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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

夏・水没物語

順之助の、夏休み日記。


この夏は、封切り映画をたてつづけに、観そびれている・・・。

比較的最近では、

タナダユキ監督の「百万円と苦虫女」、
宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」、
河崎実監督の「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」

・・・の3本を、観れた位。


「百万円と苦虫女」は、PFF期間中の土曜に、
入りが男女半々、20人位の、渋谷のレイトショーで観たが。
小生的には・・・申し訳ない、だめだった。
途中から、乗りそこねた。

家でも、引越し先でも、居場所の無さを自覚しつつ、
自活のためにと、ひたすら貯金する、主人公には、
<裏返しの車寅次郎>みたいなキャラ立ちと、
それなりの生活的リアルさがほの見えて、まあまあ、面白い。

地方の海の家にも、田舎の桃畑にも、郊外の町の花屋にも、
いろいろなアルバイトのクチがあって、
しかし彼女自身は、どこでも余所者ゆえのつらさを、味わうことになる・・・。

それでほんとに、百万もたまるの?という疑問はあるが、
そこらについては、思ったほどには、説明されていない。
映画の本筋は、主人公の自ら選んだ、さすらい生活と、
そこから来る、周囲とのディスコミニケーション模様に、ある。

ナンパする海の純情青年、桃畑の内気な息子、無心をする大学生など、
相手役の男性達も、結構、いいやつらだったりする。
まさに、逆寅さん的世界。

清純派ではない?蒼井優を観るのも、一興、ではある。
他の女優(誰とはいわないが・・・の声)だったら、
下手をすれば、ひどくイヤミになりかねない役を、
程よい湯加減に、和らげてくれている。

ラストシーンも、過去の洋画・邦画には、よくあったパターンで、
まあ、ありそうなことだ、位には思える。

だが・・・

それらの部分的好感度を、ことごとくぶちこわしにしたのが、
主人公の弟が、どぎつくいじめられる、いや~なシーン群。
こちらが忘れかけた頃に、いきなり挿入され、
たびたび、不快な思いをさせられる。

折角起きかけた、旅情気分を、台無しにしており、
気分がどんより、深海魚、沈没してしまった・・・。(注1)
熱すぎる湯加減。やりすぎ。
ああ、あれさえ、やらなけりゃ・・・!

あのエピソ-ドは、最終話の、手紙を読む部分に、
短くまとめて、朗読の音声のみ重ねる位が、丁度いいと思う・・・。
ダイレクトかつ頻繁にやられたら、つらいだけだ・・・。

はるか以前、BOX東中野で、
世界一周旅行の気分を、
主役達の喧嘩がぶちこわしてくれた、
ひどい映画を、観てしまったことがる。
あのときの、いや~な気分が、よみがえってきた。

タナダ監督、
リアル生活的描写と、
現状脱出願望の話がやりたいのは、
もう、よく、わかったから。

次はもっと、他人が観て、
気分が晴れそうなものを、やってください・・・!
少なくとも「モル」や「タカダワタル的」、「赤い文化住宅の初子」には、
それがもう少し、あったはず、だから。


「崖の上のポニョ」と「ギララの逆襲・・・」は、夏休み中に、
新宿に出来立ての複合映画館で、あいついで鑑賞した。

当日券を1800円で買うか、前売り券を入場券に引き換えておき、
ロビーで、アナウンスを待つ。

椅子が少ないのと、
海外映画スター達の、高額な値札の付いた肖像画展示が、気になった。
あれは一体、誰が、買うんだろう?

それと、パリス・ヒルトンの肖像画もあったが、
彼女は<映画スター>なのだろうか?
セレブなのは、わかるけど・・・。
ここに出資でも、してるのか?

上映10分前に、入場アナウンスがあって、
入り口からエスカレーターに、複数回乗るのだが、
当日券のミシン目を切らないのは、珍しい。なぜだろう?


さて、「崖の上のポニョ」は、
昼間から、ファミリー層中心で、
ほぼ、満席に近い入り。

事前情報等では、大人は訳がわからなくてキョトン、
子供は主題歌大合唱、なんて噂も、聞こえてきていたが。
なんだ、すごくわかりやすい、普通の童話絵本じゃないか!と。
これなら、そんな光景も十分、ありうるだろう。
ここ新宿では、割と皆、静かに観ていたが、
十分、楽しんでいる様子。


何というのか、これは・・・
子どもの、スペクタクル・ファンタジー・アニメ。
明るく能天気な「日本沈没」、とでも、いうべきか?

