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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

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ビーグルGメンのあくなき挑戦

ビーグル、捜査記録。


土日、短編映画三昧。

5/26(土)午後4時、御茶ノ水・アルペン9F、JANIS SPACE。
ミニシネマ上映会、こけら落とし、<JANIS CITTA>VOL.1。

1本目の鶴岡みゆき監督作品が未見だったのと、
2本目の上映に、PFFアワード受賞作ながら後半だけしか観れなかった「隼」を入れてあったので、行ってみた。

レコード・CD店の一角を青いカーテンで仕切り、
板とスクリーンを張った、ミニミニライブ向きの会場。

1本目開始時、客は小生を含めて、わずか、4人・・・。
まだ、あまり浸透していない様子。
後から上映中、訪問客が徐々に増え、
2本目の「隼」が始まる頃には、12人ほどになる。
「隼」の終了後も残っていたのは、
男性6人、女性3人の計9人。
後はほぼ、このメンバーで、最後、夜9時過ぎ頃まで観ていた。

作品群、技術レベル的には、しっかりしたもの揃いで、収穫は多い。
ただ、高度な達成をもちながらも、「隼」以外に関しては、
従来の<映画>的イメージを越える、とんでもない!位の何かが、
もう少し飛び出して欲しいような気もした。
(付記:翌日の北沢タウンホールでも、それは若干、感じたのだが・・・。)
とはいえ、この豊かな作品内容で500円ならば、かなり安い鑑賞料。

打ち上げ会等も無く、こじんまりとしたまま、
夜9時20分頃、終了、解散す。


参加作品、6本。

1・鶴岡みゆき監督「This is my life」96分

監督自身の体験を元にした、といわれる、
<実録>町内チーマーグループ、
3組とその周囲で、金と女がらみ、仁義無き大抗争もの。

まるで・・・「少年チャンピオン」の喧嘩漫画か、
タランティーノ映画のごとき、
イカレてて、不良で、ささくれだった世界。
キザな台詞だらけ、
衣装も、それっぽく揃えられている。

皆、容赦なき、残酷野郎だらけ、
誘拐あり、薬物あり、チャカあり、殺しあり、裏切り交渉あり。
ゆえに随所で、痛いよ!と叫びたくなる。
まったく、物騒極まりなし。
町を出てゆく者達がいても、不思議では無い。

バーを手伝っていて「ここが居場所よ!」と言い放つ、
元スケバン女性役が、大変いい。際立って目立つ。

自称ひっこもり?自主俳優氏が、
いつものイメージとは違う、ひねた役で出るのも見どころ。
こういう人って、おとなしいようで、コワいよなあ・・・と。

部下にも傘下にも冷酷、女は便利にパシリ扱い、
警察官にもクールで、ふてぶてしいコワモテのワル男役が、
ふっと弱さを見せるのも、妙にリアル。

途中から急に、これ本筋に何の関係が?という、
軟派な男女達のいざこざが挟み込まれ、
後でとんでもなくきっつい形で合流するのには、やられた。
心底、きつい・・・。
お見事、「人間の証明」のごとし。

題材が題材だから、後味があまり良くないことは、否めないのだが・・・。
音楽、挿入曲等のノリのよさに、大分、救われた。
次はもっと、凄みとコミカルさが一体となった、とりあえず笑える喜劇を、と希望したい。
「盗まれた欲情」とか、「地平線がぎらぎらっ」の線、
これは、やればイケるのではないか?


2・市井昌秀監督「隼」73分

PFFで、時間の都合により、後半だけ観ていたもの。
あのラストまで来るのに、澱(おり)のような貧乏苦労話を、
これだけ延々と、引っ張っていたとは・・・・。
ちょっと、長すぎないか?

後半、あるものをもぎとるシーン、そして疾走するシーン、
ここに、そこまでのすべての<溜め>を一気に吐き出す凄みがあり、
呆然、圧倒させる。
感情の流れと人物・画面の動きが、ぴったり合致する、ダイナミズム。
あれがわからなきゃ、映画ファンじゃない!と強く言っておこう。


3・吉川亜星監督「The Sleep of Reason」7分

ゴヤの絵画がモチーフ、との事。
うまく、説明できないのだが。
ワンカット、ワンカットがアート系で、つなぎが細かい。
・・・とにかく、豊穣なイメージの、連打、連打に、ノックアウト。

