三度の飯より、映画が好きな、
小五郎の、日記。
4月2日・金曜、夕方。
神保町シアター。
ロビーは、舞台公演待ちの若年層と、
直前上映の試写会?らしき人々の集まりとで、
一時、かなり、ごったがえしていた。
今日の上映は、「セーラー服と機関銃」。
1981年公開、角川映画。
実は、初見は、テレビ放送時で。
スクリーンで、通しで観るのは、多分初めてであろう・・・。
冒頭、医師の台詞に、まず笑う。
場内でも、ウケている。
いきなり、のけぞって出てくる、主役・薬師丸ひろ子、愉快。
巻き込まれ型の、コメディー&サスペンス世界の中で、
確実に、十代後半ならではの、女優の輝きと、
ころころした、うごめきぶりの面白さを、体現して見せている。
高校生アイドル映画+ヤクザ映画、という組み合わせ自体は、
過去に東映・大映などでも、近いものがいっぱい、あるのだが。
押さえ目ながら渋い魅力の、渡瀬恒彦は、どんぴしゃの役。
異常なほどに凝り症の悪役、三国連太郎は・・・
とてもスーさんから、遠い!
まず、脇を固める、多くのキャスティング自体が、
ものすごく、恵まれすぎている。
だが、これはその線のドラマを、
わかりやすいリベンジ・ドラマ風に、見せるだけでは、ない。
相米慎二監督独特の、凝った手法で、見せてゆくのが、
面白くて、たまらない映画。
かなりの高所より、火葬場や、ビルの屋上を見下ろしたり、
マンションでの、風祭ゆき(抜群にいい演技)と主人公の対話シーンを、
わざと窓の木陰越しから、キャメラ視線を、横に移動させていたり。
キャメラ長回しの多用によって、
柳沢慎吾と踊りながらしゃべるシーンを、延々と観察させたり。
そういう、何げないシーンの見せ方が、実におもしろい・・・。
まるでサファリパークの動物観察のような、
やや遠めの視線で、とらえているのが、ユニーク。
ヒロインが一人、部屋でうごめくシーンなど、
後世の「東京上空いらっしゃいませ」の、
牧瀬里穂の動きが、すぐに浮かぶほど、似ている。
憶測だが、当時この手法の効果が、水際立っていたために、
後続の、80年代PFF出品組にとって、
一つの<お手本>になっていったであろう事は、想像に難くない。
ただ、あれから、多くの後続監督の映画に、
あまりにも多用されすぎた感は、あるのだが・・・。
とはいえ、今回通しでちゃんと観ておいて、本当によかった。
たっぷり、堪能できた。
間違いなく、日本の映画史に残るべき、秀作だろう。
4月3日・土曜。晴れ。
昼間、地元某所にて、花見。
子供時代の友人と、数年ぶりに再会。
好奇心豊かな、彼の子供に、質問攻めに遭う。
同日午後、17時45分、神保町シアター。
「ひばり・チエミ・いづみ 三人よれば」。
東宝映画「ジャンケン娘」等、<三人娘>シリーズの、実質的続編。
過去シーンが、流用されている。
ただし、いづみ嬢が元舞妓ではないなど、設定は別物なので、
平行世界と解釈すべきだろう。
それぞれに職を持つ、銀座あたりの<お嬢さん>達が、
かつての恩師が始めた、結婚仲介業につきあわされた事から、
巻き起こる、たわいもない?ドタバタ騒動。
雪村いづみの美容師を口説く、岡田真澄が調子よく、ちょいと愉快。
ミュージカル・シーンが、より強化されている。
3人のコミカルな浮浪者が、舞台の有名キャラに変身、
多忙なモンロー?や、お蝶夫人になる、
劇中劇も、大した乗り方で。
明るくて、愉快、愉快。
その夜、21時。
ポレポレ東中野・レイトショー、
ピンク映画、特集上映。
<R18LOVECINEMA SHOWCASE>。
「たぶん」&「うたかたの日々」、2本立て。
この夜は、上映開始前に、
主として「うたかたの日々」メンバーズによる、舞台挨拶があった。
例によって、映画の商業公開題名は、
シナリオ名とは、まるで違っている。
これは、ピンク映画の常識。
竹洞哲也監督の「たぶん」(小松公典&山口大輔脚本)は、
「いとこ白書 うずく淫乱熱」。
加藤義一監督の「うたかたの日々」(城定秀夫脚本)は、
「壺姫ソープ ぬる肌で裏責め」に、変わっている。
「たぶん」は、劇中終盤の、主人公達の台詞から取っている。
田舎の無人駅から、
結婚を決めた女性教師と彼氏を見送る、
地元の女子高生。
その女子高生といとこ同士の、女子大生。
二人は仲良し、一緒に風呂やジャグジーに入って、あれこれと語りあう日々。
それぞれの恋のあり方と、初体験への興味と、
男性達への思い、一者選択の悩み、
その事で一時、ちょっとしたいさかいに・・・。
といった、子供以上・大人未満の、青春恋愛期回想もの。
ベッドで興奮して、「好きすぎるんだあ~!」と叫ぶ、うぶな青年や、
娘の初体験に、赤飯をたいてしまう、
田中X衛調?まるだしの、父親(なかみつせいじ)が、
ユーモラスで、面白い。
父親のシーンでは、出るだけで、笑いが起きていた。
そして、「うたかたの日々」。
こちらは、とりあえず前へ進もうとする、
「たぶん」の主人公達とは、正反対に、
どうにも、だらしのない人物が、主役。
大学を中途で抜け、エロ漫画家で飯を食いはじめ、
女子大生の住まいに、同棲をしているものの、
さっぱりうだつの上がらない、青年。
原稿料を貰った日に、寄ったソープランドで、
高校時代の元彼女(持田茜)と、
ばったり再会して、盛り上がってしまった・・・!
