夢次の、日記。
11月15日(金)、夜21時半前より、
渋谷シネマ・ラ・セット。
やっと、観れた・・・。
増田俊樹監督、「トウキョウ 守護天使」。
いわゆるグラビアアイドルから、更なる転身を指向している、
そういう、知る人ぞ知る?人物が、女優で登場・・・。
観る前は、そういう、チラシにある程度の情報しか、無かった。
時間を売る話?一体、どういう商売なんだ・・・?
推薦者達も、なかなか、癖のありそうな人達が、多い模様で・・・。
もしや、小生のごとき俗人市民(?)には真意を計りかねる、
松竹ヌーヴェルバーグや、一部ATG系列の、
相当に観念的で、難解な内容の映画なのでは?
と、案じて、身構えていたのだが、
DV撮影の映画が進むにつれ、
じきに、そんな心配はまったく無用、と判った。
一時は死を覚悟しかけた上京女性と、
彼女を呼び止めた、カフェのマスター。
前任のカフェ手伝い女性に、
いかにも一癖ありそうな、常連客達。
この導入部が、わかりやすい。
セピア色の作品世界に、すっ、と入れる。
そのまま、最初の女性の視点で筋が運ぶか?と思いきや、
そこへ、途中より、急にキャメラの視点が、
あやしげな組織集団の内部へと、移動する。
そこで一時、戸惑わされるも、
次第に、その組織の上下関係や、
いかにも典型的悪役風な、幹部の画策言動、
その主導権をめぐる内部争い、
若年メンバー男女の、支部計画・・・
などの構図が示され、
設定といきさつが、徐々に、明らかになってゆく。
ドラマの展開は次第に、
マスターの言動を、ヒロインが追う、という、
わかりやすい形に、なってくる。
<時間の売買>契約をつかさどっているらしい、
謎の人物達の対立・対峙が、
これらの人々の運命に、からまってくる。
やがて各人には、
悲劇、皮肉、涙、
あるいは、ささやかなる歓喜が、訪れる・・・。
言ってみれば・・・
藤子不二雄漫画の「笑うせぇるすまん」に、
ハード・ボイルド・ヒーロー風の、渋く格好いい男性、<砂時計>と、
「電王」のカイ、
ないしは「デロリンマン」の<オロカマン>のごとき皮肉屋、
<時間泥棒>男を投入した、
黒い台詞と皮肉と、
人間くさい哀歓のドラマを含みもった、
なかなかに、味わい深き作品であった。
ところどころで急に画面がゆがみ、小さな渦を巻くあたりなど、
そうした奇談のイメージ強化には、ぴったりだろう。
又、シーンつなぎの画面処理が、
物語に、段落と、小気味よいテンポを作っている。
すっ、と分割されたり、回転チェンジしたり、
ガチャン、と割れたりと、歯切れよい。
カフェのバイトに入った女性が、
急に、生い立ちの走馬灯(?)を見る辺りなど、
小さいながらも、サスペンスに満ちている。
彼女が、マスターを追って駆けつつ、
コートを着込む一連のシーンなど、
駆けつつ羽織る、という技を繰り出せば、
もっとテンポが、よくなりそうだ。
3人の主要ヒロインについていえば、
カフェマスターを追う、1人目のヒロインは、
とにかく、よく走り回っている。
上京した都会で孤独にさいなまれ、
生きるべきか、死ぬべきか、と悩むヒロイン。
ぼそっとしゃべりつつ見せる、物憂げな表情。
そしてマスターに心を打ち明ける時の、涙に震えた表情が、
ある種ふっ切れたような、すがすがしい印象を残す。
2人目の「カナダ、カナダ!」の娘は、あっけらかんとして明るく、
一服の清涼剤になっていて、まずまず、好ましい。
後半での言動も、理屈を超えて、なんとなく納得がいく。
3人目の、組織の女は、ひたすら暗く、
リーダーや彼氏を案じては、おびえている。
泣き顔のアップがたまらなく、何とも、切ない・・・。
上映後、
増田監督、主演女優・神楽坂恵女史、<仕掛け人>氏らによる、
トークショー。
雑誌・プレス関係者も含めた、50人程の入場者を前に、
完全なる記者会見状態、
明るくにぎにぎしい、公開インタビューの場となっていた。
女優女史の今後に関しては、
マイナーな中で活躍し、たまにはメジャーにも登板、
という活動スタイルが好ましい、と一同。
それ位のバランスが、おそらく、ちょうどよろしいのだろう。
そういう理想的な位置を保ち続けるのは、
なかなか、大変だろうが・・・健闘を祈る。
世間への積極的PR作戦、話題性、大いに効果があった模様。
このPR力とバイタリティー、さすが、である。
より多くの映画制作者・関係者が、まずは、見習うべき事だろう・・・
と、感心するのだった。
以上。
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- 2007/11/16(金) 01:26:15|
- 劇場用映画
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