神経質で心配性な、海底の父親と、
ぶつぶつ文句ばかり言っている、
トキばあ様(目立つ)を例外とすれば、
出てくるキャラクター達は、概ね、
ひたすら陽気で、前向きで、活動的。

あれだけの、スペクタクルな状況下なのにもかかわらず、
皆、あまり、動じていない印象なのだ。
その楽天的なありようには、
見ているこちらもつい、笑みがこぼれてくる。

少年の母親など、まるで、探検家向きのキャラで、
インディ・ジョーンズ張りの、カーアクションぶり。
普通、嵐の中なら、海岸線で、
あんな無茶な運転は、まず、しないだろう・・・!
(完全に、「ルパン3世」の走り、だな・・・の声)

しかも、金魚や人物、海の水などの、
くにゃくにゃした動きと渦巻きが、
すこぶるユーモラスで、じつに面白く観れる。

少年や金魚少女、幼児や赤ちゃんの、
ぷにょぷにょした動き方など、
さすがによく観察していて、
ちゃんと描かれているのには、感心する。

自然環境うんぬんの、メッセージ性も、
若干、垣間見えるものの、
それらはアニメ映画自体の、
躍動感をともなった動きの面白さを、
妨げる程には、しつこくはない。
あれは、あまりくどすぎると、
素直に観る楽しみを、減じる可能性も、あるものなのだ。

そういった理屈抜きで、無心になって、
大波・水没?のスペクタクル性と、
地上と水中の、奇妙な風景融合、
ユーモラスな変身譚、
ほら話的ファンタジー等の、広がってゆく様を、
たっぷり楽しめば、よいのだ。

それらの混沌、融合の光景を前にしては、
細かい状況説明や、メッセージの持つ、
<意味>などというものは、
実際、何ほどのものでも、なくなっている・・・。
ユーモラスな主役キャラの、存在感とあいまって、
大人よりも子どもに、親しみと人気が出るのは、当然だろう。


それと、あのエンディングと、
スタッフ・ロールのキメ方。

関わった人には、
名前が出ているのが、嬉しいものだろうが、
観客側から見ると、
やたらに長ったらしいのが、定番の当節、
この処理の仕方は、お見事。
こういうやり方も、あり、なのだ。
みんな、少しは見習えよ!と。


さて、北海道より公開が遅れ、
ようやっと、東京公開を観れた、「ギララの逆襲・・・」。

「日本以外全部沈没」の河崎監督が、
松竹映画唯一の怪獣・ギララを、平成の世に引っ張り出し、
洞爺湖サミットを襲わせる、という、とんでもない企画。

昭和のアナログ特撮映画群の、描写特徴を踏まえつつ、
東宝ゴジラ映画さながらの、防衛隊による退治作戦を、パロりながら、
G8の政治家達をも、パロっておちょくる、という、
ジャーナリスティックな興味をも狙った、
相当、むちゃくちゃ、かつ欲張りな企画だ。

東スポ協力、というのがまた、いかにもで。
なにしろ、ビートたけし客員編集長が、いるもんな!
でなきゃ、あんなとんでもないダンスは、出ないよ。

だが、出来た映画を観ると、
肝心の、笑いのほうが・・・?
どうも、あまり、弾けない・・・。
期待が、少し大きすぎたか?と。

あれだけの豪華?業界メンバー出演者と、
凝りに凝りまくった、SF的設定と、パロディーの筋を用意しながら、
出来上がったもののギャグは、脱力感いっぱい・・・。
「おれたちひょうきん族」の"タケちゃんマン7"位、というのは・・・ゆるい。

いや、筋に関しては、前のギララより格段に、
SF映画としては、B級なりに?よく出来ている。
(ほめ言葉としては、変か?の声も・・・)
特撮映画通好みの、細かい昭和テイスト描写とキャスティングも、
懐かしさが、こみあげてくる。
(夏木陽介と井上純一って、青春ドラマじゃん!の声)
だが・・・

各国政治家同士の、いかにもなプライド合戦、
いきあたりばったりの、怪獣退治作戦、
前作同様?の、怪人物登場などが、
ナンセンスと皮肉の、笑いを生むはずなのに、
笑いの手が片っ端から、
ことごとく、すべっているのだ・・・。

それを、TVアニメの「天才バカボン」あたりでやれば・・・
という、このもどかしさ。
なんて、もったいない・・・。
70~80年代だったら、もっと、ドッ、とウケただろうに・・・!
と、くやしがった。

撮影時期の関係からだろう、
日本首脳役で、<あの人>が出ないのが、ちょっと残念。
「君ら、ウタX君よりも、稼いだんだろうねえ・・・」
位の皮肉は、言いそうなんだが。

でも、<そるこじ>大統領は、報道イメージそっくり。
こいつだけ、周囲より生き生きしてて、ちょっと笑えるな~。


ああ、河崎監督の手腕をもってしても、
かくもパロディー映画は、難しいもの・・・。
しかし、又、挑戦してほしい。

なお、主演女優が、
コメディアン的動作を強いられているのは、
まあ、わかりやすくて面白いが、
同時にちょっと、お気の毒?でもあった・・・。


以上。










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  1. 2008/08/13(水) 11:36:51|
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