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主水日記。
粟島(あわしま)という離島を、ご存じだろうか?
新潟県の沖にあるという、その島で、2本の自主映画が撮影され、
今、公開されている。
なぜか、下北沢の一角で。
制作・<シネマ健康会>。
中篇2本、「ナイランド~なくし者賛歌~」と「私は落ち 陽は赤黒く」。
2本とも監督・松本卓也。
以前伺った、トリウッドの短篇企画等で、名前がよく出ている。
公開場所は下北沢駅西口前、
ミニイベントスペース<ギャラリィ・トウキョウ・ジョー>。
(4/8(日)~4/22(日)まで。)
初日は、夕方と夜、各1回の上映。
井ノ頭線ホームから見上げると、すぐ前にある建物の3階に、それらしき名前の小さな張り紙が。
降りて線路沿いに表へ回ると、運動靴店の横に入口階段がある。
監督自身が出ている、<アワシマン>?!なるヒーローらしき、妙なポスターがそこに。
女優・淡島千景ネタよりは、とっつきやすいか。
受付で2本分支払い、中へ入ると、
改装した屋根裏部屋そのままの、三角屋根のスペースに、椅子とプロジェクター。
なぜか、向かって左の一角に、
干し蛸(そう、あのタコが。海産物の)が吊るされている。
みやげ物コーナーは、タコや海草方面がいっぱい。
まるで海産物問屋。(いよっ、越後屋!の声)
上映前後のトークによると、どうやら、
2年前から夏に離島ロケを行なっている<シネマ健康会>一行が、
自ら島のPRと物産展を買って出た模様。
右の壁には、島内を撮影したミニ写真展が。
奥のスクリーン横にも、何本もの紐に釣られて、
ロケ隊の記念写真が展示してある。
夏休みの、学生サークル合宿風。
随分、くつろいでいる感じで、微笑ましい光景。
席には20代位の、男女客が多い。
演劇・音楽方面の人も、ちらほら。
松本監督が芸人出身だけあって、軽く笑わせるトークが楽しい。
聞き手の女性ライターも、スムーズな話芸に引き込まれている。
出演者・スタッフ、ゲスト一同も、口々に、
「なんにもなくて、広~い島なんだけど、そこがいいんだ」
「フェリー便にさえ、遅れなければ・・・ね」
「民宿も、海の家もあるし」
「すぐ日焼けするし」
「沖縄行くより安いし、近い」などなど・・・。
各人スケジュールを組んで、
3日間限定ロケの人、一週間近くスタッフで居た人、いろいろあったようだが。
よほど皆、現地が気にいったのであろう。
2本立てで1500円(前売り1300円)、
上映後に初日こけら落としパーティで、
トーク&ドリンク付き、1000円ならば、安い!
テーブルに、タコの切り身が出ていた。
軟らかくて、うまい。
他にくじ引き、200円というのもあり。
あいにくとくじはスカで、
土産のかわりに出たのは、特製アワシマン・バッジ。
思わず、変身、アワシマン!ポーズをしてしまったのだった。
現地産の<炭>を貰っている人もいた。
なお、生漫才?シーン再現、という貴重なものが観れたことを、幸運に思うものなり。
作品短評、付記。
「ナイランド~なくし者賛歌~」(初見)。
昨年夏に撮られた作品。
どこかにある、謎の島。
何かなくしものをした人が、次々と流れ着き、
その失った物を島内で探して、
見つかったら、帰ってゆく。
そういう島の世界。
そして、何を失くしたのかすら、忘れていて、
思い出せないまま留任状態で、現地案内人となっている女性がいる。
常連女優・川島田ユミヲ、のびのびと演ず。
全編、テクテクと島巡りをして歩き回っている、
それ以上、何があるというものでもない、ないないづくしなのだが、
お茶の時間を、のんびりとくつろいでいるような雰囲気を味わえる。
時折出る、ベタな駄洒落ネタが、ちょっと笑える。結構ウケている。
終わり方も、概ね予測されうるものとはいえ、爽やかなものがある。
「私は落ち 陽は赤黒く」(多分再見)。
2年前に、オール粟島ロケで撮られた作品。
某サイトで自殺予告をして、島に帰って来た20代女性、
人生がつまらなくなり、その自殺を見届けに来た女子高生、
自殺を思いとどまれ!と止めに来た、妙なかつらの中年男性、
波止場でタコを釣っている、ぼーっとした青年、
以前から島に留まっているらしい眼鏡女性、
ビデオ・ロケに来た、いまいち売れない女性漫才コンビ、
(決めポーズが、いかにもそれらしい!)
