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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

仕事人、新人類誕生を見る

政の、日記。



11日・日曜、夜。
雨中、外出。


19時より、中野区・Plan-B。

まだ席があるかどうか心配だったが、
座布団席に詰めて、何とか入れた。


<ハイライトシアター>舞台公演、
「ゴキブリの作りかた2010」。

作・内田栄一。(注1)
脚色・いまおかしんじ。(注2)  
演出・出演、伊藤猛(注3)。

チラシによると、1966年に初演され、
1986年に新版が、作者により上演された、
アングラ演劇の、2010年版、とのこと。


キャストが皆、ピンク映画にゆかりのあるメンバー。
特に80年代、90年代以降、
2000年代にいたるまでの、ピンク映画。

本多菊雄、奈賀毬子、岡田智宏、ほたる、川瀬陽太、
伊藤清美、伊藤猛・・・。

その意味では、かなり、豪華!配役である。


客席との間に、紗(しゃ)のかかった、平らな舞台。
なぜか、後ろの黒板が、
選挙ポスター用の板の、デザインになっている。

まず、東京の風景映像がカーテンに映写され、
演劇メンバーが入場、何やら替え歌のようなものを、合唱。

赤塚漫画か、筒井康隆の小説のごとき、
何やら奇妙、珍妙なる、
近未来SF芝居が、進行する・・・。


記憶喪失らしき青年が、迷い込んだ、
とある科学研究所には、
やはり自分の正体を、知らないらしい?
コートを着た、謎の中年紳士が出入りし、徘徊していた。

そしてそこには、失敗作として捨てられかけた、
片言しかしゃべれない、
美女アンドロイド・ロボットが、置いてあった。
なぜかその美女アンドロイドに、惚れこんでゆく、青年。

その研究所内には、赤いジャージに白衣の、
饒舌でテンジョンの高い、変人風な博士と、
やたらに陽気な、女性助手が、いた。

彼らはどうやら、ゴキブリを使った、
ある特別な生物実験を、準備しているらしい。
うまく育成すれば、
人類の次の覇者ともなり得る、生物になる・・・
と、いうのだが。

青年は最初、やや醒めた視点で、
博士の実験を、手伝っていたが、
やがて、女性助手とともに自ら、
この生物実験に、はまってゆくのだった。

さらには、この博士の実験場に、
選挙の立候補者やら、
スクープの匂いを嗅ぎとった、記者やら、
その記者に呼ばれて来た、色っぽい女優やらが、
次々と現れ、集まってくる。

美女アンドロイドも、いつしか、言葉を覚え、
青年と会話を、かわすようになってくる。

一同、実験意義の議論で、カンカンガクガク。
記者のネット・アップを経て、状況は次第に、
社会的騒動?へと、発展してゆく。
いつのまにか、「ゴキブリ様は神様です!」みたいな、
変なことにまで、なってきていた・・・。

その行く手に待っていた、
とんでもない、実験結果とは・・・?

と、大体、そういう感じで。

明らかに、ベトナム戦争当時を意識した話だが、
2010年の現代に合わせて、
一部を置き換え、アレンジしている様子。

登場人物(+ロボット)の会話や、小道具の中に、
ネットカフェやケータイ、I-PHONE、普天間基地などが、
時事ネタ的に出てくるあたりが、
<必殺>シリーズと、近いものを感じる。面白い。

疾走感あふれる、ラスト・シーンは、
一度観たら、当分、忘れないだろう・・・。

約2時間の芝居だが、
最後まで、くい、くい、と引っ張られ、
一気に観たような印象すら、残る。

また、20年後位には、
<新版>公演が、出てくれるのだろうか・・・?などと。



以上。




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  1. 2010/07/11(日) 23:56:51|
  2. 演劇
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仕事人、静かに去る

小五郎の、日記。


7月11日、日曜。

昨夜は、遅くなったので、
翌朝、土曜の留守録を、観た。
副音声がCM後に少し、入ってしまったが、
鑑賞に大きな影響は、なかった。

その番組とは・・・

「必殺仕事人2010」。


冒頭に、<中村主水に捧ぐ>と、あった。
故・藤田まこと氏、追悼の意をこめた、新作スペシャル。


いきなり、一同仕事中!シーンから始まる。
その際、江戸で流行りの、
<天誅>侍斬り事件の、犯人らしき者が通りかかり、
誰かに、裏の仕事を見られた!
と焦る、仕立て屋・レン。

