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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

主水、筋書きの解体を観る

主水日記。


その後・・・。
17日(火)の夕方、仕事を済ませて後、
18時過ぎ頃より、
PFFアワード・Aプロ(16時45分より開始)2本立てへ、途中入場。

1本目「青い猿」(107分の長編)のみ、終盤30分程しか観れず。
無念、DVD待ちでも、するより無し・・・。

2本目「深海から来る音」は、20分の短篇だが、意外におもしろい。

冒頭の銃撃シーンからして、画面が暗くて人物が判別しにくく、
何とも、意味不明な風。
それに続いて、エレキギター・バンドの青年やバッグパッカー達が、
秋の山道や農道、磯釣り海岸などを往来し、車を転がしつつ、
東京で起きているらしい暴動の噂話をする。

だが、怪しい赤仮面達やら、
宇宙生物?やらが出没こそするものの、
暴動自体の原因やら、首謀者やらは、
具体的<解説者>がいっこうに現れないため、
さっぱりわからないまま、
すべてが成り行き任せに、進行する。
そこが、むしろ謎めいた空気を作っていて、おもしろい。

実相寺昭雄シネマのごとき、陰影を含んだ画面や、生物造形が、
時折入る風音、ギター音、台詞等とあいまって、
不思議な、奇妙な味わいを、醸し出している。
「ウルトラQ」「怪奇大作戦」あたりの、雰囲気。
終わり方が唐突すぎて、ちょっと、あっけにとられたが。

なお、この作品、先に脚本抜きでシーンを撮っておき、
後から筋をまとめて、シーンをつなぎ、
音声はアテレコで入れた、と監督&スタッフがトークで証言。
今時、ちょっとした贅沢?な作り方かも・・・。


その夜、19時45分以降は、
諏訪敦彦監督の、映像付き無料映画講座。

かつてのPFF出品作、
フィルム自主映画「はなされるGANG」の、DVD化記念上映。
もろに、ゴダールの「ピエロ・ル・フ(気狂いピエロ)」の影響下にある、
にわかギャング男女の逃亡劇。
ダブル・ナレーションや、銃声の使い方など、そっくりである。

最初に、主演の2人が、そのストーリらしきものを朗読・説明するが、
両者の説明、どこがが少しずつ、ずれている。
一部、チャップリンの真似?らしき軽いドタバタシーン入り。

浅草ロケ(松竹の封切が「迷走地図」!)中心の劇中も、
なぜか、物語の合間に、
よく似ているが、少しずつ状況を違えた逃亡シーンがあったり、
撮影中の俳優達とスタッフがくつろぐ記録シーンが入っていたり。
登場人物たちの間でも、互いの状況認識のズレについて、
ディスカッションしていたり・・・
と、万事がこの調子。

撮影当時は、何をどう撮ればいいのか、
わからなくなりかけていたので、
物語を一度<解体>してみた、
と、監督は語っていた。

山本政志監督の助監督時代は、
「闇のカーニバル」で足蹴にされる牛乳配達人役も、やっていたそうである・・・。
(あのシーンは昔、怒ったんだよな・・・の声)

現実に負けるな、もっとリアルに、を合言葉にしていたアメリカン・ニューシネマ路線から、
群集劇の得意なロバート・アルトマン、
さらには映画内パターンの<解体>を試みたゴダールへ、と、
もっぱらアメリカやフランスの洋画方面から、
多くの影響を受け続けてきた、という、
70~80年代の、映画体験談トークだった。

いまだに、劇映画でも脚本は書かずに、
紙に書いたゆるい状況設定だけを見せて、
俳優達に演技してもらう、のだそうだ・・・。
ちょっと、驚く。

シナリオをがっちり、固めてから撮影に入るのが当たり前の世界で、
そんな撮り方をする映画監督も、いるんだなあ・・・。
だれにでも可能な事では、ないだろうけれども。
きわめて珍しい、タイプなり。


以上。







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  1. 2007/07/18(水) 02:08:28|
  2. インディーズムービー
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