壱の、日記。
5月8日・9日。
例によって土曜の午前のみ、仕事。
この土日は、実質、GWの終盤。
天気が良かったので、
日中は、眠い・・・。
銀座・新宿・阿佐ヶ谷等を、散策す。
渋谷・ユーロスペースには、
土・日の二回、行った。
理由は・・・
吉田浩太監督「ユリコのアロマ」(レイトショー)
石井裕也監督「川の底からこんにちは」(昼間公開中)
の2本を、観るため。
しかし、既に「川の底から・・・」は、連日、大混雑しており、
直前時間だともう、ロビーはごった返していて、
席取りが、難しそうな状況、とみたので、
土曜は、レイトショー初日の、
「ユリコのアロマ」のみを観た。
主人公は、アロマセラピー店員の女性と、
店長(美保純)の親戚の、男子高校生。
匂いに敏感な女性店員、なぜか、
剣道部員である高校生青年の、汗の匂いに、はまってしまう。
その一方、彼女は、お客の女性に頼まれて、
アロマのやり方を、指導し始めた。
一方、高校生クンは、
学園のアイドルたる、女子高生に関心がある。
が、剣道部の仲間が、彼女にアタック、デートを始めて、
少々、くさっていた。
このあたりの演技は、かなりリアルで、生っぽい。
女性店員は、この高校生を、
匂い嗅ぎが目的で、密かにマーク、後をつけ始める。
やがて高校生は、<性的>目的で、
自分からも彼女に、接近・・・。
こうして、あやしくも奇妙な、
にわかカップル?の<密会>が、始まる。
だが、例の女子高生の心変わりから、
2人の剣道部員と、セラピー女性との関係性が、
おかしな方向に、こじれてゆく・・・。
一方、そんな事などつゆ知らぬ、常連客女性は、
次第に、色っぽいレズっ気?を、垣間見せてゆく・・・。
前半、男女間のギャップで、ドタバタ。
爆笑シーン、連発。
主役女優を、一見無機質・無感動っぽい印象の、
人物にしたのが、成功している。
しかしながら、後半は気まじめ、
周囲からの嫌悪・迫害の中、
2人の、切羽詰まったような、<交流>の在り様が描かれるため、
アロマの癒し効果も、どこへやらで、
観ていて気分が、落ち込んでしまうのだった・・・。
演出の効果は確かなだけに、
勿体ない気も、する。
上映終了後、プレス向け撮影を兼ねた、舞台挨拶あり。
陽気そうな女性が、司会に。
が、しかし・・・。
主演女優が、居ないっ!
吉田監督と、青年と、アロマ女性客と、女子高生役が、
登壇して、挨拶と、トークをしていた。
当日は、渋谷の劇場で公演中、
そちらでの進行が、押し気味なので、
こちらの挨拶に、出られなくなった、という。
やむなく、メッセージが読み上げられた。
こういう事は、生のイベントだと、たまにあるものだが、
それならば、会場前で先に、言ってほしいもの、なり。
どんな人か、見たかったのに・・・と。
惜しい。
なお、チラシにも出ていたのだが、
監督は、冬場の若年性脳梗塞から、
復帰しての、公開・挨拶とか。
観たところ、質疑応答は、普通にこなしていたので、
ひとまず、安堵す。
さて、「川の底からこんにちは」は、
日曜午後に、あらためて出直し。
約一時間前に行って、手続きをして、待った。
予告編の段階で、
これは面白そう、いける!という感触が、あったのだ。
(だって、あの合唱だよ・・・!の声)
なお、このロビーの自販機には、奇妙にも、
ウリみたいな、緑色のスイカ?が、乗っていた。
どうやら、「川の底」劇中で、映っているものらしい・・・。
で、本編。
帰郷・青春・奮闘系映画に、よくある筋立てながら、
その展開は、全体にのほほんとした雰囲気に、描かれている。
各シーンが、随所で、
いちいち分解され、珍妙なシーンとして、再建・再生されている。
いってみればこれは、画面と音声で見せる、落語なのだ。
主人公たるヒロイン(満島ひかり)が、
当初、周囲のOL達が何を訊いても、
「でも、しかたないですから・・・」を、
ぼそっと無感動気味に、連発する。
(「新しいお母さん」も、
途中から、連発するねえ・・・の声)
そのヒロインが、帰郷・再就職後、
地元住民たちとの、いざこざを通じて、
「しかたないけど、がんばるぞ~!」に、
変化してゆくまでの過程が、本筋。
時々、ぼそぼそっと、話し相手への反発を示し、
時にはおどおどと、たじろいでいる、
ヒロインの、状況反応の様子が、
その都度、おもしろい。
一気に心情をぶちまけて、目の色を変えるシーンは、
感動的、なり。
にわか旦那、連れ子少女、
しじみ工場の、噂好きな、
いそうな感じだな~、の主婦労働者達、
病に倒れた父親、役場の叔父らとの、
人間関係修復・回復が、ドラマの横糸になっている。
そこへ、いささかの下品さを伴った、
ユーモアが、まぶされてゆく。
「ユリコのアロマ」に出ていた高校生達の、
生々しかった演技と比べて、
「川の底からこんにちは」の、登場人物達の台詞回しは、
きわめて、舞台演劇のそれに近い。
いわゆる喜劇・コントとしての、
可笑しさを心がけた、演出なのだろう。
とにかく、端から端まで、おもしろい。
ヒロインが、相手へのリアクションに困る、
妙な状況下での<間>が、笑いを、倍加させている。
ワンシーン・ワンカットの、連なりが多い撮影・編集は、
最早PFF出身組の、一つのお家芸?と化しているが、
下手を撃てば、間延びしてダレてきそうな所を、
いちいち、ユーモアをまじえて、面白くしているのが、いい。
漁師と大柄女子とのやりとりなど、
横道にそれてないか?と暫時、はらはらしたが、
ちゃんとオチをつけているのは、正解。
父親とのやりとり、
にわか旦那の逃亡?シーンなどでは、
その長まわし工法が、<男の泣ける>シーンとして、
良き作用を、醸し出してしている。
そうした、表現と展開の果てに、
終盤では、悲喜劇双方のブレンドが、
のんきな風景の中のおいて、大いに、盛り上げてくれる・・・。
あれは最早、シーン自体の儀式的意味すら越えて、
感銘を、もたらす。
結論、明快。
観るべし。
イイ気分に、なれるから。
以上。
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- 2010/05/09(日) 23:16:45|
- 劇場用映画
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