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シネマ旅の途上にて

自主映画ウォッチャー、アWorkerのブログ。

竜、迷宮のつむじ風に巻き込まれる

主水日記。


1/28(日)、午後、野方区民ホール。

岡本泰之監督「MILKMAN」(ただし修正版)、
金子大輔監督「MILKMAN B」上映、
および・・・
同じ岡本監督の新作、「MILKMAN2」御披露目上映の会。

ああ、あまりにも、長かった・・・。やっとこの日が来た。

思い起こせば、
今は無き池袋SCUM2000、<シネマキャバレー>上映会にて、
「MILKMAN(1)」の1本目を観て、あまりのすごさに仰天させられたものだ。
カルチャー・ショック、といっていい。
1990年に8ミリフィルムで撮り上げられたという、驚異の映像劇。

「MILKMAN(1)」は・・・
どのような解説、説明もむなしくなるほどに、強烈なホラー・シネマだった。
が、同時に、ホラーにしては、コメディともいうべき可笑しなシーンが目立ち、
又、単純なるパロディとも何か少し違う魅力さえも、随所に散見されるのだった。

ある男の陰謀で特殊薬物入りの牛乳を飲まされて、ありえない幻覚を立て続けに観た主人公(SCUMの主・加藤義勝氏、力演)が常軌を逸した行為に出る、というだけの筋だが。
とにかくその描写の連打は問答無用、やぶれかぶれ、
グロくて、ナンセンスで、美女が出て、
主人公は俗に云う、<ラリってる>状態。
痛くて、いたましく、かつ、ファンタジック。
いやさ、クレイジーそのもの。おそろしい。
むちゃくちゃな狂気と迫力と、めまぐるしい勢いと幻惑性に満ちた、
まさしく幻想短篇映画の王者であった。
(今回の修正版では数箇所、モザイクがかかっていた。)


その後、「MILKMAN2」の予告編を、バージョンを変えつつ、
繰り返し、繰り返し、SCUM2000で見せられ続けてきた。
もうすぐか、もうすぐか?と期待させられては、
その後もロケ参加者が増えて、シーン追加、編集が延びた、
と幾度と無く聞かされ、
ああ、また延びたのか、いったいいつ、本編が観れるんだ?
もしかしてこれも、どこかの映画同様に、
予告編のみで、中途でぽしゃってしまうのか?
と、ぼやく日々・・・。

その完成作をついに掛けぬまま、
SCUM2000は去年の正月をもって、きれいに消滅した・・・。
このときからはさすがにあきらめて、
「多分、もう、我が生涯中には本編観れないな・・・」
と、ぼやいてきた。
そして、半ば忘れかけていた。

かくてこの約3年、待たされに、待たされた。
突然、旧SCUMのHP上に完成の報告と案内が出たので、びっくりさせられた。
「今度こそ本当に、完成だろうな・・・?!」
と、心底はらはらしながら、映画としての出来栄えをいささか心配しつつ、会場へと向かったのだった。


ホールとロビー、打ち上げも含めて、
さながら、SCUM2000の同窓会?のごときメンバーの大集合とあいなった。
なにしろ、出入りしていたかなり多くの面々が、この「2」ロケに参加しているのである。
入場40人ほどの客席にも、舞台挨拶にも、一部出演者の方々の姿が見えなかったのは、残念なのだが・・・。
折角の機会なので、是非再会したかった。
あいにく小生は、出演していない。

1作目「MILKMAN」の再上映に引き続き、
岡本監督のご学友・金子監督がそのNGシーンとメイキング、プロモーション・ビデオを混ぜて<べストヒットUSA>調にした、
「MILKMAN B」なる作品も、併せて上映された。
こちらはややおとなしいポップアート、といった感じだった。

「B」の後、前作ミルクマン役俳優氏のお祝いメッセージビデオ(わりと普通だった)に続き、休憩をはさんで、
ついに17年ぶりの続編、公開。


上映状況に関しては、若干の不満が、なかったわけではない。
場内が旧SCUMより広くて、人垣が散らばったせいか、期待した凝縮感がやや薄れていた。客席、いまいち反応がおとなしい。
もしあの倍ぐらいの人数なら、と惜しまれた。
それと会場周囲への騒音対策からだろう、音楽のボリューム、グルーブ感?がやや低かった。
旧SCUM内だったら、音響効果と凝縮感を出すには、ちょうどよかったかもしれないのだが・・・。

とはいえ、デジタル・ヴィデオで完成された「MILKMAN2」は、やはりというか相当にイカレた、かつ、十分すぎるほどに、変な活気にみちみちた、恐るべき幻想・妄想奇談ワールドとなっていた。

オープニングでご丁寧にも、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」張りに<鑑賞上のご注意>を出す。
既にそこから笑わせておいて、おもむろに観客誘引・幻惑化にとりかかる。

前作の主人公(無論、加藤義勝氏演ず)が、過去のトラウマを克服すべく通院中。
(ドクターがシネマ愚連隊のあの方、というのがすでにSCUM風味のほんだし・・・の声)
しかし。
公園で謎の男(こいつも前作キャラつながり)の手により、
ホームレスに配られていたパンと一緒に、
つい受け取った牛乳がくせ者で・・・
そう、またしても・・・

後は、殆ど説明不要だろう。
仕掛けた男に囚われた主人公には、犯人に消されたとおぼしき人物達のゾンビ?も見えてきて、
切迫した状況はついに、「敵討ち!」の様相を呈する。

たっぷりの新撮シーンに一部前作シーンも織り交ぜて、
凝り性でグロくてサイケで細かいイメージカット編集、
映し出される人物達のエネルギッシュなクレイジーぶり、
洋画ロールへのオマージュ、等々・・・
飛躍・幻想・妄想・諸氏共演(狂演・饗宴ともいう)シーン、大集積。
無論、美女!も出る。

しばしば、斜めにかしいでは揺らぐキャメラワークが、全体の不安感・幻惑感をさらに加速する。
それらの果てに、情熱的猛烈ダンス、生xxの転がり運動、ゾンビのミュxxxル、などといった狂気のカーニバル・シーン群が襲ってくる。
前作を観た後だと、2倍味わえる。
グロでシュールな可笑しささえ噴出する。恐怖と交互に、だが。
そこでは、これはホラーだとか、コメディーだとかいうジャンルの固定化すらもはばむ、何か映画全体を、海岸の岩場に見かけるアメフラシのごとく軟体生物化するような力が、働いている。
監督が関西出身である事も、あるいは関係しているのかもしれない。

そして同時に、あくまでも劇映画中の話であるとはいえ、あんな薬物実験は絶対にやっちゃ危険だよね、と何となく納得させられもするのだった・・・。


以上。







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  1. 2007/01/31(水) 22:35:23|
  2. インディーズムービー
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