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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

外伝ゼヨン・拾五「もっと激しく、動くぜよ!」

いしまつの、日記。



池袋・シネマロサ、レイトショー初日。
「まだ楽園」(未見?)・佐向大監督のDV映画新作、
「ランニング・オン・エンプティ」、公開。

「パレード」「人間失格」等、
新作映画の初日が、重なった日とはいえ、
「SPサイタマノラッパー」(未見・・・)の女優・みひろが出演、
有名中堅俳優2名が出演、というだけでは、
興行的にはまだまだ、厳しそうな様子なり。

少し前から、入り口の階段付近で待っていたら、
ロン毛とジーンズの似合いそうな、若手関係者の来場が多い。
まあ、そこそこの入りだろうか。
かつてのBOX東中野あたりでも、よく見受けられた光景。
ここから、新しい映画と観客の、出会いと展開が、始まるのだ・・・。


さて、昼間の新文芸坐とは、まるで正反対の映画世界が、
観客のわれわれを、待っていた・・・。

典型的工業地帯の、下宿に同居している、男女。
主人公青年と、ヒロインが、
とにかく、あきれるほどに、
けだるそうで、だらしなくて、みっともない感じで。
かつ、実にいい加減な行動原理のみで、各自動いており、
まるで、共感出来ない連中ばかりなのだ・・・。

ごく少数の友人世界から、一歩も出ない、きわめて狭い世界の中で、
どうしようもない、勘違い・すれ違いの悲喜劇が、展開するのみ。
その悲喜劇ぶりは、展開の妙もあって、
とりあえずはちゃんと、笑うべきところで、笑えるのだ。
 
が、しかし・・・
こいつらのいい加減さ、ものぐさ加減には、
とにかく、ほとほと、あきれる。

周囲の男性達を、色仕掛けで動かす術には、たけているくせに、
思いつきで始めた、自己都合の狂言誘拐作戦を、
行き当たりばったりな指揮・進行しかできない、
ヒステリックな、ダメ・ヒロイン。

一方、ものぐさで怠け者で、でたらめ放題な、ダメ青年、
誘拐の知らせが来ても、さっぱり、積極的行動を見せようとしない・・・。
やっと動き出したかと思いきや、
無断で抜けた元バイト先の、店長のところで、
せこい旧悪が、ばれているし・・・と、苦笑もの。

ヒロインにたぶらかされて動き始めた、周囲の男性どもも、
金策を始める、バンド仲間達も、
まったくのずぼらで、あてずっぽう、
行き当たりばったりの状況対応に終始する。

やがて、主役ペアのとんでもない真実が、徐々に明らかになり、
どうしようもない気分は、一段と増す・・・。

ここまで、いいかげん極まりない、人間関係の有り様は、
ひたすらにけだるく、かったるく、
かつ、救いがたい・・・。

どうせやるなら、どいつもこいつも、
もうちょっとましに、準備・対応しろよ!
などと、文句の一つも、言ってやりたくもなろうもの。

映画表現がダメなのではない、むしろ、
登場人物たちの、へこんだダメダメさ加減が、
空気感覚として、とてもよく描けている事、それ自体が、
観ているこちらにも、けだるさ、かったるさを、誘発させているのだ・・・。

やっと主人公の、勢いよく走る姿を、観れたその後でさえも。  
あれは、あまりにも、遅すぎる。動くのが。
ごく一部の、溌剌とするシーンを除くと、
映画全体の、動的エネルギーのなさは、相当なものだ。

<なまけ怪獣ヤメタランス>(注)が、浮かんできそうな程。
まったく、観ているこちらまで、
だんだん呆れかえり、投げやりになってくる。
もう、お前らだけで、勝手にぐるぐる、やってろ~!と。
つきあいきれねえぞ~!と。

だから、ラスト近くで、銃声が響いたときには、
妙な事だが、ほっとさせられたような、変な気持ちになった。
ああ、やっとここの、けだる~い日常循環世界から、
心が解放されるんだね・・・?などと。
我ながら、情けないことだが。

そんな、怠惰と混迷に染められきった世界の中で、
わがままヒロインにパシられ、しぶしぶ作戦を手伝いつつ、
適当に世渡り?して、その場をしのぐ、
中継ぎ役の小柄青年の、調子良さ。

それと、
実家のコワ面親父と主人公の、
猛烈ドタバタな、からみ。

ここらの、部分的シーンだけが、
溌剌として、心から面白く、
魅力的に、光っていたのだった・・・。



以上。

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  1. 2010/02/21(日) 10:11:27|
  2. 劇場用映画
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外伝ゼヨン・拾四「今昔、大河物語ぜよ!」

