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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

晩秋・フェリーニの夜は更けて・・・

旅人、覚書。


新作の自主映画が、出来たらしい。  
と、この世の変てこ者?イベント集団・<ジーコ内山劇場>のサイトにて知り、
14日、土曜の夕方、
急遽、イベントへと、向かった。


殆どまっさらの劇場スペース、<座・高円寺>。
なつかしの、高円寺会館の跡地に、建てられた。

エビ茶色、というか、赤茶色の、
前よりずっと、大き目な建物。
阿佐ヶ谷や武蔵境へ行くとき、
中央線の車窓から、目にはしていたが、
多分、中へ入るのは、初めてだろう。

1階では、別な劇団の入場者が、既に並んでいた。
地下2階の会場、<座・高円寺2>まで降りると、
開場までに間があったので、しばしロビーで、待つ。
高円寺周辺の風景を描いた、無料の絵画展が、懸かっていた。

関係者や、イベントのファン達と談話しながら、時間まで待ち、
2000円を払い、入場す。

さそり監督の最新作・「カルトムービー」お披露目会。

恒例により、<さそり歌謡ショー>数曲から、始まった。
以前よりも益々、色気(!)が出てきた模様。

その次に何やら、能天気なる壮年歌手?が、
青のスーツで登場、リズミカルにコミック?ソングを歌う。
内容はなんだか、「帰ってきたヨッパライ」みたいな感じの、歌だ・・・。

それに引き続いて、
アキハバラのアイドル・ユニットか?みたいな感じで、
女性デュオ<中学生時代>が、登場。
今宵限り、と銘打って、
ひたすら明るく可愛く、歌い、踊る。

これらのライブ・メンバーズは、
映画の出演者である事が、まもなく判明した。
例によって、かなり規格外れで、
はじけた?メンバーが、集められた模様。

いささか、心もとない?ショー進行のもと、
前座が終わり、
いよいよ、映画が始まるのだった・・・。


DV撮影作品「カルトムービー」。

山道を、孤独そうに、
眼鏡の女の子(主演・しじみ)が一人、歩いてくる。
当人らしきナレーションで、彼女が最近、
友人も作らず、恋もせず、
あえてひとりぼっち状態を、通しているらしい事が語られる。
拾ったマペット手袋に、ガマちゃん、と名づけて、一人会話している、しじみ。

そこへ、彼女に一目ぼれした、
学ラン眼鏡少年・ヒロシが現れる。
同級生らしき友人男女達の、応援を得て、
お友達&告白作戦を、展開。

ここら辺から、本筋と関係なく、次々と現れる、
奇妙な謎の人物達が、ちょい笑わせる。
何というか、変人芸の、仮装パーティー状態に。
ヒロイン自身の趣味発言も、墓参り等、
ちょっと妙なセンスが、あちこちに散乱。

おぼえめでたく、お友達にはなったけれど、
恋人になるのは別、と、つれない、しじみ。
後になって、その理由が、わかるのだが・・・。

やがてしじみは、唐突に、
路上でアイドル歌手として、
マネージャ-付きで、営業を開始する。
握手料?のお札を、がっちり集めてるマネージャー。
ライブ観客の中には、かなり挙動不審な人も・・・!

山の上での、ガラガラなステージ営業の合間に、
野山を散歩していると、
テンジョンの高い魔女達(3人程出る)、
カマキリみたいな妖精?と、変な教祖?が、
かわるがわる、争って接近。

そのあたりから、しじみの、
あるつらい過去と、愛情拒否の原因が、明らかになる・・・。

かつて良き友を失った、あの事件を想起させる、回想。
その原因のすべては、
ある人物(魔王?)の、陰謀だったのだ・・・。

ここで入るか、暗さと泣きが。
ホコ天で真っ昼間から、堂々の・・・。
ずるい・・・ずるいぜ。

どこかネジの外れた、ひん曲った、
いわば躁状態のロケ芝居が、続く映画。

こじんまりした世界ながらも、
ナンセンスな人物達の可笑しさ、ゆがんだ面白さと、
孤独にとらわれた人間の寂しさ、哀しさとを、同時に食らう、
ややひねくれた、見世物小屋的映画、なり。
終わりよければ、すべて良し、だった。


