半兵衛の、日記。
15日、日曜。
土曜に続き、晴れ。
日中、少し暑い。
午前11時頃より、一日中、下北沢に居た。
特に・・・この日までで実質、閉館になる、
シネマアートン下北沢に、長居。
表には、さよなら&再開希望・応援メッセージ用の、大きな紙が張られていた。
後で小生も、一筆、入れさせていただいた。
ここが、中途半端な形で閉じるなど、到底、承服しがたかった。
夕方5時頃まで、各団体トークを含めて、
<オカシネマ>同様、自主上映可能なプログラムのみを、行なっていた。
自主的シティマラソンのようだが、
夕方までなら、体力は何とか、もつだろう。
まず、11時より、 当日券1800円で、
<天野天街監督・全映像作品上映>第一部・追加上映。
短編集:4本。
「オレンジ」は、子供天使?役の頭部が、
いろんな方向から、ほいほい現れるのが、ちょっと面白い。
逆さ撮り、あるいは吊りか?
「百二十秒伝」は、昭和の兄弟?の伝記が、
でたらめな編集つなぎで、でっちあげられるのが楽しい。
かなり、笑えた。
「ペダル」と「チカチカ」は、いわゆるPV調。
歌詞や一部擬音が、文字化するので、軽くユーモラス。
中篇:「トワイライツ」。
オール・フィルム撮影のファンタジー映画、「トワイライツ」では、
地方の古き町並みと、漁村らしき海岸を背景に、
一人の少年(女優が演じている)が、幽霊となり、
自分の急死を、納得するまでを、
ほとんどサイレント・ムービー調で、描きあげている。
人物や棺桶、帽子等がちょこまかと動き、
画面上を駆け回る手法、その集大成。
少年が歩き回るすぐ後ろに、麦わら帽子が次々と、並んでゆく。
まるで、アニメのよう。
おそらく逆回し撮りなのだろうが、丁寧なものである。
ラスト近く、すべての演技と撮影を、
エキストラも小道具も、なにもかもノンストップ、一続きで処理してしまう、
その工夫と見事さに、心揺さぶられるものがあった。
同時に、さまざまなる8ミリ・16ミリ映画の、
いろいろなシーンを、回想させられて、懐かしさを感じる。
13時少し前、第一部終了。
いったん外に出て、軽い昼食す。
14時より第二部、
特別追加上映、1800円。
この回、超満員、補助席が出た。
坪川拓史監督、「美的天然」。
スクリーンに写るは、年代ものの、映画館。
いかにも昭和初期風な観客一同が、拍手。
楽士達が演奏し、弁士が熱く語る。
サイレント・悲恋ムービーの、始まり・・・。
あ、もうちょっと見せて、と思う間もなく、
シネマ・シーンは、中断。
場面転換、緑色がかった、モノクロに近い画面に。
現代の町の、喫茶店やバーの常連客、
母子や、尋ねてきた老人らの、
ゆったりゆったりした、対話シーンが、延々とつづく。
娘が老人に薦められて、
苦手な自転車に、乗れるようになるまでの話、など。
ン・・・?といぶかしげに眺めているうちに、
今度はフルカラーで、
昭和の映画館の、外の世界に、転換。
屋外で移動中の楽隊や、
映写技師、フィルム運び人達のミニドラマが。
ここにいたってようやく、先ほどの老人の一人が、
若き日の、この映画館青年の一人らしい、とわかってくる。
先程のメロ・シネマの後半も、ようやく観れる。
さらに、浜辺での、にわか緞帳と客席が現れ、楽士達が揃って、演奏・・・。
メロ・シネマ前半の後、
ここに至るまでの過程が、ゆっくりすぎて、
テンポがややだるいのが、難点だった。
しかし、衣装等、レトロな雰囲気はよく出ているし、
キャスティングについては、かなり豪華かも・・・?と。
上映終了、直後より、
映画に出演していた、7人組楽団中の5人(監督を含む)が、
上海バンスキング?よろしく、正面舞台で生演奏。
いや、もう、十分すぎる程の、サービス精神なり・・・。
第三部、当映画館ゆかりの、人々による、事情説明&トーク。
居残りで、無料。20数名、残っていた。
大体、P-kraft等、数箇所の関連サイト等にて、
前もって、伺っていた通りの、状況で・・・。
ほんとうに、ナンセンスの極みな上での、
まことにあわただしい、閉館である・・・。
きょうで閉館、というのをここに来るまで知らなかった人も、かなり居た。
一部で、「行政は知ってるのか?」等の問いも。
少なくともあの場においては、おそらく、皆、誰しもが、
その閉館を惜しみ、
できれば再開してほしい!と、願っているのだった。
小生もまた、これはあくまでも、
一時的休館、と、思いたいのだ・・・。
17時、昼の部のイベント・メンバーズ、撤収。
時は、若干空いて・・・。
夜20時半より、
ひょっとしたら、最後の?商業系公開作品、レイトショー。
世志男監督、「四畳半革命 白夜に死す」。
この日は、夜の部にて、2回の上映が行なわれた。
本来ならば、当館にてロングラン上映される予定だった、新作。
当然、こちらも超満員に近くなる。
理屈と理想と集団行動、学生運動盛えたる、
かつての時代の、青春物語。
それを、今の青年達が、いきいきと演じて、撮っているのだが、
今の人達にも、基本的状況が、
比較的にわかりやすい、ドラマになっている。
脚本が、テーマをコンパクトに、よくまとめているためだろう。
凶器に拳、の武闘派青年が主人公。
理屈はいい、とにかく、ただ、暴れたい、という、
若さゆえの、暴走・・・。
彼の暴力を、買っているのが、
大学構内で学生運動中、有力集団の長髪リーダー青年。
暴力をなくすためには、暴力を・・・という、矛盾を自ら抱えつつ、
中間達に組織リーダーとしての、冷徹なる指示を与える。
そのリーダーに惹かれ、交わりつつも、
暴力行使には疑問を抱き、
生真面目さと反発心を、あらわにする、
眼鏡の、女子学生メンバー。
常に自己矛盾に悩む姿がいじらしく、また、恐くもある・・・。
ある物を、たたくフリをするシーンなど、ユニークな表現。
この状況下で、武闘派青年が、
ある事件から、潜行せざるを得なくなり、
かくまわれた、とある無学少女と、
その親代わりのマダムの元に、隠れ住むことになる。
そこで思い知った、己の世間知らずな有様、
革命の理想と、現実的生活との、大きなギャップ・・・。
やがて、彼の中に、
大きな心情の変化が起きるのだが、
その結果としての、ある行動は、
リーダーや眼鏡女子学生との、
決別の日が来る事を、意味していた・・・。
ショーケン・ドラマの描く、白茶けた心情にも繋がりうる、
挫折の美学、ともいうべき、青春哀話。
加わった者も、傍観していた者も・・・・
あの世界を生き延びた人々は、
あれからの人生、果たして、どうなったのだろう・・・?
という思いを、馳せたくなる、
ラストに、ちと涙が・・・。
もう少しだけ、映画館ゆかりの、皆さんすべてと、
共に夜通しででも、語らいたい所なれど、
こちらにも、明日よりの生活が、ある・・・・。
後ろ髪を引かれる思いで、
シネマアートン下北沢を、一人ひっそりと、去るのだった。
ここに又、皆と集う日は、来るのだろうか・・・?
以上。
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- 2008/06/16(月) 00:20:55|
- インディーズムービー
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