fc2ブログ

シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

水か時計か猟銃か

秀の、日記。


10/25、木曜夜、21時15分。
渋谷、シネヴェーラと同一建物内の2階、
Q・AXシネマ。
ENBUゼミ、季節の恒例、<ドロップ・シネマ・パーティー>。



この日のレイトショー発表会は・・・
Cプロ舞台挨拶の進行が、いささか、ばたばたしてはいたが、
概ね、初々しくも明るい声に満ち、微笑ましき光景であった。

勘が働いたというか、観てみて、当たり、であった。

この夜は、
Cプロより1作、亀井亨監督、「砂時計の底は底ではない」。
Aプロより1作、多胡真二郎監督、「家畜」。


「砂時計の底は底ではない」(高橋悠・脚本、映像俳優コース生徒出演)は・・・、

坂の階段を上る、20代くらいの男女達登場から始まる。
皆、葬式服。

同窓会を準備していた、中学時代の先生が、急に孤独死。
一日コースの予約がそのまま、火葬場行きのお弔いになったのだ。
狭い扉からエレベーターへ、棺を担ぎ出すのに一苦労する、同窓生一同。
彼等の故郷の中学は、すでにダム湖の底に、水没しているらしい。

火葬場へのバスを待ちつつ、
皆が普通にわいわい、思い出話に花を咲かせていたところまでは、
セミ・ドキュメンタリー・タッチのにぎやか対話劇が続く。

そこへ、
遅れてきた同窓生の眼鏡青年が、
猟銃を取り出して構え、いきなり、発砲。
急に、妙な要求を言い始めた・・・!
「この1日を、僕に、ください・・・!」
かくて、バスの旅は突然、とんだバスジャック紀行となる・・・。

以後の展開を、
うつむき加減の、記憶力にたけた眼鏡青年が引っ張り、まずまず好演。
元クラスメート達が、
「そんなに細かく覚えてないよ」
「だんだん、忘れていくもんだろうな・・・」
などとぼやきつつ、
元<級長>らを中心に、にわかに行動が、
かつてのクラス単位の、<学級活動>化してゆく様が、面白い。

かつて土下座させられた、教師の亡骸を土下座させ、
お別れ記念サイン?をし始めるシーンも。
(よほど皆、いやな叱られ方、されてたんだなあ・・・の声)

道中で主犯が、昔の女性教育実習生に告白に行き、
当人が居ないのに、皆は逃げもせずに、
ああでもない、こうでもないと議論しているシーンなど、
随所がブラックな可笑しさに、覆われている。

ラストが、なんとも、ほっとさせられる。
くねくねした道は、キアロスタミ映画を思い出させる。
(木枯らし紋次郎も?の声・・・)
人間的集団であるがゆえに、泣かせるものがある、好編。


一方、「家畜」は・・・
湿っぽさを大幅に省いた、ドライな世界。

人里はなれた高級別荘、資産家夫婦が、晩餐会の時間を待っている。
そこへ、猟銃を持った、無言の不気味な覆面人物(男?)が侵入する。
(またかよ!の声・・・)

晩餐会の招待客たる男女達が、次々とやってきては、彼に捕まり、
テーブルと椅子の用意された、殺風景な地下室内に、監禁される。
姿こそ見せないが、
料理長や、後から来た来客が、撃たれたり・・・している。
金で片をつけようと、交渉に行った人物も、又・・・。

かくて、6~7人程が中に閉じ込められ、
覆面男は終始無言で、
朝は、目覚まし時計のバラバラな部品と、
夕方5時には、水入りペットボトルとパンを、届けにくるのみ。
相手は銃を持ったまま、定時にやってくる・・・。

このままではラチがあかないと、
やむを得ず、一同がテーブルで始めたことは・・・
時計の組立て作業。
組みあがった時計は、猟銃男が持ってゆく。

やがて、一同の間に、自然と分業制が敷かれ、
得意分野がはっきりしてくるにつれ、
次第に分担異動や、水と食糧の分け方等をめぐり、
人間関係にこじれが起き始める。

相互に抗議や喧嘩やいがみ合い、調整作業などが頻発、
果ては、ギャンブルまでが始まるのだった・・・。

ようやく、猟銃男の姿が、一同の前から消えたとき、
すべては終わったかに見えたが・・・。

本質的に、舞台でできる話。
閉所内での言い争い、<生活>のためのシビアなやりとりが続くので、
実際、ところどころで、かなり息苦しい。
悲嘆にくれる貴婦人の叫び声など、マジで、コワい・・・。

後半は気分が、なんとも寒々としてくる。
硬質な、人間社会の縮図を、見せ付けられた印象、なり。



以上。





[水か時計か猟銃か]の続きを読む
スポンサーサイト



  1. 2007/10/26(金) 19:02:21|
  2. インディーズムービー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

プロフィール

アWorker

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する