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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

ゲルゲーゲル・ダークスタート?

政の、日記。


3月8日、日曜、昼間。
16時前より、再び、江古田。

今回の土日イベント中には、ほぼ毎度、作品上映前に、
P-kraft久しぶりの、共同連作上映企画、
<女子女子over8>(注1)が、
今月末頃より、シネマート六本木(注2)で開催される旨、
予告編数作にて、伝えられた。

あれはあれから、どうなったの?と、ずっと気になっていたので、
まずは開催決定を、喜びたい。


16時より、<ヤングツネオの閃光>。

「ユダのハープ」(23分・8ミリ・カラー・スタンダード):

・・・は、泉常夫監督、学生時代の1本。
なぜか「売樹玄三郎」名義で、演出。
当時のペンネーム、との事。
そういえば、展示中のチラシにも、その名前があった。

聖書の登場人物を、現代風な衣装で、
当時の学生達が、やや珍奇に演じる。
この置き換えが、なかなかユニークで、おもしろい。

イエスは金欠、松田優作風、ミュージシャン志望。
どっかの女編集長に似てる?お説教女のマリアに、
ボコボコ小突かれて、金欠の元を断て、と銃を渡され、
付き合っていた、女子大生風のユダを、
真っ昼間に、お堀のボート上から、射殺する。
(ひで~!しかも見つかるし、の声)

それに怒る、ユダの兄・エホバは、
ガウン羽織った、プロレスラー風。

さらに悪魔は、長髪にスーツ、
お調子者の、突撃フォーカス雑誌記者役・・・泉氏!

これがまた、近年とはまるで、別人。
声のオクターブも高く、「報道の自由だァ~!」。
この部分、場内で爆笑になっていた。

大学の屋上で、明らかにかなり危険な撮影、
すれすれ疾走シーン等が、いっぱい。
落っこちたら・・・ジ・エンド必須!
JR構内で喫煙撮影等、今だったら無理かも・・・?(注3)

みんな、恐れを知らず、若かったんだねえ・・・と。


17時、<怪演!スクリーンの中のツネオ>コーナー。

・・・要するに、泉氏の出演作品が、あまりにも多岐にわたるため、
2日間のみではとても、全作品のノーカット上映は不可能なので、
主な作品の、泉氏出演シーンを抜粋・編集して、
福島氏の解説付きで紹介しよう、という、ダイジェスト企画。

2008年から始めて、徐々にさかのぼり、
1985年頃の初期出演作まで、紹介。

「PRISM」のシネマ下北沢シーンも、しっかり入っている。
短いながら、親子・夫婦共演作品も、存在している。
「ユダのハープ」シーン、
後から来た人も含め、またも一同、爆笑に・・・。

現時点で確認された、一番最初?と目される出演作品では、
消防夫のごとく、ギンギラのコートに、グラサンの殺し屋役。
これまた松田優作式に、現場で「あッ!」と叫んだり(注4)、
暗殺稼業にしては、思いっきり、目立ちすぎる姿だ・・・!
強烈すぎ。これじゃ、すぐ、つかまるだろう・・・。
(仕事人も、呆然・・・の声)


18時、初の商業系劇場公開(シネマ下北沢)をされた、
長編監督作、「バカブロッサム!馬鹿風呂」、再映。

当時のP-kraft周辺の、自主映画界俳優・女優・監督・他、
オールスターキャスト。

以前書いた感想とかぶるだろうが、
これについては、あえて、おさらいして書く。

これは、一気に103分、というのは・・・ちと、長い。

一応、主人公(阿部まどか)がいて、
美女宇宙人3人の、宇宙船着陸失敗により、
地球上に騒動が巻き起こっている、という本筋はあるものの、
基本的には、モンティ・パイソンみたいな、シュール・コント羅列の線で来る。

まあ、部分的には笑えるし、面白いには面白いんだが。
散発的ギャグ、くすぐりが団子つながりなので、
長編構成上の、大きな、
引っ張っておいてドカン!!という、
決め技に乏しいのが、難点だろうか。

食欲緑仮面一家や、リンゴと蛇と子供?の景など、
ちと考えすぎでは?の感もあったりして。
わが国が、クリスチャン主体の世界ではないせいも、あるだろうが・・・。

文句無く笑ったのは、女ピエロと漁師と民話の景で、
某局キッズ枠で流したら、ややウケるかも・・・?などと。

やはりというか、こういうのは、TVの30分バラエティー枠で、
毎週、分割放映するのが、一番、効果的なのではないか?と。
昔の「カリキュラマシーン」(注5)みたいに・・・?
果敢なる試みだが、ちょっと、もったいない気も、するのだ・・・。
誰か、この続きを、やってくれないだろうか・・・?

