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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

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春おぼろなり、うつつの夢よ

旅人、覚書。


最近、故・田中登監督特集の為、ラピュタ阿佐ヶ谷行きが多い。

ゲスト来場日など、満員で入れない時間帯も有る。
そういうときは、延期するか、
ロビーで監督生前のインタビュー・ビデオを眺めて、次を待つ。

実際、70年代の日活ロマン系をメインに、力作揃い。

宮下順子の名作「実録 阿部定」、
透明傘やシャッター音のシーンが印象的な「牝猫たちの夜」、
古尾谷雅人の傍若無人ぶりを際立たせた「人妻集団暴行致死事件」、
石橋蓮司が特にハツラツ?とする、
実相寺版より怪奇味が出ている「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」、
劇画家・石井隆の絵入りで、
鹿沼エリ・地井武男のライバル記者男女が、夢とうつつの間を交錯する
「天使のはらわた 名美」(これは今回、もう一度観た!)、
中川梨絵の時代劇「(秘)女郎責め地獄」、
芹明香の大阪うらぶれ物語、鶏冠(とさか)のシーンが強烈な「(秘)色情めす市場」・・・など。
亀有名画座で観ていた作品も、数多い。

<ロッポニカ>一般路線での「妖女伝説’88」は、
これも今は無きロッポニカ新宿で観たが、
コンピュータ・プログラマー青年と女性幽霊の組み合わせは珍しいものの、そこから先への発展性が広がらず、今ひとつに終わった。

その後も、2時間サスペンスドラマ枠ではずっと、現役だったそうだ。
せめて後一本、劇場用映画を・・・と願っていたのだが。


永島瑛子の「女教師」(’77)、
主人公を孤立・孤独感へと追い詰める、無理解で事なかれ主義の教師達に一矢報いたのは、主犯のはずの高校生役・古尾谷雅人だった。
おろおろする久米明の妄言シーンは場内、爆笑になった。

「夜汽車の女」(’72)ではズーム、耽美的倉庫シーンなどが、
姉妹やメイドを演じる女優たちの色気に、彩を添えている。

東映実録路線の「安藤昇のわが逃亡とSEXの記録」(’76)、
主人公は警察への反抗心をあらわにしつつ、
愛人宅を回っては逃亡を繰り返し、最後の最後まで抵抗心を貫き通す。
とにかく、常人ならざる、むちゃくちゃな行動力で・・・。
小松方正の記者を含め、ところどころ、あけすけさ故の笑いすら、場内では起きている。


「愛欲の標的」(’79)はその点、サスペンスとしての筋がゆるく、いまひとつの出来だった。女優は美しいんだが・・・。

松竹・富士映画系列で撮られた「丑三つの村」('83)では、
常連・古尾谷雅人が戦時中の犯人青年を、
意外なコミカルさをもたたえて、いきいきと、演じている・・・。
乱射シーンは「ゴキブリ刑事」や「鬼畜大宴会」以上のど派手さで、ドキッとさせられる。ラストの台詞も、お見事な幕切れに。

TVの2時間ドラマ「愛の報い」('83)では、
報われなかった愛の形が、風間杜夫と桃井かおりの力演によって、シビアに示される。
黒髪の田山涼成が、一瞬見れる。


土日も池袋・新文芸坐の<ピンク映画祭>オールナイトをはさんで、
阿佐ヶ谷との間を、行ったり来たりだった。


<ピンク映画祭>について言うと、
若干、不安要素が垣間見えるものではあった。

とうとう昨年度は、新作数が80本を割って、
79本になってしまったそうである・・・。
特に新東宝・国映系の制作本数が、激減したためらしい。哀。

ミニコミ情報誌<PG>編集長の作品評もややシビアで、
どうやら突出して目立つ程の作品が、例年よりも少なかった模様、なり。
量は質を生む、というが、
業界も今一歩の踏ん張り、制作活性化と集客の工夫とが必要な様子だ。

が、少なくとも、この夜の集客は、補助椅子が多数出るほどの盛況で、
「これは、過去最高!」(司会チーム・池島監督談)
「上板東映時代には無かった、にぎわいです」(受賞ゲスト陣・下元氏談)
だそうである。
亀有名画座時代から見ても、新しい世代のピンク初見客は、男女を問わず、相当に増えている。
ロードショー公開以外での特集上映や、イベント企画・PR等の効果と浸透度は、着実に上がってきているのだ。

普段、中高年のおっちゃん層が、もうちょっと劇場に来てくれれば・・・というのは、相変わらずあるのだが。
そちら向きの作品群は、概してテンポがのろく、
ピンクイベントの主たるファン層であるところの、
テンポの早い映像に慣れている20・30・40代のお客さんには、いまいち不評なものも多い。
対策が一率にはならない、できないところもあるのだ。

オールナイト上映作4本(内2本は既に観ていた)を観る限りでは、
エンタメ路線作品に関しては、決して不作などではなく、
むしろ好意的に、面白く観れるものが多かった。
成人したら食わず嫌いせず、是非一度、とおススメしておこう。

ちなみに、かかった4本は・・・。


竹洞哲也監督「悩殺若女将 色っぽい腰つき」。
主演女優のユーモラスな魅力、おおっぴらなコメディー演技ぶりに、尽きる。
全体にきわめて、明るい雰囲気が広がる。
英語混じりの性交、「ざます~!」、「ギザ十!」、立ち読みシーンなど、随所にライトなおかしさ一杯。
そば屋の父娘の話がちょっといい、人情コメディ。
(作品賞・女優賞・新人女優賞・技術賞)


池島ゆたか監督「昭和エロ浪漫 生娘の恥じらい」。
これは去年、上野オークラで観た。
女性の自立についての論議って、
60年代からあったんだろうな、多分。
長島の話するだけの、酒場のレトロ・シーン、
なぜか、とても味わいがあって、いい。
歌声喫茶のシーンに、B-SHOTの怪談監督がエキストラ出演。
(ベストテン5位、監督賞・新人女優賞)


いまおかしんじ監督「絶倫絶女」。
一般公開タイトルは、「おじさん天国」(既述)。
俳優・下元史朗の魅力を再認識させた、快作。
妄想シーンの力が、大きい。
イカ墨、男の喧嘩、蜘蛛、閻魔様等、
なぜにそこまでする!?なシーンの連続に、
皆が、またしても爆笑。
(ベストテン8位、女優賞・男優賞)


新人・田中康文監督「裸の三姉妹 淫交」。
思うような<絵>が描けないがゆえに悩む者、
その絵の才をうらやむ者。
淡々と、しかし切なく描かれ語られてゆく、姉妹のドラマ。
(ベストテン10位、男優賞・新人監督賞)


日活ロマンやピンク映画の過去作品が持っていた、
なまめかしくも強固なるイメージや、溢れるときめき感を、
更に超えた映画を観る日は、又、来るのだろうか・・・?


以上。









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  1. 2007/04/16(月) 07:52:37|
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