旅人、覚書。
調布で鑑賞可能な作品を一通り観終えて、名残は惜しいのだが、もしかしたら初日にも入場の可能性が?と考え、あえて移動を決意。
シネマアートンへ、下北沢へと、草木もなびく。
30分位前に受付へ着いたら、幸いにして整理券、20番台あり。
後から続々、多数の来場者が大集合。
開始時刻の20時半にはたちまち満席、その後も補助椅子が目一杯出る大盛況。やっぱり公開初日は、にぎやかなほうがよろしい。
(ぴxの出口調査隊はどうした!の声も、一部・・・。この日は「どろろ」を始めとして初日作品がかなり、多かったための模様。これだけ観客がいるのに、勿体無い。)
川野監督&一同の挨拶トークを補助する福島監督、この人が勢いよくしゃべり出すと何故か聞いていて可笑しくなり、吹き出してしまう。天賦、とはこの事なり。
9本の短篇、最初は<近未来の設定><8ミリフィルムで撮影><デジタル・ヴィデオ(DV)で仕上げる>の3条件で企画されていたそうだが。
出来上がった作品には、未来なのかどうかあいまいなものや、時代劇まで含まれているので、「おいおい・・・!」なのだ。
(似たような製作状況下のオムニバス企画の成果を、去年もどこかで観たような・・・?の声)
宣伝チラシに細かく書かれている設定が、画面からは読み取りにくいシーンも、一部見受けれられる。(後述)
それに、休憩無しで一気に9本、というのは少々、長い感じなので、できれば前半5本位やってから5分か10分休憩し、残りの4本を見せたらどうだろうか?とも思ったのだが。
8ミリらしいくすみの掛かった映像の味、DV直撮りではまだまだ出しにくそうな、それぞれに幻想的空気を醸し出している。
ムードある弦楽器・雅楽等の音楽使用などもなかなかよろしく、まずはシネマアートン版「世にも奇妙な物語」風アラカルトに仕上がった。
作品、簡単に紹介。
「days of」(福島拓哉):再見。
サイレントで字幕も無いため、いきなり観たらば多分、近未来設定がよくわからないだろう。
が、何かに追われるヒロインの疾走と絶叫シーン、画面のめまぐるしくせわしない動き、彼女を眺める謎の男、などを観ているうちに、設定をあえて読み取らなくても十分、という気持ちになり、<映画>らしいテンポと躍動感が伝わってくる。そういう作品。
「Sole wa Sole ソレハソーレ」(川野弘毅):特撮ドラマのパロ。
これもサイレント、ただし字幕入り。
コイン・ランドリーで、黒い特殊スーツを洗濯する中年男性(おそらく再就職)、見るからに悪の組織らしき若手戦闘員に笑われ、パシられてる。悲哀。小銭が無い彼に手をさしのべた青年は・・・。
そして悪のお仕事中に、とんだ偶然が。
で、タイトルどおりの・・・。悲惨だ。苦笑。
同時上映、「ヒャクレンジャー」、だったりして。
「化け石」(桑島岳大):ウエスタン調。
ゴールドラッシュの化石発掘版。
荒涼たる山岳地帯の風音、ドライなタッチ。ムードは出てる。
オチに物欲競争の、むなしさが、じわ~。
「結晶都市」(品川亮):現代版、逆「春吟抄」
イタ~イ、男女交流哀話。
ヒロイン、声でわからないのか?と疑問。
信じられないラストにも、呆然。
なぜかミニチェア&人形付き。昔のNHK人形劇みたい。
「ラーメン」(前田弘二):日活ロマン風。
いきなり裸女が出る。けだるそう。
設定に<温暖化が進み・・・>とあるが、画面からはわからない。
別に只の暑い夏でもこの女は、脱ぐ。多分。
女の元彼氏に男がなりきる芝居、というのは前にも別な作品で観た気が。そりゃ、なりきれったって無理。
終わりのサインも唐突。もう、なるようになってくれ!