あれ、以前は坊主だったのが、
髪伸ばして、モデルチェンジしてるよ!
(後で、坊主頭の奴が出てくるから、
 イメージ差別化、かな・・・の声)


で、さて・・・
中村主水のVTR使用は、回想時のみの模様。
彼は、どういう扱いになったのか?というと・・・

主水は、せん・りつと共に、
急な任地替えで、西の方(関西?)へ、
中村家ごと、引っ越した模様。
戸口にはなぜか、お別れの張り紙と一緒に、
十手と、木の名前札(根付?)が、残されていた。

現役仕事人達が来た時には、
すでに中村家の自宅は、空き家。
いきなりだったので、
すぐ隣に住んでるはずの、同心仕事人・渡辺小五郎も、
女元締・お菊も、仕立て屋も、
まったく知らなかった様子。

(まるで・・・夜逃げ!?の声)
(仕事人にしては、ぬかったな小五郎・・・の声も)


代わって、新しい同僚同心の、子だくさん一家が、
中村家の後に、引っ越してきたのだった・・・。
「子育て手当でも、あればねえ」などと、早速時事ネタ。


で、今回の話は、
若手幕閣・勘定吟味役、風間右京乃助の行なう、
政治闘争・財政改革・事業仕分けと、
その江戸市民への影響、というもの。

普請事業の人足には、現場の仕事がなくなり、
口入れ屋の前には、仕事にあぶれた人足達が、殺到・・・。
当然に、事業仕分けの実行指揮者・右京乃助が、
皆に、恨まれはじめる・・・。
「必殺」得意の、現代的時事ネタが、冴える。

これがらみで、
田舎の子供の仕事依頼(!)を受けた、
経師屋の涼次が、
旅先から江戸へ、帰ってくる。
標的の役人・風間を尾行、見張るも、
謎の用心棒に、行く手を阻まれる。

<いろはかるた>を投げる技で、警告してくる、用心棒。
「い」なら「犬も歩けば棒に当たる」で、
「深入りするな」、という具合。
これ、ちょっと面白い。

やがて、侍狩りの犯人と、<不動明王>文句との関係を、
寺社奉行協力の下、表の仕事で調べていた、小五郎と、
風間右京乃助の尾行をしていた、涼次は、
とある古い寺で、合流。

標的たる、世間の嫌われ者・右京乃助が、
実は<旗本家の柿本平三郎>という、別の名で、
密かに、市民運動家的活動をしている事に、
仕事人一同は、気付く。

平三郎としての彼は、好青年。
古い荒れ寺に、食い詰めた人々を集め、
家宝の茶碗を売った金で、
定期的に、炊き出しの場を提供したり。
階層社会を超えた、理想の助け合い精神を、
そこの仲間達に広めようとまで、していたのだ・・・。

(あれ、結構いい事、してんじゃん・・・?の声)
(せめてもの、罪滅ぼし、なのだろうか?の声)
(この時代に、階層超党派は、ありえねえだろ~?の声も)

おりしも小五郎は、妻の懐妊!の報に、
喜ぶどころか、内心、戸惑っていた。
人殺しの自分なんかが、
人の親になって、いいのだろうか・・・?と。
(主水も「商売人」とか、
 よくこれで、悩んでたっけな・・・の声)

その本音の一部を、ちらりと、平三郎に語る、小五郎。
平三郎もまた、
「私のやった事も、あやまち、だったかも・・・」と、
いろいろ別な意味で、悩んでいた・・・。


が、しかし。
蜜月はいつまでも、続かない。

侍斬りの犯人判明、
町人女性の妊娠、
大奥の御年寄らの脅し・揺さぶりなど、
状況の急速な変化により、改革途上で、
大スキャンダル暴露の危機に追い詰められた、
右京乃助(=平四郎)は、
ついに、対応を180度、転回。

緊縮政策の一部転換、
上司の筆頭老中(「必殺」殺され役常連・津川雅彦)謀殺、
政敵(「仕舞人」他・本田博太郎)取り込みを、画策。
更には、証拠隠滅のため、
取り込んだ役人らに命じて、
せっかく作った、炊き出し場の世界を、
自らの手で、すべて、崩壊させてしまう・・・!
(うわ、ひでえ~っ!の声)

