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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

天の、岩戸・・・

秀の、ぼやき。


今日はあんまり、外へ出たい気にならないな、
ちょっとかったるいな・・という日が、小生でも時折は、ある。
しかし、そんな小生でもさすがに、
7日間以上(5年!?)も部屋にひきこもって、
その生活を有料ネットで中継、なんて気には、とてもなれない。

ポレポレ東中野でレイトショー公開中の、
亀井亨監督の新作、
「テレビばかり見ていると馬鹿になる」(長いタイトル・・の声)は、
そんな天の岩戸暮らしを、実行に移してしまったヒロインが主人公。
「極めてかもしだ」「ありがとう」他の漫画家・山本直樹原作、
漫画短篇の映画化。

前々回、1本観た劇場用映画とは、これの事なり。
土曜のレイトショーで上映後、別な監督とのゲストトーク付きなので、
客席は原作のファンらしい20・30代男女で、八割方、埋まっていた。

実質的出演者、ヒロインを含めて4~5名程度。
映画というより、一幕の小舞台芝居に、近い内容。
原作自体が、そういうものらしい。

カメラの点検に来る青年との、ものうげな対話。
外へ出てみたら?と誘いにくる、謎の訪問者。
なぜ、外へ出る必要があるの?などと軽くいなしては、
理屈をつけて、まったく外へ出ようともしない、ヒロイン。

是非問答の最中に、もう一人の訪問者が来て・・・
というだけの、いたってシンプルな問答劇。

終盤を除くと、キャメラは殆ど、
舞台たる部屋から一歩も、外へ出ない。

そこまでなら、ロ-・バジェット映画にも同種が沢山あるのだが。
なにしろ、これは相米慎二監督の映画か?とみまがう程に、
なかなか、カットを割らない。

レール付きキャメラ撮影らしき、
ささやかな横移動等はたまにあるものの、
DVで、ずうーっと、一続きの撮影のまま、芝居が続いている。
これは、出演者には相当、しんどい撮影だろう。

時折、そのスローに耐えかねてか?
突如、ビデオ鑑賞時のごとく、
上映中の画面が早廻しになったりもするが、
レンタルする会社の<要望>なのだろうか?
無論、映写機の故障などでは、ない。
(その手の上映トラブルも、随分、語ってきたよなあ・・・の声)

したがって、客席で観るほうも、自分で早回しは出来るわけも無く、
ヒロインや訪問者達の一挙一動を、
じーっと、見つめ続けることを強要させられるわけで、
やっぱり、しんどいといえばしんどい、のだが。

外へ出る、出ない、というだけの反復問答、
たまに訪問者が出入りし、
PCをいじり、窓や扉を開閉し、
ヒロインと1対1で間の空いた対話をし、
当人は昼寝し、着替え、飲食し、ジャンケンするだけ・・・
という展開のうちに、
彼等の細かい動作、それ自体の魅力が、徐々に浮き立ってくる。

そんな画面の中で、このヒロインの隠れた本心、孤独感が、展開とともに、表へとさらけ出され、
終盤の、ある行動へ向かって、その心が解かされてゆく。

そうした動作観察、心理観察こそが、
ヒロインの脱ぎシーン自体よりも、すこぶる刺激的であり、
撮りっぱなしのキャメラが、
ユニークな心理ドラマとしての効果を、おおいに上げている。

派手な展開など何も無い、スローモーな展開の中で、
すれすれ保持される、ある種の緊張感が、
この映画を劇場で観る意味を、たしかに、形成している・・・。
亀井監督、確信犯とみた。

やっぱり一度、早回しできない劇場で観ておいたほうが、
より味わいが出る作品、なり。
最近ひっこもりがちな人も、せっかちな人も、
禅寺に行ったつもりで、
ちょっと、観にいってみてはどうか?と。


以上。





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  1. 2007/06/24(日) 13:53:10|
  2. 劇場用映画
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