分は、しっかりと使用されていた事を付記しておきます。感謝致しております。


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  1. 2006/04/09(日) 11:36:44|
  2. 劇場用映画
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