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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

外伝ゼヨン・六「飛び出せ、祭りはこれからぜよ!」

錠の、日記。


1月30日、土曜、午後。
新宿と渋谷で、あいついで、公開中の劇映画を、観る。

まず、角川シネマ新宿へ。
毎年、都内のどこかでやっている定番企画、
<大雷蔵祭>のおかげで、連日、満員御礼、
追加上映が出るほどの、盛況。


お目当ては、隣の・・・
「板尾創路の脱獄王」。

タイトル通り、主演俳優自らの、監督作品。94分。
関西系コメディアン・中堅タレント、大挙出演。

で、結論から言うと、
無邪気な接続法則実験は、ユニークなんだが、
全体にどうも締まりがない?「しんぼる」や、
エピソードはすごく面白いが、
テンポと表現がおとなしすぎた、「ニセ札」と比較すると、
引き締まっていて、まあ、一段いい出来、なのではないか。

(あの2本も、ユーモラスで、
 惜しい、捨てがたいものは、あるんだが・・・の声)

昔の刑務所ものにふさわしい、シンプルさと、
適度プラスアルファの、汚さ作りの凝り方、シュールさ加減が、
良い按配に、雰囲気熟成に作用している。
「ごっつええ感じ」出身組の名は、伊達じゃない。
しれっとした、ポーカーフェイスの効果も、よく心得ている。
ちょっと、バスター・キートンみたいな。

きちん、きちんと、丁寧に組み上げられていて、
ゆっくり、ゆっくりな展開ながら、緊張感を引っ張る、
やや大がかりな仕掛け物、とでもいうべきか。
脱走サスペンスを、長篇デビュー作にもってくるあたり、なかなかに賢い。
これができれば、大抵の冒険ドラマは、
おそらくちゃんと、やれるはずだから。

痛い!シーンは、本当に痛そうだし。
汚さがきもい、断片シーンも、ちらほら・・・。
ダレそうな場で、しんみり懐古調になるなど、心得すぎ。
この時代にないはずの、曲まで出すなど、
遊び心をのぞかせる。

痛快さも、脱力感も、同時に襲来・・・。
もう、ボディーブロー、でんがな。


と、これ以上は、何にも知らずに、
いきなり観る位が、一番いいだろう。
ラストが傑作ですぜ、旦那方。



夜は、渋谷。
ユーロスペースにて、「おやすみアンモナイト」初日公開。
増田俊樹監督、新作。100分。

映画公開にあたり、
「60年代的?とも言われる」という、
作品への、思いのたけを語る、
作家役男性?らしき方が、特に、鼻息も荒く。
一同ずらり、華のある、明るい舞台挨拶の後、
プレス向け写真撮影に引き続いて、上映開始。

こちらは、A・B、異なる2つの筋から、成っている。

A:JR中央線沿線、高円寺・阿佐ヶ谷近辺にたむろす、
元学生の、下宿人・アルバイト男女達が織りなす、
貧しくも、どこか能天気で、ちょっとおかしな、生活エピソード全集。

どこか飄々とした、ミニお祭り好きの主人公青年(辻岡正人)が、
東宝映画の植木等キャラみたいで、
なかなか、おもしろい・・・。
車に乗るシーンからもう、調子のよさに吹き出す。
権威おちょくり精神も、ちらりと、伺える。

ある一件での、青年と刑事役のやりとりシーンは、殆ど漫才調で、
緊張感もあるが、傍で聞いていると、かなり愉快な?シーンなり。

青年の横に、批評者たる人物がいて、
対比の分担が、できている。
言うべき事は言う!でも友人、というのが、心にくい。
後半、ちょっと、寅さんみたいな人だな・・・と。
この映画が60年代的、と一部で言われる由縁には、
北海道一人旅のようなシーンが、含まれている事も、あるのだろうか。

とってもあやしげな品物を、売り込んでくる客と、
手堅く?商売する、中古屋店長のやりとりも、ユーモラス。
 
片付け下手で、ズタボロ姿で生活していた、
とある仲間女性(大塚麻恵)が、
いつしかチェンジするのが、ちょっと驚き。
美保純みたいで、ユニークな存在感あり。
(舞台挨拶で、司会してた人かな・・・?の声)

B:東京タワー付近で、母の家計の事情から、
新聞配達・劇団女優・新人ホステスの3つを兼務する、
元気・純朴、前向きな、
主役ヒロイン・成子(女優の新人・疋田紗也)の、苦労人哀話。

こちらではヒロインが、先輩達にいたぶられるシーンが、
眺めていて、ちとつらい・・・。
接客業も、楽じゃない。
神楽坂恵の和服ママが、大人っぽく落ち着いた世話人風で、よろしい。

失業してヒロインの家を出た、コソ泥みたいな父親を、
増田監督、今回もオール・マイペース(?)好演。
水かぶって泣く母親(ゴールド・黄金咲ちひろ)、印象が特に強い。

口八丁手八丁のスカウトマンが、
また、調子いいというか・・・
やれやれだ。


かなり雰囲気にギャップのある、
おそらくは別個にまとめられた、
A・B、2本のストーリーが、
内容的に、まるで交わらないまま、
入れ子状態で、同時進行するのだが。
意外にも、それ程の齟齬は、感じない・・・。

「俺たち貧乏!」を自認する、Aの登場人物達が、
キャンパスで友達を行動に誘ったり、
路上で吞み会したり、商売したり、
家出娘を相手に遊んだりと、はしゃぐさまの勢い。
まずそこに、さわやかな活気が、あふれてくる。

更に、細かく頻繁なる、場面編集によって、
A&Bエピソードの、入れ替わり効果により、
映画全体にテンポが生じて、
A・B両者の世界は不思議と、劇映画として、一体化しているのだ。
正にそここそが、大変、おもしろい・・・。

よく見ると、B側にも、
女性新聞販売員と、訪問先の女性との、
メディア不信からくる、やや大げさなやりとりの場面があり、
そこらなどは比較的、A側に近いエピソードなのだった。


「丸くなってないか?」
「祭りは、これからさ!」
その言葉、よく覚えときますぞ、諸君・・・!


初日集客も上々、
好発進の、アンモナイト達、
更なる活躍の広がりを、期待したい。


以上。




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  1. 2010/01/31(日) 01:32:00|
  2. 劇場用映画
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