で、今日入れる予定の、家賃代等がふっとんで、
今の彼女に、追いだされる羽目に。
(あ~っ、情けねえ!の声。長門裕之の声色で、どうぞ・・・)
となれば、行く先は決まってる。
元カノの、家・・・。
そして、両者、今の状況に、複雑な思いを抱えつつ(?)、
にわか同居の、復活恋と、あいなるのだが・・・。
とにかく、持田茜(舞台挨拶での別称・しじみ)の、
天衣無縫、明るくキュートで能天気?なキャラクターが、
大いなる救い、となっている。
この演じっぷり、やはり、只者ではない。
他人の家に、ひょこひょこ現れて飲み食いする、
いつも間の悪い?先輩男性も、
いかにもいそうな感じで、ちょっと笑える・・・。
4月4日、日曜。曇り一時雨。
昼前より、外出。
高田馬場、BABACHOPへ立ち寄る。
自主映画制作団体・<NEW CINEMA DOG>の上映があって、
ある作品の音声を、一部入れ直した、新バージョンの上映なのだが、
時間の都合で、上映時間まで留まれないため、やむなく断念。
この日は、ご挨拶のみとし、辞する。
去り際の路上にて、知人達に多数、会う。
JR新宿駅より、京王線、
調布駅下車。
しばし時間が出来たので、
昼間は周辺を、散策。
住宅街を抜け、角川大映撮影所と、高校の後ろを通り、
多摩川沿いのバス通りに、出る。
電通大グラウンドを横目に、布田(ふだ)方向へ、
アート銅像が多く立つ歩道を、行く。
桜並木、ここでも満開。
更に、進む。
日活撮影所の正門と、日活芸術学院は、あっさりと見つかった。
結構大きくて白っぽい、工場という感じ。
スタジオの縁、ちょっと錆びてるな・・・。
人の姿も、多かった。
周辺でのロケ等は、今日はやっていないようだ。
ああ、きっとこの中で、
裕次郎映画も、日活アクションも、
にっかつロマン路線も、ロッポ二カも、
ウルトラ大怪獣バトルも、レスキューファイアーも、
ヤッターマンも、撮ってたんだろうなあ・・・!と。
ちょっと、感激。
バス停前に、サイの像があるのが、お茶目だ。
向かいには、学院の丸いアンテナが、立っている。
バス通りの、すぐ後ろの溝(川?)にかかる、短い橋を渡ると、
そこはもう、多摩川の河川敷。
小生同様の、花見客が、ちらほら。
ファミリーで、バーベキューを楽しんでいる人々も、目立つ。
東方向の遠くにも、咲き誇る桜並木が、伺える。
向こう岸の山には、遊園地の塔や、観覧車が見える。
西側では、京王多摩川線の鉄橋を、
白い電車がゴトゴト、渡ってゆく・・・。
地元の人達には、勿論何でもない、日常の光景なのだろうが、
千葉県西部から、はるばる遠征?してきた者にとっては、
やった!多摩川縁に立った!という、到達感があるのだった。
調布には何度か、来ているのだが、
ここまで足を延ばす時間が、めったに、無かったのだった・・・。
(そりゃ、江戸川のほうが、近いよな~、の声)
そこへ、15時過ぎ頃より、小雨が降ってきた。
傘をさして、バスを待ち、
乗って、調布駅へ戻る。
その道の途中に、角川大映撮影所の正門が、見えた。
スタジオの壁に、青いガメラの絵。
何か、ギャオスやレギオンらしき物体が、飾ってある。
大魔神の像も、ある!
それと、かなり大きめの、
オレンジ色の四角い看板が、掛かっていた。
「沈まぬ太陽」の、PR看板だった。
おそらく、このスタジオの中で、セット・シーンを撮ったのだろう。
さて、そろそろ、あの恒例イベントへ、行くとしよう・・・。
と、喜び勇んで、向かうのだった。
つづく。
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- 2010/04/05(月) 21:15:23|
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