悪人も、善人とは紙一重、
実は人間、表裏一体なのでは?という、
いかにも「必殺」らしい、ハードな展開。

そして、江戸で涼次と再会していた、
セミレギュラー・如月が、
今回、頼み人になり、泣かせてくれる。

毎度おなじみのアジトで、
「理は、どっちにある?」「俺だよ!」などと、
例によって、シビアで皮肉なやりとりをしている、仕事人一同。

かつて、中村主水のいた席に、
仕事料を置いていく、涼次。
主水の分まで、仕事して、
「必殺仕事屋稼業」の名文句まで、披露。
(緒形拳の半兵衛も、にんまり・・・の声)

終盤、主水の出番こそ無いものの、
レギュラーメンバーの頑張りと、
ナレーター台詞使用、刀の使い方など、
小五郎の、主水リスペクト行動もあいまって、
敬意は十分に、払われている、と見た。

おかげ参りの列が、
江戸市中になだれこむ場面群が、痛快。
あれこそ、民衆本来のパワー!と。
何だか、踊りたくなっちまうね。一緒に。


うん、良かった。
見応えのある、必殺スペシャルであった。
(これ、続編、いけるよね?の声)


以上。
 


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  1. 2010/07/11(日) 13:03:24|
  2. 時代劇
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仕事人、映像法事する

主水日記。


7月10日・土曜。
例によって午前中は、仕事。


午後2時より、高田馬場・BABACHOP。

この日は、通称マシューさんこと、
故・立花修一監督の、一周忌上映会。

最新作「アネモネ」を完成せぬまま、
彼は唐突に、事故により、
天国へと、旅立ってしまったのだ・・・。

(付記:「アネモネ」は現在未完成のため、
予告篇のみが2回、上映された。)


ここの上映会の常連にして、
彼の友人・周兵衛氏が、司会。

故人の奥さんや、作品複数出演の星野佳世女史、
ドキュメンタリー作品に出演の、劇団メンバー、
BーDASH他の常連客・スタッフに加え、
多くの関係者が、彼を偲んで、既に集まっていた。

作品鑑賞中や、現場の思い出話などでは、
涙する者も・・・いた。
作品内容の一部が、彼の死生観らしきものに、リンクしていて、
なおかつ、遺影写真を前に、では、無理もない。

泣いている人に、どう声をかけてあげればいいのか、
と、戸惑う気持ちが、
観客の小生にも、やはり、ある・・・。
彼が周囲の人々に、好かれていたのは、間違いないのだ。


小生にとっては、まず、
軽いドタバタ・コメディ、「誘うっP」?の監督であり、
次に(野方で?)観たのが、風景撮影の綺麗な「紅葉」だったので、
両者のギャップに、不思議な感じがしたのだが。
周囲の自主映画関係者にとっては、叙情と風景画の要素がメインの、
「夏の終わり」シリーズ3部作の印象が、深かった模様。

せめて、上映される作品を観、
皆と献杯する事をもって、
氏への追悼に、代えたい。



以下、当日上映された、監督作品群。

(注:司会の説明によると、
 監督当人の意向により、封印された初期作品群が、ある模様。)


「Concert(コンチェルト)」:

監督当人が、実質的デビュー作、と位置づけていたという、
30分弱の、ファンタジー・ミニドラマ。

昼間の公園で一人、
自主映画をVHSビデオ撮影している、監督(演・太田文平)。
そのカメラのファインダー越しに、ありえないものが、映っている。

自主映画撮影の途中で、事故(車らしい)で急死したはずの、
出演女優(女子高生?)が、
今、動いて、こちらに話しかけている・・・?

マイクで音声が拾えるので、ようやく、
その場に彼女の幽霊が、笑っているのを、納得した監督。

彼女は後一週間で、成仏して、消えてしまうという。
自分の映画が未完成なのが、この世での心残りなのだ・・・。
そこで、共演者の男性を呼び出して、彼女と<共演>させ、
映画シーンの残りをすべて、演出・撮影することになって、というお話。

カメラ前でおかしな顔をして、
ほらほら、いるよ~!とふざけてる、幽霊女優。
幽霊にもマイク越しで、ダメ出ししている監督。
ちょっと、笑える。

しかしながら、その後の現実経過を考えるに、
今やこれは、泣けてくる内容なのだった・・・。
 

「紅葉」(再見):約30分。DV。

上映前の説明によると、
音楽家・神宮寺司氏との、実質的共同制作作品。

監督好みの、<姉妹の絆>もの。
回想シーンに白い枠を付けて、過去と現在を交互に見せるので、
なんだか、昔の松竹文芸映画風にも見える。

妹役女優の、可愛らしさと、いじらしい演技が光る。
隣の青年を入れて3人で、ラブコメ的回想譚?と思いきや、
姉の恋人出現と、男の子の死により、
たちまち、何か抑えていたものが、表面に出始めて・・・
ああ、そうなるか~、と。

