続・主水日記。
24日、朝より出発、
新宿経由、京王線で、聖蹟桜ケ丘へ向かう。
駅前より、関戸公民館。
エレベーターで、ヴィータホールへ。
自主中篇・長編映画の、コンペ・ノミネート5作品上映会。
<第9回 TAMA NEW WAVE>。
ここで、予想だにせぬ、
ハプニングが、あった・・・。
軽い携帯昼食をはさんで、次々とクリアー、
ロビーにて知人らと、談笑。
4本目までは、ほぼ順調に消化。
が、次の休憩後、5本目を鑑賞中、
連日の強行軍がたたったか、体調が不良に。
やむを得ず、途中20分ほど、一時退出。
無念・・・。
戻って後半を観たが、筋は大体理解出来た・・・はず。
ボリュームの重厚なる、長時間の上映会なので、
体調管理には十分、気をつけていたのだが、
気温低下と、胃腸の年齢には、勝てなかったようだ・・・。
何だか、アルプス登山にでも来たような、気分になった。
以下、観たままを、記す。
[候補作]:
星崎久美子監督「茜さす部屋」:
30歳前、派遣OL・マキ。
取引先のキャリアOL姉さんに、
実は、小説売り込みするも報われぬ、
バイト生活の恋人男性と、同居中。
実家帰省で再会した、役場の幼馴染男性や、
子供を持った妹、
一緒に酒を飲み、「あなたは結婚がいい・・・」とすすめるキャリアOL、
その部下で、思わぬ一面を見せる、
男性社員(津田寛治)。
彼らの影響もあって、
「もし、私が彼の子を持ったら・・・」と思いつめたヒロイン。
一見して滑稽だが、
涙ぐましいまでの奮闘努力で、
子作り路線を、目指すのだが・・・。
主役女優の、いかにも困惑げな表情が、
いちいち可笑しい。
切実な問題を、コメディすれすれにまで、
ユーモラスに表現、活写するセンスの良さ。
自主枠だけで済ますのは、もったいない、
ユーモラスな悲喜劇、佳作。
ミニシアターで劇場公開したら、
女性客が、かなり集まるのではないか?
木村文洋監督「へばの」:
陰影の中、いきなり、
主演女優のヌード・シーンで、驚かす。
まもなく、ピンク映画でおなじみの、吉岡睦雄が登場し、
ああ、と納得す。
雪深い東北の寒村、
この2人が若夫婦で、女の父と語らう。
男と義父はともに、ある核燃料処理施設の職員だった。
が、ある日、その施設で事故が、発生してしまう・・・。
この状況下で、子供を作っていいのだろうか?
と思い悩む、2人。
結局、別れてしまう2人だが、
女の父の死により、運命の熱烈再会をする。
だが、時は既に、経ちすぎていた・・・。
全篇ずーずー弁の台詞が、
聞き取りにくく、分かり難いのだが、
あれはあれで、音楽のような味わいが、あったりする。
特に父親役のそれには、優しい味わいがある。
題名は、おそらく、「じゃあね・・・」位の意味か。
真冬の廃屋や車内での、情交シーン撮影は、
いかにも寒く、つらそうだ・・・。
自転車に乗って、某ヒットソングを口ずさむ、
主演女優の歌声が、切なく響く・・・。
ATGの社会派映画や、
神代辰巳・工藤栄一監督作品を思わせる、
陰影・逆光等、画面の引き締まり方が、ぐっとくる。
コクのある、相当な力作。
だが、それでも終盤の、
反社会的行為と報復の暗示シーンは、要らなかったのではないか。
(・・・やりたかったんだろうな・・・の声)
あれは、できれば無い方が、後味がよかったのだが・・・。
知らぬは、子供らばかりなり・・・。
江藤有吾監督「ハロー・グッバイ」:
にわか女性家庭教師と、不登校気味の女子高生。
TVドラマでも、よくありそうな組み合わせだが。
変わっているのは、2人が義姉妹であり、
一方がそれを、知らないこと・・・。
ホームまで来ているのに、電車に乗ろうとしない、ヒロイン。
うつ病気味で、同居する母親に内緒で、OL仕事をやめ、
セラピスト(演じるは、佐藤圭作監督)に通っている、眼鏡女性。
ある時、かつて離婚した父(石川謙)と、姉に呼びだされ、
再婚後の父の娘を、家庭教師として面倒見てくれ、と頼まれる。
ただし、姉であることは、当人には伏せておいて、と・・・。
どうやら、父親の手に余る、娘らしい。
会ってみると、なるほど、
ひとくせありそうな、小娘だ・・・。
(小娘、って時代劇じゃね~ぞ!の声・・・)
ずばり、ディスコミュニケーションが、テーマ。
全編が、人間関係のこじれについての、映画。
ゆえに、筋はあまり、楽しいものではない。
父と子、実は理解しあえていない、悲劇。
母には本音を言えずにいて、後でこじれて。
女子高生の、同級生との軋轢(あつれき)・孤立。
元同僚男性と元OLの間も、
いい関係のはずが、だんだん、とんでもない事に・・・。
それを独自修正しようと、妹側がまた、
やってはいけない、脅しまがいを。
おかげで公園では、やばい事件が発生し・・・!
