三味線屋の、日記。
20日・土曜、続き。
渋谷・ユーロスペース、夜21時より、
<桃まつりpresents うそ その弐>。
今宵も三本の矢が、飛ぶ。
「きみをよんでるよ」「FALLING」「愚か者は誰だ」。
こじれた人間関係の泥沼に、ずぶずぶと、はまりゆく者達・・・
という、ひねた印象の三本立て。
朝倉加葉子監督「きみをよんでるよ」
・・・は、日常生活から、ちょっとエスケープ願望な、お話。
とある山林道路沿いの、別荘地。
軽井沢あたりらしい。
いきなり、自家用車内で、
中年男性に指をなめなめ、の女の子が、登場。
この段階で、普通の親子とかじゃないな、とすぐわかる・・・。
男性の携帯を、足で払いのける、少女。
いかにも、訳あり風。
障害で言葉の話せない青年が、留守別荘の管理人をしていると、
別荘の前で、この中年男性と娘のコンビが、言い争いを始めた。
どうやら、車のキーを失くして、走れなくなったらしい。
周囲に宿屋もなく、宿泊を頼む二人に、
見捨ててもおけず、
持ち主にばれないように、との条件で、渋々、承諾した青年。
やがて、しばらくの逗留を決めた2人だが。
青年に、好感をもったらしい少女は、ある夜、
実は、親子ではなくて・・・と、自ら明かし始める。
あの人は、わたしがいなければ駄目なの、と・・・。
(いよっ、殺し文句だねえ・・・の声)
その後、青年は、
少女の落とした手帳を拾って、ついつい、読んでしまう。
そこには彼女の、現実も妄想も合わさった、
ある<夢>が、日記として、書きこまれていた・・・。
なんて、いじらしくて、切ないんだ・・・。
こいつも日常で相当、孤独だったんだろうな・・・。
ここが、この映画の肝、なり。
ラスト、かの男性により、ある決断が下されるのだが、
それも、彼らにとっては、
現実と夢のはざま、人生旅の途中の、
ある一日の出来事に、すぎないのだろう。
その後、彼らは、どこでどうしているのだろうか?
加藤麻矢監督「FALLING」
・・・は、性格的に最悪の組み合わせになった、
3人の派遣OLの、いさかいドラマ。
とんでもない演技派の3人が、揃ってしまった。
(「悪霊島」、ヌエの啼く夜は恐ろしい・・・の声)
その中の一人が、悪夢にさいなまれ、
惚れた女!の、わがままで無責任なアバウトさにも、さいなまれ、
彼女のカツアゲ遊びに、つきあわされたあげくに、
死んでしまい、
何と、吸血鬼に変貌してしまう・・・。
血を吐き、夜の歩道橋から落ち、ふわっと着地。
彼女の言動が一変する、転換の節目にふさわしい、ファンタジックな表現。
性悪OLの部屋に、吸血鬼映画らしく?
ピアノが出てくるのは、ご愛敬。
あまり気持ちのよくない、ヒステリックで血生臭い、
狭い室内での言い争い、乱闘が多い中、
手近な物で無理やり、十字架を作るなど、爆笑シーンも。
冷蔵庫にニンニクがありゃ、なおいいんだが。
でも全体的には、やっぱり、コワい・・・。
しかし、今どきの吸血鬼は、
昼間でも外を歩ける位には、耐性が進化しているようだ。
<シネマ愚連隊>の、某傑作短編のように、
UVケアも、してるんだろうか。
その辺に、岸田森を探したくなる、
開き直った?怪奇作。
渡辺裕子監督「愚か者は誰だ」
・・・は、フランス恋愛映画みたいな感じの、ドタバタ・コメディー。
男優陣の掛け合いは、もう、最高にすばらしい。
よくぞ、このメンバーを集めて、これだけやらせた!
という、まさに表彰もの。
アラン・ドロン!ジャン・ピエール・レオ!