上映後にも、出演者諸氏による、 
軽い?ライブショー数件が、行なわれた。
諸般の事情により、 
そのショーのすべてをここに、披露する事は、
とても、できないのだが・・・。
かなり、おいおい!いいのか!な、
濃ゆいイベントであった事だけは、記しておこう。


名残りは惜しいが、
今宵はもう、引き揚げるとしよう・・・。

以上。



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  1. 2009/11/15(日) 17:43:50|
  2. インディーズムービー
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晩秋・北の海辺に陽は暮れて・・・

旅人、覚書。

11月13日、夜21時前。


東京国際映画祭では、チケットをとりそこねた上に(注1)、
登場人物2人のみ、長めのナレーション入り、93分、
と聞いては、
果たして、場が持つんか?
観に行ったもんか、どうか?などと・・・。

渋谷・ユーロスペースの公開終了、ぎりぎりまで悩んだのだが、
どんな賛否両論なんだ?と、その噂をずっと、気にかけていて、
結局レイトショー最終日に、しっかり足を運んでしまった、ある映画。
観ないで批判するよりは・・・との心境も、作用しての鑑賞、だった。


松村浩行監督の、「TOCHKA(トーチカ)」。


荒れる海、風の音。
今はもう使われぬ、コンクリートのトーチカ2つ。
古い写真機を持った、表情の固い女性と、
大きめの旅行鞄を持った、コートの中年男性が、いるっきり。
二人が、殆ど憂い顔で、互いのある身の上話を、する。

やがて日暮れ時、一人が道を帰り、もう一人は残る。
そして、朝・・・。

本当に、それだけの、
静かなる、寂しき風景が続く、映画。
だが、不思議にも、人が言うほどに、退屈はしなかった。

むしろ、主役人物の、ある過去と決意、ある怯えの心情を、
途中からなんとなく、察せられつつも、
監視カメラのごとく、半強制的に、
じいっと、見つめ続けさせられる、
その、己が観察行為自体を、じっくりと味わっている、
という感じに、だんだん、なっていったのだった・・・。

小生自身の、理性と裏返しの心理を、ひっぺがされているような、 
そんな気分にすら、なってくる。

そういう感じの、観察キャメラ状態を、要求される映画を、
昔、吉祥寺のバウスシアターで、観たなあ、と。
そう、園子温監督の、「部屋 THE ROOM」(注3 )。
これは、いわばあれの、21世紀版なのだ。


一言で云えば、
主演俳優・菅田俊(注2)が長年体現してきた、
ハードボイルド・ライバル役の、なれの果てを、
少し早めに観てしまった、というような印象だった。

かつて「う、後ろに回るな!」とのたもうておられた、
あの恐怖を覚えている、老いたるゴルゴ13、というような。

だからこそ、ゆきずりの、見知らぬ若い女性(「犬猫」藤田陽子)に、
ああいう話を、あえて、語っておきたかったんだろう、と解釈している・・・。 
そして彼女は、なんとなくだが、
遅まきに、その思いを、悟ったのだろう、と。

哀しき話。
何も知らぬだろう、犬がいるのが、
一層、わびしさを、募らせる・・・。
車の兄弟は、アクセント、かな。


というような風に、あれこれと、
複雑な心境には、なったが。
秋から冬へ、季節の変わり目には、合っていた映画かも。

やっぱり、観ておいて、結果的には良かった、
と、とりあえずは思っておこう。   


以上。




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  1. 2009/11/15(日) 01:34:47|
  2. 劇場用映画
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晩秋・吹雪とともに去りぬ・・・

鉄の、日記。


シネマヴェーラ渋谷は、いまや、
かつての大井武蔵野館・自由が丘武蔵野館などの、後を引き継いだ格好で。
あけてびっくり玉手箱、
安くて、貴重で、面白い!プログラムの、名画座状態となっているねえ。

そりゃ、たまに、「プリント状態が悪くて、作品差し替えです・・・」の張り紙に、
がくっ!それ観たかったのに!って珍事も、ままあるけどな。
やむを得ず、DV(デジタルビデオ)上映で・・・てのも、あるし。
何しろ、60・70年代のフィルムは、古いから。痛んでて。
巡業可能なプリントが、もう、ぼろぼろのもあったりしてさ。
ニュープリント代は、高いらしいからなあ。

だからまず、ちゃんとしたものがかかれば、御の字ってわけだ。
ご苦労が多いんだろうと、お察しするよ。うん。
観れないよりは、観れるほうが、いいにきまってる。

しかもいまどき、他の階同様、自由席!
こいつが、気持ちいいね~。
がんばれ、ぼくらのシネマヴェーラ!!