とにかく、女優を伴っての紅葉ロケが、綺麗に取れている 。
マシュー作品の多くは、映画イメージの作り方においては、
叙情入りの風景写真家、というか、
心のきれいな、キューブリック?みたいな印象が、あるのだ。



「ドロー・ザ・カーテン」:

劇団<インプロモーティブ>の公演準備状況を記録した、
20分位の、DVドキュメンタリー。

実は今回、この作品が、特に面白かった・・・。
背景と人物とをイメージ的に、きっちりかっちり合わせた劇映画とは、
また、まったく違った、映画の魅力。

俳優・女優達や女性演出家の、いきいきと弾む、
動きと表情の魅力を、垣間見せてくれた。
舞台衣裳も含めて、観ていてじつに、楽しい。

こういうのも、撮っていたんだね・・・。
この線の映画作品も、もう少し、やってほしかった気がする。


そして、彼の路線ではメインの、三部作。

「夏の終わり ~幻影~ 」(再見)

二人の大人女性が、幻影のように、
山地の川を、歩く。
それを見た、小さな男の子が、
驚いて、逃げる・・・
というだけの、DVなのだが。

何か、冷やした水のような、
ひんやりと、涼やかなものを、感じる。


「夏の終わり2 ~初恋~ 」(再見・既述)

形のいい山、田園や花畑、そこに姉妹を置く。
のどかな、夏の夕暮れの風景。
とにかくそれが、撮りたかったんだろうな・・・と。


「夏の終わり3 ~星の約束~」(事実上の遺作)

3作目は、監督に依頼されて書かれた、
河野亜紀女史の脚本を、映画化。
監督の好きな要素を、脚本で可能な限り入れた、という。
黒磯ロケ入り。

森林風景と別荘、星空の下、
元は3姉妹だった、妹2人が、
子供のころ病死した、姉の思い出を、語り合う。
妹の一人は、映画監督になっていて、
海外へ出掛ける前らしい。

姉が語っていた、流れ星を、
今、観に来ていた2人は・・・という、
ささやかな、お話。

バイオリンの、お姫様めざまし?シーンが、ちょっと愉快。
小生の職業上の事もあり、難病ものは、苦手なほうなのだが、
終盤が、心にくいまでの・・・ファンタジー。
泣かせてくれるじゃないか。

まさか、これが遺作になるなんて。


上映終了後、恒例の打ち上げで、
一同、献杯を行なう。


ここで、ある疑問が起こる。
議論のテーマ、というべきか?

素材がほぼ9割方、撮影済みであり、
予告編までは、出来たものの、
まだ編集が残っている、「アネモネ」本編を、
関係者一同は、なんとか、完成させたい意向。

その場合、編集をした人との、共同監督名義で、
完成作品、ということに、なるのだろうか?

あるいは、エイゼンシュタインの<遺作>のように、
撮影エピソード・記録等を、追加してつなげて、
<未完作品>として、お披露目するのだろうか?


撮影・編集中の映画の、全体像については、
毎回、終盤ぎりぎりまで、周囲にも秘密主義だったらしい、
マシュー監督自身の、最終的意向は、
最早、完全にはわからない、だろう。

できるだけ、近いであろう形に・・・
というのは、あり、だと思うのだが。

映画本来の脚本や、
結末の付け方や、まとめ方のプラン等、
細部についての、
自筆文章か、記事でも、残っていればいいのだが。

それと、追加撮影は、必要かどうか?
というのも、あるだろうし・・・。


う~む、これ以上は、わからん。
考え込んでいると、
だんだん、頭が、こんがらがってきてしまうので。

ここから先は、制作サイドの領分、
彼等の判断に、任せたい。


とにかく、予告編を観た以上は、
どのような形であれ、
ひとまず一つの作品として、<完成>された映画作品を、
ちゃんと、観たいものだ・・・と。


と、若干の議論の後、帰宅す。
酔いが早く回り、
ぐっすり、眠る・・・。

明日は、もう一人の、
小生にとっては大きな人物の、
追悼を、せねばならないのだ・・・。



以上。 [仕事人、映像法事する]の続きを読む
  1. 2010/07/11(日) 12:58:35|
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