はぐれ仕事人・弐の、日記。
3月6日、土曜。
ロケの話は、諸般の事情により?消えたので・・・
午前中からの仕事も、早めに終わっていたため、
午後の時間が、ぽっかり、空いてしまった。
で・・・思いきって行く先を、大幅変更。
まずは、久方ぶりの、三軒茶屋中映。
「美代子阿佐ヶ谷気分」「銀色の雨」2本立て、1300円。
こういう、バタバタな状況下だが、
ゆっくり観る時間を取れるのは、ありがたい。
さて、手頃なのはいいが、よく考えたら、
この2本立て、ムチャである。
だって「美代子・・・」は、R-15指定。
一方「銀色の雨」は、男子高校生向きの話。
じゃ未成年のお客は、どうすりゃいいんだ・・・?!と。
「キッズ・リターン」のお客みたいな事、するんか~?
などと、お馬鹿な状況を、想像してしまうのだった。
「美代子阿佐ヶ谷気分」は、
70年代の上京漫画家生活、そのままの世界。
劇画漫画の世界を、コマ・写真カット式に区切っての、場面再現から始まって、
シュール・リアリズム表現法等の話を挟み込みつつ、
70年代初期の東京、漫画家や詩人、女性モデル達らの、
うじゃじゃけた日常下宿生活を、活写。
アーチストがたむろして、交差する、
あの時代の、あの奇妙な雰囲気・・・。
真剣なような、けだるいような、
何かにへばり付きながら、面白がりながら、
どこか、のどかなような・・・。
河原で爆弾花火?を打ち上げる男が、
独特の濃いキャラで、目立つ。
全体に、まるで、陰干ししている油絵の様な、
画面と美術の、濃い質感が、味わい深い。
劇画のコマ世界描写を、そのままに再現し、
額縁を徐々に外してゆく、という感じに、見えた。
あとの魅力はひたすら、
漫画家役・水橋研二の、凝り症な執筆根性、
女房役・町田マリーの、反発しつつも、ひたむきな頑張りぶり、
切っても切れない縁の、長さと深さに、尽きる。
よく、あそこまで、続くよなあ・・・と。
実在の人物達をモデルにした、あくまでもフィクション、という事で。
これのすぐ後に、「銀色の雨」を観ると、
青臭く、あっさり、すっきり、さっぱりとした、
誠実すぎる程の、典型的青春逃亡談。
境港近辺らしき、地方の男子高校生が、一応の主人公。
朝は新聞配達、昼間は高校部活で、マラソンランナー。
越境通学している、女子高生に、ちょっと気にかけられている様子。
地元の模範青年として、接する周囲の気遣いが、
次第に、わずらわしくなってきていた彼は、
ある日、バイト先の新聞店で、同僚とケンカをしてしまい、
実家の母を置いて、初めての家出を決行。
だが、東京に向かうはずが、途中の米子で、足止めに。
かつて家にいた、血のつながらない<お姉ちゃん>と、ばったり再会、
行き掛かり上、彼女のマンションに滞在することに。
このお姉ちゃんが、結構ユーモラスで。
いかにも自立生活してます、オープンです、という風にふるまうのだが、
ふと、自らの寂しさに震える所など、ありそうな感じもする。
そこに途中から、運命的にからんでくる、
中村獅堂の、元チャンピオンボクサー。
これが、抜群の存在感で、
以後は、有無を言わさず?実質的主役となり、
見せ場を、すっかり、さらってゆく・・・。
映画全体は、のほほんと、ロケ風景が連なる感じで、
ドラマが、ゆるゆると進行するので、
「君は裸足の神を見たか」の終盤や、「ゴンドラ」の前半などに比べると、
画面表現自体には、勢いも新味も、やや乏しく、
エネルギーが、あまり感じられないのが、欠点なのだが。
誠実で前向きな、青春小説的仕上がりには、まずまず、なっているといえる。
それと、ランナー君らが、さぼりの言い訳に、
「開校記念日・・・」を連発するのは、
もはや伝統芸で、苦笑するのだった・・・。
夜のレイトショーは、何度目だ?の、銀座シネパトス。
愛染恭子・ヌード引退記念特集。
(注:あくまでも、脱ぎをやめる、という事であり、
監督や女優の仕事は、継続の意向・・・だそうですヨ)
今宵のプログラムは、「白日夢」(1981年、富士映画)。
この映画のために、芸名を今のものに改名した、記念碑的ヒット作である。
いわゆる、<本番>エロスショー大作。
いやはや、いかにもバブル時代前夜らしく、
成り金遊戯風で、金屏風ぎらぎら 。
かつ、全篇むちゃくちゃな、映画だった・・・。
劇中では、佐藤慶が、歯医者に扮して、
不気味な出没・奇行・変態的プレイを繰り返し、
とにかくヒロインを、ひたすら追いまわし、いたぶり、おびやかす。
こいつは、岸田森の吸血鬼か?という位に、しつこいのだ・・・。
主役の愛染恭子も、負けじと、体を張っている。
日本でのみ通じる?局部と顔が二重写しの、
性交シーン描写も、すごいが。
ずっと素っ裸のまま、ホテル内を逃げ回ったり、
車を転がしたり、
洗車機で、水をぶっかけられたり、
デパートでエスカレーターを、逆に上ろうとしたり、
もう、ムチャばかり、やらされ、
豊満なる肢体ごと、いたぶられてる。
よく、まあ、そこまで、女優根性を・・・と。
そして脇役のバイト青年は、ただ見せられつづけて、
「何をするんだ~!」「やめろ~!」「やめてくれ~!」「XXXさ~ん!」
などと、やたら叫ぶばかりで・・・。
彼の台詞部分になると、
どうしてこうも、もたれてくるんだろう?などと。
しかしまあ、一体どこからどこまでが、夢か、うつつか?という、
いかにも、投げ出したような終わらせ方には、苦笑させられた。
こうして、こちらは一晩で、
お腹一杯に、なるのだった・・・。
以上。
スポンサーサイト
- 2010/03/07(日) 10:31:37|
- 劇場用映画
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0