「ムゲントイスべス」(大野賢三):意味不明。
・・・一番、設定が何だか、よくわからない。
設定を読むとさらに・・・さっぱりわからない。評価保留。
「秋刀魚の日」(伊刀嘉紘):ご家庭ホラー。
きょうは秋刀魚(さんま)が安いのよ、という台詞の繰り返し、主婦なら夫に普通に言うだろうが、主人の異常なおびえ様からして、まず・・・・だな。
これまた、オチがどうもつかめない、あいまいな締め。困惑させられる。
「画龍点晴」(永野敏):
最初は地味で、セットも蜘蛛の撮影も肩がこる・・・ことだろう。
武士切腹、往生際に辞世の句をめぐる悶着と<解決法>。
点一個で、この騒動・・・。
なぜか山本浩司氏が浮かんだのは、小生だけ?
「燃え上がる生物」(蔭山周):
引き裂かれた姉と弟、SF哀話。
せめて最期の幕は、夕日の中ひそやかに・・・。
「ブルークリスマス」思い出した。
以上。
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2007/01/28(日) 14:30:00 |
劇場用映画
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旅人、覚書。
週末、1/27、土曜。
異常事態、発生。
たった一日で、短篇映画を計24本、観た・・・。
初訪問の調布グリーンホール、<おかしな監督映画祭・4>で5本X3コーナー、計15本。
シネマアートン下北沢、20時半よりのレイトショー、<over8>でぶっ続けに9本。
内、下北沢の1本は確実に1度観ているから、初見作は23本、ということになる。
他にも2、3本、過去に観たものがあるかも?としても、20本近くにはなるはず。
1本あたりの長さが3分から16分前後までの作品が殆どなので、可能だったのだが。
スケジュールの都合というのは、おそろしい。何て日だ。
<おかしな監督映画祭>から触れておこう。
自由闊達なシリーズ上映会が毎年一月頃、高円寺某ライブハウスにて継続中、という噂は聞いていた。
4回目は調布のホールに会場を移しての第四弾、とのこと。
トークの司会は、主催者・かわさきひろゆき氏と女優・里見瑤子。
里見女史とVシネマや映画・テレビ・音楽PVなどで活躍する10人の若手監督が中心になって、自主枠で映画を作ってゆく会、というのがそもそもの成り立ち。自主枠中心の監督も参加している。
したがって会場には必然的に、ピンク&自主映画双方の関係者やファンの姿が多い。
皆、熱心に作品に見入って、楽しんでいる。
この日も14時より昼の部がスタート。15時過ぎから入ったが既に、50人以上が集まっている。十分盛況といっていいだろう。
今回は3人のメイン女優、水原香菜恵・間宮結・里見瑤子が、監督と企画を自ら選択し、各人主演5本ずつの作品、三部構成で計15本が並ぶ、というもの。
元々、舞台女優なのだから、いろいろな役を演じてみたくなるのは至極当然。たまには自分で、好きな役を選んでみたくなるものだろう。
勿論、お色気シーン要などの縛りは無いから、作品企画は自由奔放、バラエティーに富んでいる。
一本始める前に入る<映画祭アイキャッチ>がたのしい。カラテ・バージョン「成敗!」篇には笑った。
華がある上映会&明るいトークは、見ていて心から気持ちのいいものだ。
時間の都合が無ければ、夜の部の表彰式まで居たかったのだが、まずは遅れて来ても昼・夜で全作品(しかも皆、初見作!)を、半日で一通り拝見できるよう組まれた時間割に、大いに感謝したい。
日頃多忙な人々を大勢呼ぶのならば、たとえばこの位の工夫、心遣いが大切なのだ。こういうイベントは、応援したくなるのが人情。
ごく短めに、そのラインアップを紹介してみよう。
(括弧内は監督名。なお、一部作品で予告とタイトルが変わったものもある。)
<1・水原香菜恵出演作>
「ての鳴るほうへ」(今村洋平)
実家から札束で別れさせられる男女、という定番哀話。市電車内でピエロのパントマイム、が空気を和らげる。
でも、あのミもフタも無いラストは・・・「俺の空」?
