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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

事件の真相に迫る、スケバルマン!

主水日記。


3/9(木)。
非番。

暖かい。
やっと、春が来た。
啓蟄。春一番が吹く。

まずは花粉症対策。
今年も又、マスクと常備薬の世話になる。

春眠暁を覚えず。
とにかく、何かと、眠い。
日中も、夜も。

上映中でも、対話やトークの最中でも。
自分の意思や映画の内容とはまるで関係なく
唐突に、眠くなってしまう。
この時期はこれが、悩み。
あわててもう一回、同じ作品を見返すことさえある・・・。
大いなる眠り。

・・・したがって、たとえ上映中に寝入ったとしても、それは、決して作品のせいとは限らないことを、明記しておく。


でも、本当に眠くて困った映画が、残念ながら、ある。
渋谷の外れ、円山町に引っ越した新生・ユーロスペースでやっていた・・・
「ギミー・ヘブン」。

とにかく各シーンが、無駄に長くサスペンスを欠いたまま、つながれている。
ある人物の死のシーン、都電内のシーン、すべてが皆、長すぎる。
観ていてハサミを入れたくなる。編集マンでもないのに。
プロなら、カットつなぎを学んでくれ!とぼやいたのだった・・・。
<共感覚>による視界のズレとのぞきからくり商売、を題材にしたミステリー仕立てなのはユニークだが、人物・意匠描写が全般に無機質な上に、かんじんの筋が・・・。サスペンスが中盤で引っ張れず、緩んでしまった。
ラストは結構それらしく締めかけてるが。あれって何?再生?よくわからない。
これじゃ、役で得をしたのは宮崎あおいだけじゃないか。
折角の題材なのに勿体無い。誰か再編集してくれ!


これに比べれば、同じユーロスペースでやっていた「カミュなんて知らない」は、大学内中心のこじんまりした話しながら、すこぶるサスペンスフルで、面白い。

冒頭にほぼ、一気撮りの人物紹介。これで既に、全体の流れがキマッテル。
映像コースの一同がキャンパス内で(立教大学ロケ、というのがいかにもそれらしい)現代の<理由無き殺人>をテーマに映画を作ろうと準備する、その過程で起きる<ありがち>なすったもんだを、明白にフレンチ・ヌーベルバーグ調を意識的に行ないつつ、洋画・邦画のオマージュ描写や知識ネタを散りばめつつ、概ねゆったりと綴ってゆく。
若手監督をめぐるフリーすぎる恋模様・・・。しょうがねえやつだなー。天罰だよ、ありゃ。
助監督女子学生もあれ、結構きついぞ。山男にゃ。
え、この俳優(中泉英雄)が映画の代打主役でいいの?と最初は戸惑って観ていたが、後半で結構、やるやる。
吉川ひなのや黒木メイサの女性像はやや古風な感じがするが、彼女達なりの恋情ないしは欲望を表に出し、男達にぶつけてくる。監督も教授も、たじたじ。もろにフランス映画。
周囲の映画漬け学生達の対話はリアルだ。柳町光男監督、実際に先生として、多くの学生気質を眺めてきた賜物だろう。(これは、映画になるぞー!という視点も、おそらく含めて。)

おいおい、あの「十九歳の地図」の柳町光男監督がフレンチ・ラブロマンス調かよ・・・と最初は苦笑していたが。
どっこい、殺人心理解釈をめぐるハードな議論や再現・実験シーンなどに柳町節はしっかりと、マグマのごとく生きていて、噴出した。演出中、とわかっていても迫力ある場面にはゾクッ、とくる。
これは柳町にとっての「光の雨」なのだ。
画面の流れはゆったりしているが、サスペンスは終始ちゃんと持続しているのだ。こうでなくちゃいけない。
ラストの解釈?どっちかな・・・。どちらにもとれるように締めてるから。小生は幕は下りた、ということで。


さて、この明暗分けた2本と同時期に、同じユーロスペースでは・・・

はるか北欧の氷の国から来た特集上映、<アイスランド映画祭>が行なわれていた。
その為か、ロビーにはゲストらしき人々の姿もちらほら、見うけられた。
掲示資料によると氷河・火山・温泉が3点セットの島国。
人口数十万、アフリカなどからの移民も多いらしい。
国産映画は年に5本とか。映画人口を考えたら多いほうだろう。
ビョークの出た地としても知られている。

今回時間的に観れたのは、バルタザル・コルマークル監督のデビュー作「101レイキャビク」1本だった。
2000年、アイスランド・デンマーク・ノルウェー・フランス共同制作。実話が原作・・・だそうだ。
もしそうなら、まったく、とんでもねえ実話だ。

冒頭から冬の海が見える丘の上で、雪に埋まりかけた青年が出てくるので「なんだ、どうしたんだ?」と思わせる。
(場内のポスターもこのシーン。)
その訳とは・・・。

レイキャビク、島国アイスランドの首都。
ロンドンやパリほどの大都会ではないから、主人公の青年が週末にダンシング・バーやホームパーティーで顔を合わせるメンツは、大体決まっている。去年と代わり映えがしない。
セックス関連では周囲が皆<兄弟>、とナレーションでぼやく青年、ヒリーヌル君。半ばあきらめ、やけっぱち。
ナイトライフの乱交パーティーでは大麻を吸い、他人のセックスを冷やかし気味にからかい、うっぷん晴らしの毎週。
呑んだくれの父は離婚されて外。
自宅には購入局(そういう役場があるらしい。島国だから?)に勤める母親と2人暮らし、暇さえあればPCとにらめっこ。
自称<ひきこもり>だが、週末セックスする彼女がいるから、ちょっと違う気が・・・。
今やレズビアンとなった母の通うカルメン・ダンス教室には、母の恋人女性がいる。その恋人女性(青年より年上)が年中、家に出入りし、母といちゃちゃし、そのマイペースぶりに振り回され続ける青年を閉口させる。
(テーブルのすぐ横、ソファーの下に風呂桶があるのって、向こうの家じゃ普通なのか?あの家だけなのか?あそこ可笑しかった。)

だが、ひょんなことからそのレズ女性と寝てしまった青年。
本来の彼女との仲もこじれる。
ついにレズ女性に妊娠騒動が発生、彼女は青年の母親と2人で育てると言い出す。ドタバタの目に遭う青年。
万事が嫌になって、一時は凍死自殺すら試みるが・・・。(それで雪に埋まっていたのだ!)
で、母と女性は生まれた乳幼児を洗礼へ。
俺は父親で兄で、母は子供・兼・孫を持つのか・・・とつぶやく青年。(アア、こんがらがってきた。ややこしい!)

とまあ、こんなむちゃくちゃな<実話>がシニカル・コメディータッチで軽快にテンポよく、あくまでも明るく?前向きに展開する。
もう、随所で、つい吹き出してしまう。
ヘアーも男女ともノーカット。おおらかだなー、と妙に関心す。
他の作品も、観たかったなあ・・・。


以上。












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  1. 2006/03/12(日) 10:46:57|
  2. 劇場用映画
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