さてさて、只今、真っ昼間から、
<洞口依子映画祭>、期間中だ。
いまどき、余所じゃなかなか、
大人が観やすい時間に、かけちゃあくれないぜ!
この、充実したラインアップは・・・!

で、ようやく、行ったよ。12日の木曜に。
「君は裸足の神を見たか」を、観るために、な。

1986年、ATGと日本映画学校の制作。
金秀吉監督のデビュー作。 ジャスト100分。
いや~、青春映画の、力作だね~。

雪の街を、新聞配達する、バイト青年達。
石橋保、若い時から、ハキハキしてるよな~。
もう一人の、うぶで朴訥そうな友人青年(児玉玄)も、
いかにも田舎にいそうな感じで、いいねえ。

とにかく、この石橋青年、よく走る、走る、走る。
夏の山道を、冬の吹雪の中を・・・。
まず、これが強烈。
随所で、もどかしい心情の、爆発と一緒の、
運動性に富んでいる。

まだ秋なのに、真冬と真夏の風景、いっぺんに観ちゃったよ。
なんで春と秋が、印象薄いんだろうね?この映画って。

薄いと言えば、先に出てきた、
もう一人のフルート持ったヒロインも、存在感が薄いんだよな。

石橋の高3青年にとっては、
コンクールの絵の、モデルを頼みたい!
でも思い切って言えない!って相手だからね。
つんとした、美のイメージ優先で、あまりしゃべらないから。
思春期に一度はかかる、男の病(やまい)、だな・・・。

これに対して、むちゃくちゃなまなましいのが、
洞口依子の、クリスチャン高校生。

少しぶーたれた様な、表情をたたえながら、
好きも嫌いも、自分で決めて発言、行動する。

男に裏切られて、性的狂女になったという、
墓場の名物女を、憐れみ、
からかう小学生男子どもを、追っ払う。
でも、やな顔しながら、すれ違う・・・。

そして、石橋青年の、頼みを聞きながら、
工業高校生と、つきあいはじめ、
その一方で、石橋とは、あんな仲に・・・!

これぞ、女心のリアル、という印象を残す。

絵描き志望に、詩人志望に、看護師志望。
実家の商売を継ぐか、出稼ぎするか、都会で自立するか?
携帯は無く、家には黒い、ダイアル電話。懐かしいぜ。
石油ショックの話が出るのが、やっぱ、昭和後期だな~。


社会人直前期、男2人に女が一人。
と、役者がそろったらば、後はお決まりの、アレへ。
互いに ゆずったり、 気を遣ったり 、ぶつかりあったり。
時には、相手の才能を認めたり、
逆に嫉妬したり、わかってねえ!って怒ったり。
いろいろあるよねえ、青春期。

洞口、ここまでやってたのね、すっげえ・・・。
初体験って、なかなか、忘れられないもんだからねえ。
女優の、鑑だぜ。
後半、夜の川で石橋に、怒るシーンなんざ、泣けてくるよ。
馬鹿だな石橋、こんないい女に、あんな捨て台詞を・・・!


若さゆえの、純で無骨すぎるトライアングルが、
いきいきと、展開。
その果てに、衝撃の結末が。
うう、純粋すぎたんだなあ、あいつ・・・。

皆、それぞれの道を行き、
小さな祭りの、終わる季節が。
泣かせるぜ。


どこかで見たような、ひょうきんでおちょくり屋の、
芸術批評家?同級生役が、いたな。
なんと、出川哲朗だ。
日本映画学校に、いた頃だな。
進行役まで、やってるよ。
誰しも昔は、若かった。


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  1. 2009/11/15(日) 01:33:07|
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