19時50分より、遺作・「遠く鳴り止まぬ声は」公開。
(2009年・DV・カラー・スタンダード)

撮影は去年内に終了していたのだが、泉監督が急逝、
福島氏が代わって編集し、仕上げた短編。

「no rain」でも行なっていた、
写真静止画・音楽・ナレーション工法を援用、
かわるがわる登場する、3人の女性達をモデルに、
歩行・散策の、連続写真を撮って並べ、
その上に、心情表出?の朗読ナレーションを、重ねている。
人物達がパラパラ漫画のように、軽快に動き回って見え、ちょっと心地いい。

ところが、いったんスタッフ表示が終わるや、
急に画面の様子が、がらりと変わって、
ぶん回しっぱなしの、キャメラ画面疾走が、始まる。

ありふれた商店街・アーケードの中を、
ピンボケも、ブレも何も、構わずに、
ひたすら自由奔放に、駆け回る・・・。

観ていると、何だか、目が疲れて来るのだが。
最後の最後まで、表現法と観客に対して、監督は挑戦的だったのである・・・。


上映終了後、泉監督ゆかりの、女優大集合、トーク・セッション。
職場関係の人が、かなり居るのは、
映像会社方面ゆえの、強みだろうか。

ほとんどが、皆、突然「映画出て!」と言われ、
素人状態から、2~3年映画・舞台的演技のやり方を、
監督から、徐々に教わってきた、人々。

皆、口々に、「変わったおじさんだね~、と思った」と回想。
おそらく、活力と人望があり、教え方が良かったのだろう。

それと、音楽担当の、鈴木朝子嬢を出演させる新作が、
撮影途上で、止まっているのだ、という。
どんな映画に、なる予定だったのだろう・・・?
惜しい・・・。

せめて、この集まりでの、人々の交流を通じて、
映画であれ、演劇であれ、アートであれ、
これから新しい何かが、始まっていってほしいものだ・・・。

会は、監督のご子息による、追悼ギターライブにて、
明るくにぎやかに、幕を閉じた。

そして、打ち上げの献杯も・・・。
一同、「ブロッサム!!」一色であった。


以上。 [ゲルゲーゲル・ダークスタート?]の続きを読む
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  1. 2009/03/08(日) 11:59:00|
  2. インディーズムービー
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ゲルゲーゲル・ダークリセット

秀の、日記。


3月7日、土曜午後、
西武池袋線、各駅電車で、江古田へ。
カウンター・バ-兼イベント会場、
江古田フライングティーポットへと、向かう。(注1)

昨年12月に急逝された、
自主制作映画団体・P-kraft所属の雄、泉常夫監督を偲ぶ、
追悼上映会、
<ツネオブロッサム! 泉常夫映画祭>の、ためである・・・。

土日の2日間、可能な時間のみだが、参加する事となった。

下北沢トリウッドでの、<東京インディーズ>活動立ち上げの頃や、
P-kraft10周年企画「DECADE」御披露目会などにて、よくお会いする、
落ち着いた雰囲気の、笑顔の紳士、という印象があって、
P-kraft代表・福島拓哉監督(注2)との、コンビ活動が長い人だったから、
急逝の報を知ったときは、大変、驚いたのだった・・・。

一部エンタメ系作品には、多少の当たり外れ?こそあるものの、
自主短編・中篇映画を中心に、
映像表現の可能性開拓に対しては、
8ミリフィルムから、デジタル撮影に至るまで、常に挑戦的であり、
また、新人女優の起用、舞台・朗読劇演出等、
常に、意欲的であった人。

その映画道の、盛りの真っ最中において、
唐突に倒れたのが、何とも、惜しい・・・。
監督作品の全貌?上映が、
このような形で、開かれる事になろうとは、思わなかった。


土曜は、半日仕事のため、
14時からの「YES WAY OUT」(注3)、「mono」、「DIVIIDE?」の再上映には間に合わず、
16時より、<ヤングツネオの閃光>コーナーより、入場。

プロジェクターによる、DV上映。
その後、泉氏の学生時代・職場・映画・演劇方面等、
知己関係をメインに、様々なる人々が入場、
店内は徐々に、にぎわってきた。

「The White Hands in Darkness」:(1983年、35分・8ミリ・カラー、スタンダード)
・・・は、学生時代、20歳の頃に制作の、青春サスペンス中篇。

もろに、松田優作を思わせる、黒眼鏡に白手袋の、
ちょっとキザな台詞を吐く、長身殺人犯。
彼の知人女性と、大学内ミニコミ誌の男性部員が、
彼の行動を怪しいとにらみ、調べ始める・・・。

70年代風サスペンス・アクションを、
80年代の明るいキャンパス周辺で撮った、という印象が強い。
走行中に、無茶をしている、カーアクション・シーンは、
危険度が高く、はらはらもの、である・・・。

泉監督自身も、事件を追うミニコミ誌の部員役で、ワンシーン登場。
やっぱり、若い・・・。
やや男っぽい?強気な長髪女性編集長が、目立つ存在感。


17時、<レアコレクション>2本。

「BECAUSE THE NIGHT」:(1999年・30分・DV・カラー・ワイド)(再見)

・・・は、ワンセットのコント?2本の間に、
夜間屋外ロケのドタバタを、1本はさみ込んだ、3部構成。
小生の知る限りでは、泉監督のコメディ路線作品では、
一番、ちゃんと笑える。
こういうのは、筋がシンプルなほうが、うまくいくもの。

しかし、大麻と寿司のアレ!とサファリパーク、
迷子青年とハーモニカ男とたこ焼きが、
こんな形で、つながるなんて・・・!

