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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

非凡の、座礁・・・

竜の、つぶやき。


アート・デザイン、グラフィックとしては、
すこぶる・・・おもしろい。
よくこんな妙でフシギな絵を、デザインできるのものだなあ、と。

だが、パロディ・コメディー映画としては・・・・
どうも、いまいち、笑いがとれない。
ほとんどのネタが、一歩手前で、壮烈に空振りしている。
なぜなんだろう?

松本人志監督の意欲作「大日本人」は、
そういう、なんとも奇妙奇天烈な、アンバランスな怪作、だった。
ひどいんだけど、同時に、おもしろくもあるという・・・。

これは、言ってしまえば、
かつてのシュールな、TV版「ごっつええ感じ」路線の、
THE MOVIE、スペシャル版。

「ウルトラマン」に代表される、ヒーローVS怪獣バトルの設定を、
細かく突っ込みまくり、
もっと日常生活者臭さ、うさんくささ、いかがわしさの要素を注入して、
セミ・ドキュメンタリー・タッチとTVバラエティーの感覚を交えて、
<大道具>たっぷりに描く、SFパロディー。

CGアートと、実写セット表現(ギャップがすごい・・・)入りで、
旧「ガロ」系漫画家か、サルバトール・ダリが描きそうなタッチの、
グロでヒワイで、奇怪なモンスター・デザインと、
関西売れっ子系のタレントら、有名人達の貌(かお)と声を投入しまくって、
街角のあんちゃん喧嘩流バトルと、漫才口調を展開したもの・・・なのだった。

某ハヌマーン映画そこのけの、かなりザンコクなパロ。
初期の「キン肉マン」・スグルみたいにも、見える。
不人気ヒーロー役ゆえの、つらさ。
哀愁すら、漂う。

それでも、パロディなりに、ちゃんと笑わせてくれれば、
文句は無いのだが・・・。

う~ん、全体で3、4度、笑っただけだった。
おかしいことを、やっているのはわかるんだが、
笑いがどうにも、はじけてくれない。もどかしい。
序盤から画面の動きが、ややもたついて、
もたれた風に、なってしまった。
ワンシーン、ワンシーンも、もう少し短めにしたほうが、いいのでは?

30人前後いた、周囲の20代男女層のウケも、
いまひとつ・・・だった。
何、これ?よくわからない、という様子。

カンヌのお披露目でも、反応があまりよくなかったそうだが。
あちらの人々は元々、
ウルトラマン・タイプのこういうヒーローは、
なじみが無いのではないか?

うーん、関西では、もっと男の子とかに、受けそうなんだけどなあ・・・
と、もどかしい思いが、つのった。
撮影は、関東らしいんだけど。

ラストのラスト(スタッフロール部分)だけは、
しつこさが生きていて、ちゃんと、笑えたのだが・・・。
小生だけか?


思うに、<笑いの翻訳者>としての浜ちゃんが、
劇中にいないことも、大きいのではないか?
TVバラエティーと違って、
スタッフの吹き込む笑い声による、ツボへの誘導も無いし・・・。

「明日があるさTHE MOVIE」でも、唯一ちゃんと笑わせてくれたのは、
浜ちゃん・松っちゃんのダウンタウン・コンビが演じた、
歯医者?と患者のコント部分だった。

次回作を、どうしてもやるのならば、
是非、浜ちゃんを出して、
掛け合い漫才シーンを、入れてほしいものなり。
それが出来なければ、
笑いの映画にするのは、やめといたほうがいいかも。

あるいは、いっそ、ダリみたいになって、
あのグロくで面白い絵柄でもって、
画家やアート・デザイナー方面へ鞍替え、
という進路も、あるのでは・・・?と。

もし、上野の美術館あたりで、展示会をやったら、
どんな反応と議論が起きることか。
想像するだに、おもしろい。

芸人・松本人志、一つの分岐点に来たようだ。


以上。





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  1. 2007/06/06(水) 00:37:55|
  2. 劇場用映画
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