「もぐら」(マイト)
打ち上げで芝居褒められるも、生活ハード、ありがちな役柄にぼやく、ピンク女優の嘆息。グラスに落ちる煙草の灰が・・・泣けて、じわ~。
「とらわれの華」(高橋美季)
男から別れを告げられた女、ふっきろうとしていろいろやるが、なかなか忘れられない。
「とらわれないように、と、とらわれてる?」「がんばれ私!」と悩む姿がお元気体育系ながらも、いじらしい。
「東京Days」(前田万吉)
作家志望だが芽が出ず幾年、故郷に帰る男。その彼を見守って来た優しい女。思い出多きこの部屋を出て、今日は別れの日。普通にいい話。
短冊字幕がほんのり、一番女優の笑顔が多い。好感度アップ。
「crisper」(今泉力哉)
心の人じゃないとはいえ?折角いい女と下宿に2人きり、さあ今夜こそ男になるんだ青年!でもその優柔不断と弁解が・・・何たる弱腰、じれったい奴。用意は周到にしときましょう。チャンチャン。
<2・間宮結出演作>
「よろず屋Lちゃん」(磯英弥)
必殺・何でも屋のお加代みたいな助っ人稼業、威勢のいい女にある男をコテンパンに、と依頼あり。逃げ足の速いターゲット男に難儀する。
イケイケ、勢いはあるんだが、決戦が何で・・・公園で熱い鍋のハンペンを?どういう勝負なんだ、ルールがまったくわからん!
でも一応ハッピーエンド?だよね。
「ラクエン」(豊永伸一郎)
焚き火を囲む自殺志願男女4人のマジ対話。わりにNHK教育TV的?議論内容。
トークで知ったが台本も台詞も無く、すべて想定アドリブだそう。演技者達の日頃の人間性がにじみ出ていそうだ。
「DOLL」(RANKO)
ライブハウスで上京青年が出会ったマリコという女は、かつて人形展で見かけた人形にそっくりな人、だった。マリコと人形の、偶然な因縁。
シャンソン風の歌手とバーのマスター、女の部屋の人形、小粋で洒落た雰囲気。ちょっといい話。
「セイケン」(前田広治)
地味なお掃除会社仕事、ライバル会社同士の作業勝負合戦を、無理矢理ゲーム漫画同然にバージョンアップ。
床下からスッと出る助っ人、強引な必殺技、プロの誇りと友情。大オーバーにCGTOアクション満載、ナンセンスな歌までつけて、大いに笑わせる。場内もバカウケ。
今回、一番面白かった。あまりのおかしさに2度、観た。
「回転実験」(荒木憲司)
音楽プロモ風、空き地に鉄塔、防菌服に手製ロケット、ぐるぐる回るCG模様と風船いっぱい、イカルス星人も出そうな宇宙空間にもだえるヒロイン、幻惑世界で銀タイツ宇宙人化。
これだけの高度技術がありながら、なぜか、操演の糸はまるまる見えていた・・・。それも又楽し。
<3・里見瑤子出演作>
「暴霊の橋」(若林立夫)
夜、歩道橋の上で迫力のカンフー使い、通行人をぶちのめして路上へ落とす、こわーい女の幽霊役、里見。どつかれ役男性が気の毒なような、うらやましいような・・・?
なぜ都合よく歩道橋に鉄パイプが落ちていたのか、なぜ女の背中からも鉄パイプが出てくるのかは、定かではない。
「blue」(世志男)
ホームレス中年男と航空帽少年(少女?)が盲目の純粋少女を故郷へ送って、富士五湖へ向かう旅に出る。
そして奇妙な結末、別れと再会。
舞台調でボーイッシュになりきって動き回る里見、心弾む好演。
「あいのえいが」(宮野真一)
前作の延長上にある発想。女優の熱烈なファンが、女優と自分だけのために1本の映画を撮り、悟りきったような想いを告白する、切なきお話。
折角だからもう1本、対外的な作品、撮ってあげればよかろうに・・・。何だか勿体無い。
「エンザイ」(福島拓哉)
設定字幕だらけの始め方、ちょっと読みにくい。
戦争激化社会、亭主は義勇軍出兵、残された女房はいっそ楽になろうと狂ったフリをするうち、配達男と浮気し、近所の噂になり、やがて本当におかしくなってゆく。
次第に開放されてゆく、思いっきりな演じっぷりが、じわじわ恐怖を呼ぶ。こんな世界、こちとらも願い下げ、なり。
「Old Friends」(森山茂雄)
離婚して地元の街に帰っていた、煙草スパスパ、コワモテ態度のきっつい女。
昔の同級生でいじめられっ子だった男に自転車で町中追い回され、クサッてキレる。彼に暴言を浴びせ続けるが・・・。
煙草を渡されて泣き崩れる女が、切ない。
<over8>については、後日、別記予定。
この項、以上。
2007/01/28(日) 02:59:58 |
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