イメージフォーラムで、反復映像を見せられているような感じも、含まれる。
既視感もあるが、絵画的表現としての豊かさもたっぷり受け止められる一品。美術館向き。

4・玉城大輔監督「Sunday」9分

以前、どこかで観ている。トリウッドか、池袋SCUMか?
自分の周囲で起きる知人達の死を、淡々と語りつつ、料理をする、女。
PCをいじりながら、原子爆弾の製造法を無感動につぶやく、男。
2人は同居していた・・・。

ワン・アイデアで、SFショートショート。シンプル構成の小さな勝利。
しかし、こんなもんなのか?夫婦って、と心にちょい、隙間風が吹く。
(アア杉良太郎・・・の声)

5・塩出太志監督「鐘がかり」20分

森の中、木の枝に掛かった、教会風の鐘が鳴るたびに、
そのご機嫌が世界の状況を左右する、天衣無縫な一女性の心に、
「喜」「怒」「哀」「楽」の感情が徐々に、発生してゆく。
やがてすべてが合わさりすぎて真っ白になり、
彼女の心理状態と連動していた<世界>は、停滞するが・・・。
ひまわり畑で撮った映像の重ね合わせが、ファンタジックで美しく、ちょっと面白い。

6・森内健介監督「赤点」50分(多分、再見)

やり手ビジネスマン、妻の精神状態がだんだん、崩れていって、
生活をまるっきり、変える話。
妻役の、野放図なまでの陶酔芝居を、観るための記録。
トマトの画はともかく、画面運動上の魅力は、やや乏しい。
やっぱり、長い・・・。



翌5/27(日)、午後1時、少し前より、
下北沢・世田谷区北沢タウンホール。
<第19回東京学生映画祭>。


実はずっと、行きたいと思っていた。
何かとスケジュールが重なり、全く来れないでいたのだが、
今年はついに、訪問に踏み切った。

330席ほど有るホールだが、既に前売り券で席が大半、いっぱいに。
無論、殆どが制作に関係したとおぼしき、現役学生層。
はしかの流行騒ぎなど、どこ吹く風の、大盛況。
当日券の列に並ぶも、いつしか前後に約40名が。

しまった、もっと早い時間に来て待つのだった、と悔やむ。
当節、あっぱれな入りではあるが。
空席を待つ間、チョモランマ山頂の手前で、悪天候を様子伺い中のごとき心境に。

しかし、当日券列で待った甲斐があり、
めでたく、17番目で入場可に。

おかげで、日曜分は始めからすべて、観れた。
できれば土曜上映の作品群も、観ておきたかったのだが・・・。
開始前に、全作品の予告編がダイジェスト代わりに流れたので、
大体のラインアップの感じは、つかめた。

白いスーツの女子学生2名による司会、学生主催者の挨拶あり。
万事がきっかり、きっちりと、安定した進行。
今年は90作の応募作品中、アニメを除く8本が各賞にノミネート。

まず、DV実写の4本を、
休憩時間20本をはさんで、2本ずつ続けて上映。
2本上映終了ごとに、監督達と審査員一同の対談。
今年のゲスト審査員は、清水崇・マギー(元<ジョビジョバ>リーダー)・津田寛治・柳ユーレイ・鈴木基之(ホリプロ取締役)の各氏。
かなりシビアに、内容とアラに突っ込んだ、
時折笑いも交えての、挑発的な品評トーク。
(付記*市川準監督のみ、映画祭を欠席す。)


次に、アニメ部門が未設(新設準備中)のため、ノミネート無しの1本を上映、監督と司会のトーク。
このアニメ監督が、女子学生司会を相手に、引っ張る、引っ張る。
トーク終了後には、各賞発表。
そして・・・?

慶応湘南(藤沢)の<MOVE>なる制作団体の2作品が、
グランプリ・準グランプリ・役者賞の3冠に輝く、
という驚きの結果が。早稲田や東洋大、成城、東京工科大のサークルを押しのけて・・・!



