旅人、覚書。
先月から今週にかけて、スクリーンで観れた映画より。
(追記の可能性、あり)
某シネコン 「バブルへGO!タイムマシンはドラム式」(ホイチョイ・プロ):
「バック・トゥー・ザ・フューチャー」そのままのドタバタ、東京版。
広末涼子が目一杯はしゃぎまくり、ナンパな阿部寛が振り回される凸凹コンビもの。
劇団ひとりの変わり身メイクが、元祖映画の某キャラに、そっくり。
ブレイク手前の有名人役で、本人達がちらほら出演。これもCG進歩のおかげ?
17年前も、TVの向こうのよそごとだったなあ。こんなに浮かれた六本木界隈の世界は。
周囲であんな羽振りのいい人達いなかった。
近所はたまに歩いてたけれど。
今の中国経済も、殆ど、これの後を追ってきているようだが・・・。
無理な冷却策等はなるべく避けて、日本の大崩壊のテツを踏まぬよう、慎重な判断を、と願うばかりなり。
日比谷シャンテ 「マリー・アントワネット」(コッポラ一家の娘、ソフィア・コッポラ):
実は観る前に、「あれって、2時間半、全然おもしろくなかった・・・」という声を、一部で耳にしていた。
観てみると、なんと、すこぶる面白いので、かくも人によって評価が違うか!と仰天す。
こういうマリー王妃像も、ユニークなんでないかい?と。
そうなった理由は、容易に察せられる。
まず、歴史大河ドラマや「ベルサイユのばら」の線を想定していた人々が欲するような、革命時の暴動や処刑、戦闘などの目立つスペクタクル・シーンが、ほぼ皆無に等しい事。
(カンヌ上映でブーイングが起きたというのは、それゆえであろう・・・の声)
ほぼすべてのシーンは、あくまでもベルサイユ宮殿や別邸内の王宮関係者達とその周辺のみを描き、外部のことはせいぜい<接触>程度にしか描かれない事。
しかもその殆どは、マリー王妃の目線中心で扱われている事。
次に、主役のマリー王妃自体に、これまでの大半の歴史劇に出てくる王妃のような、凛とした印象のシーンが無い事。
オーストリア王室というより、アメリカの田舎の良家で育ったティーン・エイジャー・ガールが、そのままお輿入れしたような印象を与える事。
(主役が年中はしゃぎまくってるのは、「バブルへGO!」と一緒だな・・・の声)
又、皇位継承者のための子作りが難航する話が、前半のドラマの芯を形成しておりながら、かんじんの性交シーンは大半が、あたかも戦前のロマンス映画のごとく、あっさりと省略されている事。
ポップス、ロック調の楽曲が随所に流れる事・・・などなど。
ソフィア・コッポラ監督が描きたかった事の力点が、宮廷や革命歴史劇の<忠実な>再現自体には、無かったのだ。
描写の力点はもっぱら、主人公たる王太子妃(のち、王妃)が何故、あのような浪費三昧に向かったか?を動く絵画として、ふんだんに見せてゆく事に注がれている。
嫁ぎ先たる宮殿内世界の不自由さ・理不尽さ(あんなに手間がかかる着替えがあろうか?!)、
周囲や実家からの<子作り>プレッシャーにうんざりし続けたあげく、
過剰なまでに、菓子・靴・服・髪型などのデザインの洪水へと、自らの日常生活をどっぷりと浸してゆく、その憂さの晴らし方にこそ、ドラマの肝が置かれている。
(どっかで似たような話、よく聞くよな・・・の声)
とにかく、パーティー・シーンも含めた、その豊穣すぎるイメージの力に、誰しもが圧倒されることだろう。
それらの果てに、ようやく母親になった主人公の喜び、
そして浪費と夫の失政等から招かれる、その後に来る悲しみが、せりあがってくる・・・。
普通の会社OLと共通する<気晴らし>の心情と発想、ここらに乗れるか否か?でこの映画の評価は二分される。
ハンサム男性とのロマンス、離宮での自然接触生活スタイルなども、それらの心情の延長線上、一主婦の目線と見れば、納得が行く。
幕引きのあっけなさに目をつむれば、結構イメージ豊かで面白い、宮廷ツアーのファッショナブル・シネマといえよう。
シネマアートン下北沢 「六人の女を殺した男」(島耕二):
昔、テレビ東京で昼間、流していた。通しでちゃんと観たかった作品。
フランキー堺が好色な画伯役で主演する、大映スリラー・コメディー。
アーティストとしては結構、有能なんだが。
女運があるんだか、ないんだか。
結婚するたびに、欲を出したドライな女達に翻弄され、資産をまきあげられ、
あげくに事故で、あるいは故意に、次々と殺してしまう羽目になる。
コミカル・シーンもあるとはいえ、全体には暗い影がただよう。
岸田今日子のシーンなど、かなり薄気味悪い。
毎回「ハイ、110番を」って、先に救急車呼べよ!
春川ますみとからむシーンのみ、むやみに元気ハツラツ。
日活や松竹、東宝の喜劇路線からそのまま<出張ってきた>感じで、
いつもの2人らしいド迫力喜劇風芝居になるのが、
現代的に振舞う他の5人との時とはギャップがあって目立ち、可笑しい。
黄金ボリューム・コンビ。
以上。
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- 2007/03/10(土) 01:19:55|
- 劇場用映画
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