fc2ブログ

シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

春うらら、居酒屋ゆうれい噺

竜の日記。


19日、木曜、夜18時半頃。池袋。
新文芸坐でかろうじて、パイプ椅子席の当日券を、3000円で入手す。オール指定席。
ここの名物イベント、落語家・立川志らく登場の<シネマ落語>が、生で聴けるのだ。
何たる幸運。
この日を逃がすと、次の機会は夏なのだ!

お笑い、というより正しくは<一人笑わせ劇>、だろう。
落語家の独演会というのは。
しかも、映画ファンのためのネタが詰まった<シネマ落語>、と聞くと、素通りは出来まい。

そもそもこの人、以前別所のミニホールで、
サスペンス仕立ての自主映画監督作を披露していたときに、見たのが最初。
もっとも、映画はテンポがあまり良くなく、
高座やゲスト・トークほどには引き込まれなかったのは、やや不満が残ったのだが。

ヨコハマ映画祭にそれらしき人物が現れたこともあるが、
関内の広いホールではしゃべくりの効果があまり、冴えなかった。
小さめか中位のホールで、細かい笑いを集中して連打したほうが、面白いタイプ、と見た。
とにかく、笑いに関して才能がある人なのは、間違いない。

それにしても、新文芸坐に貼られている、ポスターに刷られたお題が、
<シャイニング、他>ってのは・・・。
おいおい、あのジャック・ニコルソン主演、キューブリック監督の恐怖映画が、
ほんとに、落語になるのか!?
と、半ばいぶかしがりながら、19時頃、入場。
既に、お囃子が流れている。
ロビーでは記念グッズ・写真販売も。勿論店番は一門の人達。

19時半より高座、開演。

前座噺の立川らく次が開口一番、軽く笑わせ、会場を暖める。
さすがにプロ、基礎は固まっているようで、結構流暢である。

やがて真打・志らく登場。
見るからに威勢のよさそうな、自分を<乗せてる>按配なり。
半分、焦っている様な?キャラが売り、なのだろうか。

まくら(導入部)で同門の楽屋話や、師匠との愉快な電話のやりとり、
某人気落語家の税金騒動(!)へのおちょくりネタ等を振って、
自分がらみのエピソードが、いかに他者によって、
針小棒大に吹聴されて師匠に伝わり困惑させられたか?
などをもぼやいてみせ、しっかり笑わせる。
いやもう、既にゲラゲラ。

構成はというと、そうしたまくら話を付けつつ、
「いやもう、もともとのが脱力な下げ(オチ)で脳停止状態にする噺だから・・・」とエクスキューズ付きの解説をしておいて、
まず、東西の古典噺、<不動坊>と<鰍沢(かじかざわ)>を、2本続けて演じる。

<不動坊>は、大家からの縁談話で、後家を嫁にもらった男の噺。
彼をからかってやろうと、ご町内の男たちが、
後家の前夫のニセ幽霊をでっちあげて驚かそうとするコメディー。
怪談につきものの太鼓をチンドン屋、
幽霊役を林家正蔵(無論、あの、正蔵師匠ではない)の弟子に振ったがために、計画はめちゃくちゃになる。
場内大受け、こちらも大笑い。

<鰍沢>は、雪深き民家で、偶然の再会から起きた悲劇を描いたサスペンス噺。
欲を出すと、ろくな事が無い。
かなりコワいんだが、オチは・・・。落語だから?

休憩時間をはさんで更に1本、
忘れん坊の間抜けな侍が、目下の人物に尻をつねってもらう、
というだけのドタバタ喜劇<粗忽の使者>を、
これまた、流暢かつアクティブに語り込む。

で、最後に、
ここからは新作落語ではなくて<アレンジ落語>ですよ、と前置きし、
それぞれの噺で登場した愉快なキャラクター達を再登場させ、
いわば続編の形で、「シャイニング」の筋立てに放り込んでみる、
という凝った趣向。

さっきの正蔵の弟子キャラが妻子を連れて、
いわくある冬の宿にこもって修行中に、
例のチンドン屋達がこっそり訪れたら・・・と、つなぐ。
落語家が部屋で恐怖に震えつつ、ジュゲムジュゲムをつぶやくなど、
もう、空腹絶倒。
<鰍沢>がサスペンス噺なので、設定にうまく合致する、というわけ。

古典の3本を予習した上で聴くと、より笑える、というおいしい構成。
これは、常連客が付くのも道理。

いや~、ええもん、見せてもらった。
又、観たいぜ。志らく師匠!


以上。
スポンサーサイト



  1. 2007/04/20(金) 20:42:28|
  2. トークイベント
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

アWorker

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する