当日上映作品。


1・川邊崇広監督「届くなら遠吠え」55分

成城大学シナリオ研究会・Jenny Films制作。

一人の中年刑事が、死んだ。
安置所に来た息子。彼の回想で映画は進行。

彼は、少年時代から、
母が父の暴力(DV)に、悩まされていた事を知っている。
酒が入ると、バーでも、家でも、手がつけられないのだ。
そんな父を憎み、母を憐れみ、
一時は父に対し殺意さえ覚えた・・・小学生時代に。

その父が、ある日、そんな有様とはやや違った一面を、息子に見せていた。
息子が以前、近所で見かけていた車椅子の女性は、
亡き伯父(父の弟)の、元同居女性だった・・・。

審査員一同より、冒頭の息子の、状況説明台詞が長すぎる、との指摘が多し。
すぐわかること、だからだろう。
「オカマバーの客役と、借金取りの役が、同じ人なのはまずい」との声も。
「いや、ぼくらも、まったく似たような2役、よくやってたから・・・」と少しだけ擁護する、津田氏。

刑事ドラマの1エピソードでも、はまりそうな話と画面。
主役たる刑事役、荒くれてるが渋い魅力を放つ。
息子の少年時代役、うまい子役。
想像シーンでところどころ、画用紙にクレヨンで描いた絵に、
人物をはめこむ合成シーンが、コミック。
ここのみ、ユーモラス。
全体にDV芝居がややくどく、後半も長い感じに。
前半でもう少し、縮めてみてはどうか?


2・長嶋愛監督「家」25分(グランプリ受賞)

慶応藤沢・映研<MOVE>制作。

夏。
母無く、勤め人らしき父と学生位の長男、小学生の次男。
男3人で、和風家屋に暮らす一家。
次男は、同級の女の子と草に寝転んだり、家に呼んだり。
兄はそんな弟と女の子の仲をとりもつべく、プールに連れてゆく。
そんなのどかな、ある日・・・。

畳敷きと庭の花、畑などが、観ていてほっとする。
画面は明るく、優しく。いい雰囲気。
弟の子役、自然でユーモラス。「え~!」シーンに場内、爆笑す。
父も含め、家族ドラマならではの優しさ溢れる、好ましき一篇。

いい一家じゃないか。明日があるぜ、少年!
でも宿題は、自分でやれよ!


3・秋山貴人監督「スーパー大学生片岡次郎」24分(準グランプリ・役者賞受賞)

慶応藤沢・MOVE(同上)制作。
これも以前、どこかで・・・?
地の利で、藤沢海岸周辺のロケが多い。

これは・・・何というべきか。
活発で、身軽で、ふてぶてしい、調子こいてる、
地元ボランティアのカリスマ?だという、自称、<海の王子>。
いわば平成の加山雄三な、植木等?的キャラ。
そんな主演者の軽快かつミモフタも無い?言動と魅力が、
このふざけまくった映画の、すべてだ。

ただ、冒頭のゴミ処理シーンで見せつけた、そのナンセンスでブラックな、ボーダライン上すれすれの可笑しさを、さらに突っ込んで引っ張っていってくれたら、もっと面白くなるはず。

ラストの字幕については、
「そこも絵として、描いてくれれば・・・」の声、
審査員より多数あり。
同感。劇中のごとくTV報道式にしてみれば、どうだろうか?


4・福住理恵監督「スキデスガナニカ?」20分

東京工科大学・<ガチャX2ビーム>チーム制作。
女性監督だが、男性が撮っていても決して不自然ではない作品。

授業にはちゃんと出て、とりあえずは優等生的な、
席が隣どうしの男女高校生。
男子生徒は周囲の人間観察ノートをつけ、
女子生徒はそんな彼を軽くおちょくりつつ、じゃれている、お友達関係。
ある日、いつも行く屋上で、男子は女子に告白をするが・・という、
どこにでもありそうな、きわめて平和な、青春期定番のお話。
空や夕日などが美しく、それなりに魅力あり。

審査員諸氏(全員男性)からは、
「女性的だな、と」「いや、中年男が撮ったような・・・」などと、
ばらばらのご意見が。苦笑。
「もう手法レベルは完成しているから、
次段階へ進んで、他所からの依頼企画を撮ってみてもいいのでは?」
との声、多し。
ラストの文字列?が必要かどうかは、審査員の間でも意見が分かれていた。
小生は、あったほうがいいと思うが・・・。




5・亀井隆広監督「コスモス」8分 :招待作品。

武蔵野美術大学映研、2006年卒業者作品。

手書き、白地に黒の線描きアニメ。
太陽のプロミネンスから宇宙、地球を写し、
古代生物から食物連鎖、人類登場、戦国時代、現代の飛行機、NYテロに至るまでの歴史を、ハイテンポで一気呵成に見せきる。
さらに、始めからハイテンポでオール再放送、
更に別なシーンを加えて、もう一周する。
コンパクトに、シンプルに、人類って何だ?と迫ってくるような勢い。
労作、佳作。


以上。


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  1. 2007/05/29(火) 02:09:05|
  2. インディーズムービー
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  4. | コメント:0

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