主水日記。
森田芳光監督の、リメイク版「椿三十郎」、
公開終了寸前にようやく、観れた。
都心部の劇場には、平日ながらも、
老若男女、40人くらい、入っていた。
で・・・難聴者向けに、字幕入り版なので、最初は少し戸惑ったが。
じきに、気にならなくなった。
むしろ、クロサワ版を観たときに、聞き取りにくかった、
一部時代劇用語が、とっつきやすくなって、助かってしまった。
後の筋は、白黒版のを大体覚えているので、追うのは気が楽だった。
全般的な出来は、なかなか良かった。
カラーにした意味は、庭のシーンで、十分に出ているし。
ただしラストの、アレを除いては、という条件付きだが・・・。
ノスタルジー交じりで、
おお、やっとるやっとる、とばかりに、眺めてきた小生は、
そこのアレで、がっくり、となってしまった。
織田裕二の三十郎、力んで、若干固い感じもあるが、
ぶっきらぼうに振舞いつつ、リーダーシップを執る姿が、
なかなか好ましく、ちゃんと、様になっている。
三船敏郎の堂々とした印象よりは、
調子のよさと機転のまわり様、血生臭さを嫌うキャラなどが、前に出ていた。
周囲の若侍達のわいわいやってる様子や、敵方の侍の大集団ぶりも、
大手の時代劇らしきにぎわいを見せていて、いい。
家老一家のキャステイング、まるっこい感じが結構、合っていたし。
押入れの男の役など、ドンピシャで、
OL層には特に、ウケていたのが、ほほえましい。
さて・・・
おそらく、多くのクロサワ映画ファン、特に男性層が、怒るであろう?!シーンは、
あの、ラストのアレ・・・だろうな、と。
いや、あのね・・・
前のと、まるっきり同じでなくても、
すごいインパクトが、無かったとしても
それなりに、作劇上の解釈で、納得できる演出だったら、いいんだよ。
前の時のアレだと、織田ファンの女性層は、引いてしまうかもしれないし。
ただ、あのつなぎ方だと、
少しばかり、くどい印象、というか。
凡庸に、見えてしまうんだな。
もうちっとばかり、緊張感から、一瞬の技が、
ピシッと決まった、という印象で、締めてほしかった・・・と。
単に無難な、完全リメークをするよりは、
たとえ壮烈な失敗?と見られても、大胆な挑戦をしているほうが、
それはそれなりに、見ごたえはあるものだが。
あの終幕の、描き様がために、
クライマックスを、やや欠いた感は、やはり否めない。
そこが、惜しい。
何か他の、新しいキメ方は、無かったものか?
しかし、とりあえず、
大掛かりな名作時代劇を、思い切って作った事自体は、
大いに、評価すべきだろうな、と。
以上。
スポンサーサイト
- 2008/01/17(木) 23:50:29|
- 劇場用映画
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0