あれもこれも、こじれて、こじれて・・・・・
ああ、もう、やんなっちまう!!という話。
人物の弾む動きは、きわめて良く、
画面・場面のテンポも、かなり良い。
ただ、何しろ、この展開なもので、
全体に、明るさに欠けるのも、事実で・・・。
<ドリフと扉>の話など、
ユーモラスなシーンも、若干、あるのだが。
それらのギッタギタ展開の果てに、
路上に寝たまま通話する、苦笑シーンが、来る。
番地を見ろ、番地を!と、ツッコミたくなった。
終盤、妹の言動等に、若干の疑問?もあるのだが、
現代的人間関係を分析し、象徴するドラマとしては、
わかりやすく、かつ、すぐれている。
加治屋彰人監督「chain」:
最近珍しい、オール・フィルム作品。
寒々しい、くすんだ画面が、
何というか、わびしさをそそる。
クラスメート同士の、女子高生2人。
2人の周囲でふざける、同級生たち。
その学校の、女性教師と、その主人。
その主人が勤める工場の、
最早リストラ寸前の、同僚工員。
彼らの、心理的にかなりハードな日常生活が、
互いに知らぬまま、交差を繰り返す。
援助交際疑惑、クラスメート孤立、家庭崩壊、
友情再確認、進路指導、等の騒動をからめながら、
あたかも女子高版「金八先生」のごとく、
泣かせる芝居入りで、淡々と、かつ力強く、演じられてゆく。
そうした彼らの、日常延長上の果てに、
待って居たものは・・・・・
某有名刑事ドラマも、真っ青の・・・
これ以上は無い、悲惨で痛ましい、結末だった・・・!
これも又、
ディスコミュニケーションがもたらす、悲劇なのか・・・?
さすがにこれは、きつかった・・・。
松村真吾監督「太陽が嫌い」:
関西風の、優しそうな素人おばちゃんが、主役女優。
ファーストシーンからいきなり、同居中の息子と2人、
這って出てくるのがちょっと可笑しいが、
すぐに、息子が関西弁で母親を殴り始めるので、
気分が、引く。
ドラマ進行の模様からして、
母親は息子よりも、
近所の往来で演説している、
若き選挙候補らしき男とのほうが、仲が良いらしい・・・。
「弱い立場の人々を、救いたいんです!」と、
通行人達に、アピールしている。
当然、むくれる息子。
彼と2人、食事を摂りながら、
「お前は昔、俺に、競争社会の真実を、
思い知らせてくれた奴じゃないか!」
と、冷ややかに非難する。
後半、母親が往来に現れると急に、
演説の調子が悪くなってくる、候補者青年。
中途で、何かあった模様・・・。
そして、ついに母と息子が、
自宅の台所で、一大対決!となる・・・。
ここの長回しシーンが、
抜き差しならぬ緊張感を、そそる。
このシーンのために、ドラマのすべてが、ある。
感情表現は、あえて押さえ気味に、
緊張感を、最後まで引っ張る、力量。
静かなる感銘を呼ぶ、佳作。
5作品上映終了、18時16分過ぎ頃。
しかし、これで終わり!では、さすがに、
連休最後の、幕引きの気分が、
いささか、どんよりとなることだろう・・・。
となれば、する事は、一つだった。
ただちに、雨降りしきる中、
駅から準急に乗り、
新宿、中野経由にて、野方に直行す。
野方区民ホール。
吉本昌弘監督「カチンコ」、完成披露上映は、
招待券で、途中より入場。
既に後半部に、入っていた。
うって変わって、ぱっと明るい画面、
力演を含むも、全般に、
コミカルTVドラマ風の、ライトなやりとり芝居が、
手際よく、テンポよく展開していた。
故人の監督に代わり、
ピンチヒッターの、にわか女性監督。
主演・明佐奈、なかなか、華がある。
キャメラマンの懇切丁寧な、用語解説と指導を受けつつ、
トラブルだらけの撮影現場を、あれこれと工夫を凝らして、
乗り切ってゆく様子が、わかりやすく進行する。
エンタメ系自主映画の、常連俳優・女優が、
大挙出演する中・・・
御多聞にもれず、ここでも登場、
吉本組常連の自主女優・吉崎仁美。
キャメラマンの恋人役で、
憂いと泣きの芝居を、さりげなく好演し、
目立つ印象を、残す。
しかもこの泣きが、今回、
決めどころの肝、だったりする。
又、音楽も担当の岩瀬氏、
思いきりな、かつら女優?芝居には、吹き出した。
さて、これからどこまでゆくのか、この2人・・・?
今後がいよいよ、楽しみだ。
映画を見事に締めたのは、
皆様よくご存知の、自主女優・星野佳世。
真面目なシーンでも引き締めるが、
駄洒落のごとき?ラストには、場内、大ウケ。
あれは一体、どんな映画を、撮っていたんだろう・・・!?
できれば最初から、通しで観たかったのだが、
上映終了時には大分、気分は晴れ晴れとなっていた。
やっぱり、寄ってみて、よかった。
おなじみの、メンバーのみならず、
初対面の人や、お音楽関係者?も合流して、
例の改装した会場での、打ち上げ呑み会は、
すこぶる、楽しいものと、なったのだった・・・。
以上。
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- 2008/11/26(水) 22:53:59|
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