経師屋の、日記。
3月10日、水曜。
夕方、 神保町シアター。
ここは、吉本興行の舞台と、一緒の建物なので、
ロビーには吉本系芸能人グッズが、いっぱいある。
オリジナルの芝居も、やっているらしい。
映画館は、地下のスクリーンになる。
18時45分、今宵は、
<春よ!乙女よ!映画よ!>特集の一本、「むかしの歌」。
1939(昭和14年)・東宝京都、白黒。
森本薫原作・脚本。
石田民三監督、助監督は市川崑。(おおっ、今度はすぐ出たぞ!の声)
明治中期、西南戦争の予兆ただよう世相の、大阪を舞台に、
伝統的商人一家の、マイペースお嬢はん(演・花井蘭子)が、主役のドラマ。
彼女をとりまく、
商人ぼんぼん、生みの母、転がり込んだ貧乏な家出娘らと、
交流しつつ、日常を生きる様を、いきいきと描く。
派手なアクションは少なく、もっぱら舞台芝居に近いので、
良質の文芸ドラマ、と呼ぶべきだろう。
三味線の得意な娘に、
芸姑稼業をやればウケるのに、と才能を惜しがる、出入りの髪結いおじさんや、
内職仕事で食いつなぐ、元武士の妻と娘、
西郷隆盛が立つ!と、仲間に同行を勧める男、
生活に疲れ、死に場所を求めて、出陣を考える元武士、
便乗相場の大損で、崩壊する商家夫妻、などが登場。
一見のどかな日常風景ながらも、時代とともに変わってゆく、
町内を、交差する人々。
木の橋で、風車売りの少女が通る、
何でもない光景が、なぜかいとおしい。
大手も中小企業も倒産続出、学生就職がまだ2割も未定という、
<就職氷河期>以上の不況といわれる今、
何とも、つましき思いにさせられる話も多く、
心中、涙するのだった・・・。
ラスト、つとめて気丈に振舞いながらも、
人力車の上で、表情が変わる主人公には、
やっぱり、泣けてくるのだった・・・。
以上。
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- 2010/03/14(日) 02:00:53|
- 劇場用映画
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