と、掛け声をかけたくなる。
が、しかし・・・女優が・・・。
この人で、いいのか?と。
マイペースで、後先を考えない、そのくせ嫌味がなくて、
というキャラは、ちゃんと演じてるのだが。
外見の印象が、ね・・・。
見えないんだよ、そこまで男達を魅了しまくる、
当のきっかけを生むような、可愛い、無邪気な女性には。
だから、男性達のやりとり、いさかいを観ている分には、入れ込めるんだけど、
女優が出てくるシーンでは、観ていて、だれるんだよな~。
見かけが、好みのタイプじゃ、ないせいかなあ。やっぱり。
頑張っているのは、わかるんだけど。
う~ん、何だか実に、勿体ないぞ。
70年代の大原麗子とか、秋吉久美子みたいな女優を、呼べ~!と。
なかなか、いないだろうけどね。新人には。
この夜は、舞台挨拶は、無し。
以上。
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- 2010/03/21(日) 21:30:11|
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政の、日記。
ちょっと戻って、20日、土曜。
昼間、再び京橋、フィルムセンター。
篠田正浩監督特集、最終日。
「乾いた花」。(注1)
1964年・松竹大船。
池部良・加賀まり子・杉浦直樹・他出演、モノクロ。
お勤め終えて出所した、池部の渋い中年やくざが、
賭場で派手に遊び、刺激を求める、謎の女・加賀に出会い、
意気投合、つかの間の交際をする、ロマンス。
そこに新興組織の、勢力進出がからむ。(注2)
教会や、洋風バーのシーンに、ジャズやクラシック調の音楽が重なり、
日本のやくざ映画にしては、フランスあたりの洋画の様な、現代的な雰囲気。
その分、後に池部が多数出演する、仇打ち侠客物と比べると、
カタルシスに、乏しい面もある・・・。
ああいう路線の映画をあらかじめ、裏返してみせたような印象も。
かつてのライバル同士だが、手打ちをして、
ギャンブルや洋食を共にし、世間話をする、
宮口精二(注3)と東野英治郎(注4)のシーンでは、
場内にいっぱいの高年齢層男性達から、どっと笑いが起きていた。
古風な親分達が、そういうのをやるギャップが、ウケていたらしい。
若き佐々木功(注5)が、
仇打ち野郎から、あっさり転換、
元・仇を「兄貴!」と慕い、調子良く交流し始める変節ぶりが、
いかにも現代的で、可笑しい。
加賀の正体は、終始あいまいなまま。
本業の暗殺で、しっかりとキメた主人公が、
スパッ、と置いていかれるようなラストが、クール。
「処刑の島」。
1966年、大映映画として公開。
岩下志麻・新田昌・佐藤慶・小松方正・三国連太郎・他出演、カラー。
いきなり、人が断崖から荒海へ、落ちる。
ある島の沖に、かつて流人島だった小島が。
そこへ20年ぶりに、訪ねてきた、
ミシンのセールスマンらしき青年(新田)。
地元の小学校教師や、土建業の社長らは、
次第に、彼の正体に気付け始め、慌てる。
実は彼はかつて、対岸の感化院におり、
罰則で渡らされた小島で、
三国の酪農場主に、牛馬同然にこき使われたあげくに、
長年、死亡者扱いにされていた、過去があった。
彼は今、あの頃の真相を確かめ、決着をつけるために、
再び、現れたのだった・・・。
この旧軍人調の農場主が、とんでもない、横暴な奴で。
小島では、誰も、逆らえないのだった・・・。
「釣りバカ日誌」シリーズや、皇潤CMの三国しか知らない人には、ショックかも・・・?
でも本来、こういう、独自演技派なんだよね、三国連太郎って。
こんな暴君親父でも、ひたすらかばう娘(岩下)が、不憫だ・・・。
難を言えば、
構成上、過去の重大事件が二つ、ってのが、ちょっと無理があったかも。
なら、何で二度目のとき、早めにそいつと、気付かなかったんだ?という。
しかし、離島ロケは迫力だ。旅情を誘うぜ。
篠田監督、すでに「スパイ・ゾルゲ」(注6)で、引退を表明しているが。
この日の観客の間でも、「再登板ないの~?」と、結構、期待されていた。
だからまだもう一発、何かやってくれそうな?予感も・・・などと。
終了後は、渋谷・ユーロスペースへ。
<桃まつりpresents うそ その弐>。
つづく。
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- 2010/03/21(日) 21:28:52|
- 劇場用映画
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左門の、日記。
3月21日、日曜朝。
最近は、毎年の事ながら、
花粉症に、悩まされている・・・。
先週半ばより、ついに、どっ、ときた。
風吹く日は、特に、マスクが欠かせない。
昨夜も、ユーロスぺ-スから帰宅途中より、北東の風が、吹きまくる。
(その話は、後刻の予定・・・なり)
真夜中より、関東でも、暴風波浪警報が続いている。
JR京葉線や内房線、地下鉄東西線(一応地下鉄だが、地上部分が長い)も、
朝から軒並み、ストップ状態に。
本日は季節恒例の、春のお彼岸に行くので、
映画イベント行きは、お休みになったのだが、
交通は、大丈夫かな・・・?と。
とりあえず、以上。
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- 2010/03/21(日) 09:17:13|
- 日記
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