そして3部目は、
男女ペアが、セックスの是非でもめている、他人の部屋に、
お節介焼き?の人々が、徐々に増えてゆく光景が、
ばかばかしくて、苦笑す。
引き際があっけない、もう一押しほしかった。

「20s-21c」:(1999年・20分・DV・カラー、スタンダード)

・・・は、割と普通?の、ドキュメンタリー。
撮影時点の99年から2年後には、新世紀が来るわけで、
今20代の君は、2年後にはどんな人生だと思う?
と尋ねる、インタビューの記録。

へアスタイリスト助手なら、将来の一本立ち、
独身男女なら、結婚してるかも?というような感じで、
意外性のある回答というのは、少なかったのだが。

この取材時点から、現在すでに、10年経っているのを考えると、
いまや不思議な感慨すら、ある・・・。
30代になった彼らに、見せてみたい気もする・・・。


18時30分より、さらに3本上映。

「SNIPER」:(1999年・33分・DV・カラー・ワイド)(再見)

・・・は、中年男の殺し屋と家出少女の、純愛&ハードボイルド・アクションだが、
所々にあっけらかんとした、ユーモアをも含み持った、エンタメ作品。

巻頭でいきなり、男女のとんでもない出会い方(!)に、大笑い。
その後、主役中年男性を、ほとんど無言に近くしたのが、効果を発揮。
家出少女との筆談など、つい吹き出すシーンも、ある。
スナック袋?のジョークなど、一部すべっているところも、あるが。
正に、ヒロインを救いに行く男の、強さの理想形。
終盤の別離等、心憎いばかり、なり。


「憧憬」(2005年、35ミリ・DV・カラー・スタンダード)(再見?)

・・・は、とにかくヒロインが、じれったい。じらせる。

せっかく、自分を殴った若い男を捨てて、
同じ工場で働く、憧れの中年男性主任の家に、転がり込んでおきながら、
同居中も、主任に身をゆだねるどころか、潔癖なほどに、
相手との距離感、非接触性を保とうとしている・・・。

一緒にラーメンを食したり、一見親しげなように見えて、
同時にどこか、よそよそしさが見え隠れする、この、じれったさ。
男女同居の描写にしては、あまりにも、節度がありすぎる。

そのような状況が、
時折ガラス越しなどの、半分ぼやかされた画面の中、
ずっと、延々、続くので、
なぜ、目の前の相手が好きなくせに、
そうまでするの・・・?と、疑問が沸いてくる。
これも、泉監督のテレか、
あるいは、一種のデリカシー表出、なのだろうか。

ゆえに、今でも、納得はしきらないでいるのだが、
主演・堀井秀子の存在感だけは、くっきりと現れ、印象づけられている・・・。


「no rain」(2006年、4分・カラー・スタンダード)

・・・は、原点帰り?ともいえる、
きわめてシンプルな、撮り方。
日常的風景のスチール写真と、詩の朗読ナレーション、
およびBGMのみで出来た、くつろぎの短編。

こういう手法の短編を、トリウッドの<ベルトガ・フィルム>をはじめ、
あちこちで、見かけているが、
大島渚監督の「忍者武芸帖」みたいに、
迫力漫画のコマでやる手法も、あったな・・・などと。


20時より、トークセッション・「俺たちのツネオ」。

ウズマキマキオ(注4)・福島拓哉・堀井秀子(注5)・山本真規子(注6)による、トーク。
各人が、ここ江古田の自主上映会<融解座>で知り合った、
あるいは、映像会社つながりで、
映画出演を頼まれた経緯等を、全体に明るく、回想していた。
映画作りを学びに、泉組に参加した、という堀井嬢は、
泉氏を「師匠」、と呼んでいた。

日常の泉氏は、小生の予想をも超えて、
かなり頭脳緻密、かつ大胆で、
さらには、相当ユーモラスな人物であったらしい・・・。
その全貌はいずれ、氏に映画を学んだ、
周囲の多くの人々によって、徐々に、語られてゆく事だろう。

会場の入口には、学生映画の企画書やチラシ、
舞台演出の記録等が置かれ、
壁には、略歴と、複数の記念写真が張られ、
ささやかなる「泉常夫展」が催されていた。

そうか、エクアドル生まれなのか・・・。
幼少時からスペイン語圏経由で、川崎市育ち、
というのは、ちょっと珍しい生い立ちである。

もしかしたら、その辺の、外国社会経験から、
対人的にも、作品にも、
ある種のデリカシー傾向が、派生していたのかも、しれない・・・?
などど、来客達と小生も、いろいろ考えてみながら、話をしていた。

いまだに、居なくなった、という感じがあまりせず、
会場のその辺に、ひょっこり現れそうだ、と皆、言っていた。
それは小生にとっても、同じだった・・・。


この夜は、交流の呑み会に、しばらく残る。
なぜか、TV時代劇についての対話を、多く交わしたような・・・?


日曜分、次号にて、別記。 [ゲルゲーゲル・ダークリセット]の続きを読む
  1. 2009/03/08(日) 11:58:46|
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