・・・などなどの人物が、同じ島内のあちこちで、
自分達の心理状況をぶつぶつ、ぼやきつつ、
行ったり来たり、右往左往したりするだけの、島内ロードムービー。
殆ど同じ場所に留まっているのは、
高台で一人、なわとびに興じる人物だけ。
画面のリズムを測っている、メトロノームのよう。
各人ぼやきのシーンに、PC操作の真似を入れたり、
でかい白文字を入れたり、
中年男性のシーンに刑事ドラマ風?アレンジBGMを重ねたり、
各所にちょっとした工夫があって、
末梢的ながら、画面に変化を作ってるのがイイ。
中年男性が随所で行なう、力一杯絶叫(!)シーンや、
川島田ユミヲの「尼さん?」シーン等には、皆、大笑いした。
ラストシーンには<定番>をも打ち破る勢い、心意気?を、人々は目にすることだろう。
TAMA、受賞作品。
以上。
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- 2007/04/09(月) 22:23:45|
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主水日記。
実のところ、自主上映以外にも、
フィルムセンターの企画上映とか、
ラピュタ阿佐ヶ谷の田中登監追悼特集とか、
いろいろ触れておきたい話があるのだが。
取り急ぎ、大いなる快感と困惑とを同時に食らった、
ある自主作品について、先に記しておきたい。
堀井彩監督、目下の最新公開作「日曜日にはカレーを」は、
ひとことでいえば、監督自身の映画制作遍歴を基にしつつ、
自伝的要素におそらくは一部大幅に?フィクションをまぶした、
過去名場面ダイジェスト・プラス・業界裏話?ネタの、
二重構造映画である。
主役の監督青年は、劇中の女優達に対して、
正に日活ロマン的な、捨て身の肉感的場面を要求し、
ボリュームたっぷりに、画面へと差し出させしめている。
いってみれば、男性監督流の「映画監督になる方法」に、「火宅の人」(!)等を加味したような内容。
これ、ここまでやっていいのか?と、
いささか、はらはらさせられるのも事実。
劇中の主役たる監督、演じている俳優の風体は、
まるで監督とは、別人・・・!
なぜかやたらと、女優や女性スタッフにもてまくり、
製作過程の煩悶がらみとはいえ、要所要所で、
彼女達との、出会いと別れのシーンを繰り返す。
その辺は、生真面目な男ながらも、
いささか調子の良い「愛と平成の色男」(!?)な展開ぶり。
俳優・女優の演技プラン不納得、
出演者の遅刻、スタッフ離反、
寸借詐欺と思われる女優勧誘?等の制作トラブルに対しては、
主人公はかなり厳しい対処をし、クールな一面も見せている。
彼は、スタッフと自分とのある距離感を保ちつつ、
時には知人がらみの話でも、題材として映画表現へと昇華し、
常に人間付き合いの不得手さと、
撮る理由の自問自答とに悩まされつつ、
やがては自分なりの道を、模索してゆく。
(観客と作品の間にも、それに近い距離感が時折表面化するのだが・・・の声)
現場にいたらばさぞ困惑させられるだろう、
困難な製作過程と男女関係のこじれる話が、同時進行。
比較的明るめの画面と、テンポのよい疾走感とともに、
意外にもわりと陽性な画面と表現でもって、語られてゆく。
業界現場の悲話を、痛く暗く語りすぎて、
泣かせるより先に、観る者の気分をどんより落ち込ませてしまった、
他所の某大手商業系公開映画よりは、
表現のサジ加減がずっと、よろしい。
この手の題材につきものの不快さを、
こちらが長くひきずらないで済むのは、救いなり。
(だって、観客には直接関係が無い事だし、大抵は精神的に、迷惑なのだ・・・!の声)
某女優が男優に、プロとしての現実的な注意を促して泣かれ(!)、
困惑する辺りの混乱シーンなど、
いかにも現場でならあるがちそうな話ゆえ、危ういところではあったが、
基本的に<悲喜劇>的状況として描かれているため、
当方は不覚にも、苦笑させられていた。
仮に双方のファンが居て、ダイレクトに観せられたとしたら、
相当、引いてしまう所だろう。
あれ位の<表現按配>までが、必ずしも懐の広いとは限らない、
一般的観客にとっての許容限度、なのである。
名古屋ロケの話から登場する、植木等主演映画のごとき、
陽性でポジティブな脚本家(御存知、石川謙氏)の存在も、
観ている側としては正直、気分的にありがたい。
唐突な大集合シーンなどは、映画の関係者諸氏にたいする、
作者なりの照れと詫びと、感謝の表意なのだろう、と見た。
色気とボリュームと切なさとで押しだしてゆく、
胃の腑の強さを見せ付け続ける堀井監督の作品としては、
一部やや軽さに流れていないか?と、若干気にならなくもないのだが、
まずは<本道>に復帰、復調してきた、という印象。
今一度、過去映像に準拠しない、完全オリジナル作品でもって、
その力強い押し出し表現の醍醐味を・・・と、大いに期待しておきたい。
他所の作品については、別項にて。
まずは、以上。
- 2007/04/09(月) 01:19:46|
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