続・八丁堀の日記。


2月20日、土曜、午後。

池袋・新文芸坐。
森繁久弥・追悼特集、最終日。
やはりというか、白髪交じりのおっちゃん、お父さん達が、
客席とロビーを、うずめていた。

今日は、「吉田学校」「海峡」と、
80年代東宝系大作映画、2本立て。
(「日本沈没」の、森谷監督特集だなあ・・・の声)

この2本に対しては、昭和クロマニヨン原人としては、
若干の懐旧を含めた、少なからぬ感銘を受けたのだが。
同時に・・・スターシステム的大作表現ゆえの、
ある限界点をも、感じ取らざるを得なかった・・・。


「吉田学校」では、
伝説の外交政治家・吉田首相になりきって、
堂々と演じている、森繁久弥の見事なる貫禄ぶりに、まず感心させられた。

大物ライバル・フィクサー役・若山富三郎との、
数頼み、権謀術数な内部抗争、裏技対決の数々、
不謹慎だが、バトルゲ-ムを観るような、
黒いユーモア?含みの<面白さ>があることは、
くやしいが、認めざるを得ないのだ・・・。

藤岡琢也の、期を見る変わり身の調子良さなど、爆笑ものである。
客席のおっちゃん達は、よく笑い、
「ああいう、もんなんだよなあ~」などと、上映後も評し合っていた。


そして「海峡」は、
おそろしく長期にわたる、海底トンネル貫通工事の大河物語を、描いている大作。
風景撮影の迫力、
トンネル大工事・大湧水・崩落シーン等の、有無を言わせぬド迫力、
父親的存在の現場監督になりきった森繁の、演技の素晴らしさなどには、
大作路線ならではの重量感に圧倒され、
文字通り、呑みこまれた。
総力結集、底力、と呼ぶにふさわしい仕上がりだろう。


だが・・・それらメイン・ドラマ以外の、途中のシーンになると、
両作品とも、
有名スター達に、見せ場を与えるためのムーディー芝居、という印象が、
感銘を、やや上回ってしまい、
一部のシーンでは、空々しくすら映ってしまう気がするのが、
何とも、惜しいのだった・・・。


まず「吉田学校」についていえば、
われわれがTVのVTRで、何度となく目にしている、超有名政治家を、
スタイルのよい、あまりにもかっこよすぎる(!)西郷輝彦が、
気持ち良さそうに?かっこよく演じている様は、かなり面白い光景なのだが、
これが映画で無く、舞台劇だったならば、
それほどの違和感を、感じなかった事だろう。

他の出演者たちもほぼ、同様の印象を、観客に与え続けている。
スタイルの良い俳優揃いの、オールスターキャストである贅沢さが、
なまじ、TV映像に映る人々の、なまなましい記憶があるがゆえに、
これは、モデル的に美化してあります、という印象を、
かえって、強めてしまっている点は、否めないのだ・・・。

大人物や俳優の、スター・イメージというべきもの自体が、
80年代には既に、
TV報道の<印象リアル感>(事実検証の意味とは、別の・・・)によって、
かなり、おびやかされてきていた、
これはその、象徴的光景ともいえよう。

そのような「すごいんだが、困った・・・」な印象は、
「海峡」のほうにも、残念ながら多々、見受けられる。

トンネル工事にかかわる人々の、リアルな苦労話はすさまじく、
間違いなく、見る者を圧倒する。

その一方で、いかにもフィクション・ドラマ風な、シーン展開が存在する。

主演俳優を高倉健にしたのは、決して間違ってはいない。
邦画スターとしてのの、男らしいスターイメージに即したとおぼしき、
いかにも劇的?な、吉永小百合や三浦友和の出現エピソード、
男女2人の情感シーン表現、
大谷直子の女房との、すれちがったやりとり、などなど。

だが、本来、工事苦労人達への感情移入を、
強化すべきはずの、これらのシーンが、
逆に、どこかよそよそしく、
時として、素直な感情移入を、拒んでいるようにも、
見えてしまうのは、なぜだろう・・・?

つまるところ、作る側にすれば万全なはずの、
スター・イメージ強化策の印象が、
かえって、本筋ドラマ自体への感銘を、薄めている、
そんな空気を、こちらではいつのまにか、
そこかしこに、感じとってしまっていたのでは、ないだろうか?と。

また、現代的(というより80年代的)東京の光景が入り込む、
「海峡」の終盤などは、
そういった種類の空疎さの、象徴的光景となっており、
そこまで作ってきた、和風社会的情感世界は何だったんだ?
という印象を、与えられてしまう・・・。
(せめて空港の所までで、止めるべきだったんだ・・・!の声も)


フルコースの満腹感に、たっぷりと浸りながらも、
まだ、満足はしきれていない、
青年老い易く、スター成り難き・・・という、
いささか複雑な気持ちを、抱えたまま、
次の場所へと移動するべく、劇場を、後にしたのだった。

そちらでの話は、次号。



以上。
  1. 2010/02/21(日) 09:39:06|
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